第四十五話 気づけない優しさ
『あの瞬間何が起こった?俺は今どこにいるんだ』
大愛は華廉の「華灯」を受けたあとの記憶が無かった、わかることは負けたことと体が動かなくなっていること。
そして横には知らない女性が寝ている、この展開自体は前もあったから「またかぁ」みたいな感じだが今回は話が少し変わってくる。
知らない白衣を着た女性が寝ている。無理やり首を動かした結果見えた景色にその人はいた。
じっと見つめているとその女性は大きくあくびをし、目を擦って目を覚ました。
そして目を覚ましている大愛を見て近くにあったナースコールのボタンを押して、スマホを片手に魔具庫から出したメロンパンを食べだした。
冷静すぎる、重症の人間が真横にいる中でここまで冷静に何にも動じず行動できる人間さそういないだろう。
女性がメロンパンの二口目を食べようとしたとき、部屋の扉が開き大きな声がした
「副隊長!ナースコール鳴らしたら呑気にメロンパン食べてないでご自分にできることをなさってください…って!患者さん起きてるじゃない!隊長呼ばないと!」
そう言ってすぐにその人はどこかに走っていってしまいまた、大愛と女性だけの空間になった。
女性は変わらずスマホを片手にメロンパンを食べている、そういえばさっききた人が言っていた副隊長というのはどういうことなのだろうか、この人は第五部隊の副隊長なのか?失礼かもしれないがそうは見えない。
たしかに今まで見てきた副隊長の人達と比べてみても個性の塊みたいな感じだし、なんたって明らかに重症の人間を目の前にメロンパン食べながらスマホを眺められるくらいには頭も飛んでるし…
そんなふうに考えているとまたしても扉が開き女性が入ってきた。
その人を見た瞬間大愛は今どこにいるかを察した。
『優しそうで保健室に居そうなこの感じ…この人は第五部隊長の氷河聖奈さんだ、俺は今第五部隊のどこかに来てるのか?』
すると聖奈はゆっくり優しく大愛に問いかけてきた。
「お身体大丈夫ですか?無理をして喋らなくても大丈夫です、私の聞いた内容に会釈でも構いませんので反応をしてくださいね」
大愛はここまで丁寧に扱われたことが今まであったかと疑うほど聖奈の態度に驚いたし、なんなら感動したまである。
そう浸るように思っていると聖奈が聞いてきた
「まず、少しでも体は動きますか?無理をしなくてもいいと言っておいて申し訳ないのですが声を出せるのなら、なにか声に出してみてください」
大愛は自分の寝ているベットをボタンで普通に座ってるような感じに動かしてやってみた。
口を開けて喋ろうとすると全然話すことができそうな感じだったから口を開けて「体も少しは動くし声も出ますよ」となるべく大きな声で言った。
そう言うと聖奈はにこりと優しく笑みを浮かべて言った
「そこまで回復しているのなら安心ですね、私の第五部隊による夏祭りもできそうです…あぁリハビリの事ですのであまり気を落とさなくても大丈夫ですよ」
大愛は聖奈から告げられたリハビリという言葉に少し息を飲んだ、あくまでもリハビリの筈なのに、その前に言われた夏祭りという言葉で背筋が凍る。
なんか…怖い
リハビリなのは分かっているけどあの言葉を引きずってしまう自分がいる怖い、本当は動けないと嘘を言いたい喋れないと嘘をつきたい。
それから他の質問にも答えて聖奈さんと副隊長さん?は2人で大愛のいる部屋から出て行った。
それからもう一度寝ようとベットを水平にしようとボタンを押した、特になにか考えていた訳でもないが副隊長さん?の座っていた椅子の方を見ると机の上に付箋が1枚貼られていた。
腕を動かして取って見るとこう書いてあった
『安心して大丈夫』
それを読んで怖いという感情が何故か少し緩んだ気がした。
その頃聖奈と副隊長は廊下を歩きながらこんな話をしていた
「大愛くんが身体動かせたのも少しだけど喋れたのもあなたがやってあげたんでしょう、副隊長」
「別に…仕事をしただけです、仕事したのにできることやれって言われた時は少しイラッとしましたが…」
「そうでしたか、ですが私にはすぐにわかりましたよ、なんたってあなたは優しい人ですからね…椎名さん」
一様第五部隊編スタートです、まぁ投稿頻度は高くないので気長に待っていてくだされば幸いです。
今回は第五部隊長である氷河聖奈が第三章の最初以来に登場しました、どんなキャラなんでしょうね(自分が考えるのに…)
次回もぜひ読んでください!




