朝のルーティンと非日常 【月夜譚No.234】
朝の情報番組の星占いをチェックするのが日課になっている。トースターでこんがり焼いた食パンを齧りながら一日の運勢に一喜一憂しなければ、今日が始まった気がしない。
地球上に存在する人類全ての運勢をたった十二通りに分けてしまうなど、少々横暴な気もしないわけではない。それを完全に信じるかといったら、私は迷わず首を横に振るだろう。
それでもつい見てしまうのは、ただ単に楽しいからだ。
運勢が良ければ気分が良いし、悪かったとしても用心深くなって逆に幸運が訪れたりする。それに、物事を始めるタイミングの指針にもなる。
いつものように登校した私は、生徒達の波が途切れるのを待ってから、とある人物の下駄箱の前に立った。そっと戸を開き、まだ上履きが入っているのを確認して手にした封筒を素早く入れる。
昇降口の柱の陰に逃げるように身を隠し、ほっと胸を撫で下ろすのと同時に顔の前で手を合わせた。
――大丈夫。今日の運勢は第一位。
こんな後ろ盾がないと動けない自分に苦笑しながら、私は教室へと足を向けた。