売る虎マン
空港の税関・・・
検閲に「麻薬犬娘」たちが集まっていた。
彼女たちは、エリートの検閲官である。
「ドーベル隊長・・・
ヒマっすね・・・」
コリー犬の、コリー隊員が、ジャーキーをかじりながら言った。
「ぼやくな。
我々が、ヒマなのはいいことだ。
国に、危険なモノが入らないということだからな。」
ドーベル隊長は、部下に密かに「ドーベルマ〇子隊長」と呼ばれている。
いいのか、それで。
しかし・・・
「隊長!
銀のボディと、赤の宇宙人が怪しいブツを国外から持ち込みました!」
チワワ隊員が、駆け込んできた。
「最新型麻薬探査機を用意!
総員、「ヤツ」を締め上げる!」
「「「いえっさーッ!」」」
隊員たちは、空港の荷物搬出場へ急ぐ。
「これ、なんすか!?」
小柄な豆柴隊員が、怪しい宇宙人を、締め上げている。
だが、いかんせん怖くない。
かわいいだけだ。
だが・・・
ドーベル隊長が、牙を剥きだして威嚇する!
「ワシントン条約違反で、「虎の密売」の前科がある「売る虎マン」!
これは、なんだ!」
そう。
このどこかの光の巨人のようなヤツは、「売る虎マン」。
地球では希少な、「虎」を宇宙に密売していた宇宙人だ。
売る虎マンの前には、ジュラルミンケースがいくつか置かれている。
柴隊員が、探査機を使って反応を見つつ、臭いをかいでいる。
「反応あり。
臭いもあります。
私たち、「犬獣人」を甘く見ないでください。」
「これ・・・
大麻ですね・・・
それも、どこの国でも「違法仕様」になってるヤツです!」
ポメ隊員が言った。
「えーい!」
尻尾が丸まった、紀州隊員がケースをぶっ壊す!
素手で。
ケースは、見事に壊れる。
中からは、小分けにされたポリ袋に入った「赤」と「青」の大麻の粉末。
「ほほう…
やはり大麻か。」
ニヤリと笑う、ドーベル隊長。
「大麻違うねん!
カラー「タイマー」やねん!」
んなわけあるか。
「寒いです・・・」
ポメ隊員が、ポツリと言った。
「ええい!
見苦しい!
現行犯逮捕だ!」
ドーベル隊長が、隊員たちに命じる!
「お縄ちょうだい!」
「「ヤク」は、許しません!」
「わおーんッ!」
麻薬犬娘たちに、極悪宇宙人「売る虎マン」は現行犯逮捕された。
「なんだ・・・?」
ちょうどそこに、荷物を受け取り、去っていく七人の家族連れ・・・
「おなか減ったよ~
ママ~・・・」
末の妹が、空腹を訴える。
「お前・・・
飛行機の中でも、食っただろ・・・」
長男が、あきれ顔だ。
「宇宙には、変わったヤツがいるもんだな・・・」
ポツリと言ったのは、「正義の味方連合」所属の「子供戦隊ガキレンジャー」のリーダー・ガキレッドその人だった。
彼らは、夏休みを利用して、両親とともに海外旅行行っていたのである・・・