1 キャラクター作成
深夜テンションで書いてしまいました。
フルダイブ型ゲーム機、それが小説の中だけの存在と言われたのは、今や昔の話です。
今から10年前に、とある会社の変態的な天才達によって開発されたフルダイブ型ゲーム機は、脳科学、医療、量子コンピューティング、様々な分野に衝撃を与えました。
時代を何世代も超えた、この超技術は、ゲーム業界に革新を与えました。
今までのCGを用いたゲームのその先を行く、リアリティと滑らかさと没入感は、ゲーマー達に喜びを与えました。
「オールジョブアンドスキルオンライン。」
それは、そのフルダイブ型ゲーム機でプレイできるVRMMOの最新作です。
職業や技能が有るこのゲームは、管理AIによる自動生成によってそれらが無限と言っても良いレベルで存在するそうです。
NPCの人工知能も凄いらしく、PCと区別ができない程だとか。
まあ、こんな話はどうでも良いのです。
「……アルバイトを頑張ってきたおかげで、ようやく買えました。」
そう言って私は、自室に設置されているソファー型のフルダイブ型ゲーム機の前で両腕を組んでいました。
「充電は充分っと。ソフトのインストールも完了。ネット環境完璧。時間も充分過ぎる。クーラーオッケー。ふ、流石私。」
私はそう言いながら、ソファー型のフルダイブ型ゲーム機に座りました。
「……マインドダイブ。」
私が、フルダイブする時に言う言葉を言うと、私の思考は闇の底に沈んでいきました。
『……此処が、キャラクター作成場でしょうか?』
思考が闇の底から浮き上がった私は、周りを見渡してそう言いました。
周囲は、まるで宇宙の様な光景で、時々星が流れて行っていました。
意識を私の身体に向けてみると、どうやら今の私は、フワフワした球体の様でした。
《ようこそ!オールジョブアンドスキルオンラインへ!!》
いきなり私の前にそう言って、片手サイズの羽根の生やした人型の生物は現れました。
『貴方は?』
私は、妖精?にそう聞きました。
《僕は、キャラクター作成担当の管理AIの一人で【ヘキサ】って言うんだ。世界感に沿って言うなら神の一柱だね。ちなみに、僕は女の子だからね!》
ヘキサちゃんは、そう言いました。
妖精モドキでしたか。
《他に質問が有るかもだけど先にキャラクターの作成をやっちゃおー!先ずは、キャラクターネームだね。リアルの名前は止めるんだよ?いやまあ、リアルを特定しようとか考える様な人は第一にこのゲームに入れないんだけどさ。》
ヘキサちゃんは、私にそう言いました。
『……では、【カラネア】と。』
私はそう言いました。
《【カラネア】ね。……うん、使われてはいなかったよ。この名前で良いんだね?》
ヘキサちゃんは頷くと、そう言いました。
『ええ、それでお願いします。』
私はそう言いました。
《了解っと。さ、次は、能力値の設定やら種族やらを決めちゃおう!いでよ、ステータス!》
ヘキサちゃんがそう言って手を叩くと、私の視界に半透明の板が現れました。
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名前;カラネア
種族;
性別;女性
職業;〈無職LV0〉
HP;10/10
MP;10/10
SP;10/10
筋力;10
防御;10
俊敏;10
器用;10
知恵;10
信仰;10
技能;【空欄】【空欄】【空欄】【空欄】【空欄】
称号;
能力ポイント;10
技能ポイント;0
装備;
頭『空欄』
胴『初心者の服・上〈女性用〉』
腰『初心者の服・下〈女性用〉』
足『初心者の靴』
腕『空欄』
飾『空欄』
『空欄』
右『空欄』
『空欄』
左『空欄』
『空欄』
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《能力値を振る前に、種族を決めよう!》
ヘキサちゃんがそう言うと、ステータスの板とは別の板が視界に現れました。
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普人族 能力値が平均的に上がりやすい種族。一次種族。
獣人族 筋力や俊敏の能力値が上がりやすい種族。一次種族。
林精族 器用や知恵が上がりやすい種族。一次種族。
鍛精族 筋力や防御が上がりやすい種族。一次種族。
etc
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『……普人族で。』
私はそう言いました。
獣人族やら林精族やらにも引かれますが、普人族が平均的に能力値が成長するらしいので此方が良いです。
《種族は【普人族】ですね。オッケーです。それでは、能力値を振っていこう!それが終わったら初期技能の獲得だよ。》
ヘキサちゃんはそう言いました。
では、能力値を振りましょう。
ここをこうして、こうですね。
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HP;10/10
MP;11/11
SP;11/11
筋力;10
防御;10
俊敏;10
器用;11
知恵;12
信仰;15
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信仰に大分を振りました。
『……信仰の能力値への振りが高いですね?もしかして、何かロールをしようと思っているんです?』
私の能力値の振りを見てヘキサちゃんは、そう言いました。
『ええ、聖職者ロールをしようと思っています。聖職者と言ったら信仰が高いイメージがあったので。』
私はヘキサちゃんにそう言いました。
《確かに、聖職者関係の職業は信仰が高いですからあながち【カラネア】さんのその発想は間違っていないですよ。……最後は技能を決めますが、オススメを僕が選ぶ事ができるよ、どうする?》
ヘキサちゃんは私にそう聞きました。
『ではオススメで。』
私はそう言いました。
《よしきた。オススメは【鑑定眼】【MP強化Ⅰ】【体術】【歩行術】【生活魔法】ですよ。》
ヘキサちゃんはそう言いました。
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【鑑定眼】 対象を鑑定する技能。SPを消費して使用する。
【MP強化Ⅰ】 MPの最大値を増やす技能。
【体術】 体術に補正が入る技能。5の倍数の技能LVにて、技を自動習得する。
【歩行術】 歩行に補正が入る技能。5の倍数の技能LVにて、技を自動習得する。
【生活魔法】 生活魔法を発動する為の技能。
使用可能呪文『飲水』『着火』『乾燥』『光』『洗浄』
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ヘキサちゃんが私にオススメの技能を言うと、視界に板が現れました。
なかなか良さそうです。
『では、これで。』
私はそう言いました。
《了解〜。あ、これ以降の派生以外の技能習得はスキルポイントを支払わないと習得できないからね。》
ヘキサちゃんは私に、そう言いました。
『分かりました。』
私はヘキサちゃんにそう返しました。
《さて、これまでの設定を反映させるけど、基礎の肉体はどうする?リアルベースにできるけど?》
ヘキサちゃんはそう言って私に聞いてきました。
『リアルベースで。』
私は、そう即答しました。
《了ー解。ほいっと。反映完了。細かい調整とかは自分でお願いねー。》
ヘキサちゃんがそう言うと、私の身体はフワフワ球体からリアルの私の姿に変化しました。
もちろん、リアルの服を着ている訳でも裸の訳でも無く、麻の服を着て。
この麻の服は、所謂初心者装備でしょう。
「んー!んー!あー!あー!声は同じ位ですね。」
私はそう言いながら、細かい調整をしていきました。
瞳は黒から紅に。
髪は黒から金に。
お胸様は、少し大きく。
身体は変わらず。
髪型は……この際、ストレートで踵までにしてしまいますか。
「……終わりました。」
私は、ヘキサちゃんにそう言いました。
《了解だよ。では早速、ゲームの世界へ!……と行きたいところだけど、その前に何か質問は?答えられる範囲までなら大丈夫だよ!》
ヘキサちゃんはそう言いました。
『……では、聖職者関係の職業が有るという事は、教会か何かがあちらには有るのでしょうか?』
私はそう聞きました。
《あるよー。何の神様を信仰するかどうかは自分で教会に行って決めなね。初期スポーンから近い所に有るからザ・教会って見た目だからさ。他は?》
ヘキサちゃんはそう言って、右目をウィンクしました。
『プレイヤーでも教会に組みする事は可能ですか?』
私は次に、そう聞きました。
《可能だね。他は?》
ヘキサちゃんはそう言いました。
『ヘキサさん以外にどんな神様がいるのですか?』
私はそう聞いてみました。
《それは、自分で確かめると言いよ。他は?》
ヘキサちゃんはそう言いました。
『いえ、もう無いです。』
私はそう言いました。
《では、『汝の旅に幸在らんことを』!またね〜!》
ヘキサちゃんのその言葉と共に私の思考は闇に沈んでいきました。