出会い
その日は極めて天候がいいとか、太陽が燦々としているだとかは無かった。ただ普通、普通の日だった。
1人の女の子がカーテンを閉め切った部屋の中で一言も発さずに天井から吊り下げられた縄に手をかけていた
もうどうでもよかった
このくだらない世の中に争う事も、本当はフェアリーゴッドマザーなんていないドラえもんなんていない、助けがなければ自分で自立しなければならない。わかってる、わかってるけど自分の醜さを変える気力なんてとうに消えていた 自分が死んだ後のことも。
何もかもがどうでもよくなった
悲しいのかもわからなくなっていた
ただなんとなく、疲れたそれだけがわかる
そんなことを考えながら椅子からダイブしようとしたその時_____
「ねえ、君死ぬんでしょ、それなら君が死ぬまでの30日僕に頂戴。」
驚いてあたりを見渡すと昔から対して大事にもしてないなんとなく買った人形が話しかけてきた
ついに頭がおかしくなったのかと、でも自分はどうせ死ぬのだ、それにもう何もかも疲れた、気にせずに先程のやろうと決めたことを始めようとすると
「君、どうでもいいんでしょ、なら頂戴よ。対価は貰うからいいよね、どうでもいいんだもん」
そう言い放った人形は急に動き出し器用に指をパチンと鳴らすと縄が消え花になった
「え?」
理解がし難い光景に思わず思考が止まった
なぜ、花に?あ、考えるのもどうでもよくなってきた
「やあ!僕は君に買われた人形。ずっと君の事を憎んでいたんだよ」
嗚呼。家庭が崩壊し出して学校を休んだあたりに寂しさ埋めるために買って放置してたっけ、
私は人形すらにも疎まれる存在だったのか
そんな風に自虐をしながら
「恨みがあるなら罰を受けるよ もうどうでも良いから。どうせ死ぬし」
もう自暴自棄になっていた 今更何か変わったらしたところで何も変わらない
「そう言ってくれると思ってたよ!じゃあこれから僕の言う事全て従って欲しいな、契約書にサインしたら君は僕の人形になる、なに、人を殺したりなんてしないし何も怖くないよ 僕は人形として一生を終わるのが嫌になったら人間らしい遊びをしたいだけなんだ、ただ流されるように僕に操られてれば良いの 簡単でしょ?」
ニッコリとしながらその人形は言う
操られるように、か。その言葉がどんなに魅力に感じたことか、私はもう疲れたのだ
「いいよ なんでもいいよ」
そういうと人形はどこか哀しげな表情をしながら
「わかった。後悔しちゃだめだよ。」
と呟く。
その時、目の前に急に契約書が出てきた
「わあっ」
筆記体で書かれていて紙には金箔が混ざっていてとても高級なのが一眼でわかった。おまけに額縁には可愛らしく花や天使が彫られている。
この美しさは悪魔の囁きにしては不釣り合いだな、寧ろ悪魔が誘い出す罠としては釣り合っているのか
なんて考えながら綺麗な真っ白な羽ペンで慇懃 幸と書いた。
この名前が忌々しいな、なんて考えながら。