表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/77

2 落ちてきたのは勇者でした

「魔法陣…………」



「アニメとかゲームに出てくるやつです」

 ここでは現実だけどね。


「魔法陣…………」

 少年は記憶を探るように考え込むと、「いやいや、そんな馬鹿な……」「あり得ないだろ……」とぶつぶつ言っている。


「魔法陣、あったんですね」


「………あったような気がする。視界が光に包まれたとき、足下に沢山文字が書かれたもの、あれが魔法陣なのか?」

 少年が―――光が自信なさげに視線をさ迷わせ、それから、子供のような視線で見つめてくる。


「なるほど、じゃあ魔法陣で召喚したのに、召喚者のところじゃなくてこの森に落ちてきちゃったんだ」

 これは今ごろ血眼になって探してるな。ガリレ、隠蔽魔法かけてくれてるよね。ただ縛り上げただけなら、許さん。


「別に落ちてきたわけじゃないけど、森に倒れてただけだし」

「そんな事どうでもいいから、ステータスを見せて」

「ステータス?」

「そう、ステータス。召喚されたんだから、それくらいできるはず。ステータスオープンとか言えば開けるんじゃない? どこかに冒険者か勇者って書いてない?」


 光はまだ、半信半疑のようだったが、言う通りにステータスを開くと、驚いた顔でじっと確認していく。私も横から覗き込む。

 この世界の人間でも、自分のステータスを見られる人間は限られている。鑑定魔法が使えるか、チートな設定で落ちてきた人間だけだ。


 そして、やっぱり光はチートで勇者だった。


「俺が勇者――――」

「そうみたいね」

 未だ呆然としている光をよそに、手早く縄を解いていく。もう暴れたりしないだろう。

「誰が俺を召喚したんだ?あの男か?」

 あの男とは、光をこの家に案内して、手足を縛った男のことだろう。


「ガリレじゃないわ。彼は魔術師。趣味で魔法の研究をこの森でしているの。私は彼にこの森に落ちてくる、異世界人を保護するように依頼している。あくまでも保護で、決して監禁ではないわ」

 あえて、ガリレがこの世界で最強宮廷魔術師であることは言わなかった。


「保護って、どうしてだ?」

「どうしてって、決まってるじゃない。この森は魔物がうじゃうじゃいるし、普通の人間じゃ1時間だって生きていけない。光は勇者だけど、今は魔法も剣も使えないでしょ。まあ、同郷のよしみね。いい、覚えておきなさい、どんなにチートでも人間一人じゃ生きていけないの」

 もちろんそれだけじゃないけどね。


「異世界人を保護って、そんなに何人も落ちてくるのか?」

 光は縛られていた手首をさすりながら、聞いてきた。手加減無しで縛られていたのだろう、赤いみみず腫れが浮かんでいる。

 後でガリレが治してやればいいのだが、デモンストレーションとして丁度いい。手を伸ばし光の手首を掴んで、治癒魔法をかける。


「うわ!!」

 あわてて手を引っ込めて、光はその場に立ち尽くす。

「これは治癒魔法で、結構貴重で難易度高いから」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ