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9 エレナの夢を見るなんて……


おかしい…… 俺は夜の公園をあっちらこっちらと彷徨っている。 どこ行ったんだエレナの奴。



あの後エレナと公園に戻り買ってきたお菓子を食べた後トイレに行って出て来たらエレナは居なくなっていた。



エレナが出てきた所が出てきた所なのでそこらの草陰なども探す。 



見つかんねぇ。 あの様子だと帰るアテなどあるんだろうか? それにあの言語力じゃ他人とまともにコミュニケーションも取れなそうだが。



でも昨日も急に居なくなったしいきなり消えるのはあいつのお家芸なのかもしれない、幽霊とかじゃあるまいし普通に帰るべき所へ帰ったという事にしておこう。



ただ帰るなら帰るで一言くらいは欲しかったな。 ベンチに置きっぱなしにしていたお菓子の残りを持ってその日は帰った。



風呂から上がるとメッセージが数件分入っていた。



ええと…… 例の合コンの女子達か。 こんなんはシカトだ。 それと大咲からか…… うーん、めんどい。 だけどあいつとは顔合わせた時うるさいからなぁ。

適当に返しておくか。



十数分経ってから返したのに俺が返事を返した途端すぐに返事が来た。



こ、これは…… もしや話す事がなくなるまで大咲に付き合うパターンか? 既に話す事もないってのに。



「返事くれるの遅いです!」


「風呂入ってた」


「あはは! そうなんですか。 私は今お勉強してました」


「じゃあ邪魔しちゃ悪いから俺はこれで」



よし、終わるタイミングにするのにいいな。



そう思ったが……



「少し気分転換したいからこのままちょっとお話ししましょう?」



ガーン…… だからこういうのって嫌なんだよなぁ。 終わったと思ったら引き戻される。 別に大咲の事嫌いじゃないが……



そのまま1時間ほど大咲と他愛もない話をした。 最後の方ではもう俺は「そうか」「うん」 とかくらいしか返してない。 なのにあいつはどれだけ話す事あるんだ?



エレナは単語かリピートくらいしかまともに話さないし極端だよなぁ。



エレナ今頃帰ってるよな? スマホの画面を落としベッドに入る。 






直也…… 直也!


んん? なんだ?


直也! ダメ! 直也!


エレナ? なんでそんな悲しそうな顔してんだ? てかなんでエレナ?




そこで目が覚めた。 気付けば朝…… なんだ夢かよ。 ははは、夢の中までエレナが出て来るなんて俺の頭はエレナばかりか?



悲しそうな顔してたなぁ夢の中のエレナ。 俺が乱暴にエレナの手を振り解いた時みたいな。 あんな顔はさせたくない…… って夢だし。



顔を洗いカップラーメンにお湯を注ぐ。 自炊はしてない、やれば出来るけど洗い物やらなんやらが手間だから。



朝食を摂り制服に着替え学校へ向かう。 今日も夜になったら公園に行きエレナに会おう。 もうなんか当たり前みたいになってきたな。



もしかするとまた腹を減らしてるかもしれないし何かまた買って行こうかな。



そんな事を考え学校へ向かっていると数人の男子が待ち構えていた。 先輩っぽいな。 それに誰かにつけられているような気がする……



そのまま進むとその男子達が俺の前を塞ぐ。



「よう南。 覚えてっか?」


「知りません。 てか朝からなんすか? 学校遅刻しますよ?」


「そんなんどうでもいいんだよ。 相変わらず生意気だな? てめぇが忘れても俺は忘れねぇぞ」



ああ、思い出してきた。 前に絡んで来たよなこの先輩…… ひたすらウゼェ、すんなり通してくれそうにないし。



「で? どうするんすか?」


「ついてこいよ」


「はいはい」



先輩達についていく。 後ろからも誰か居るし油断した隙に襲って来るかもしれないのでそちらにも注意をする。



どこに行くんだと思えばエレナと会ってる公園じゃねぇか。 ここを選ぶとは……



「ここらでいいだろ、ちょうど死角になる場所もあるしな。 お前らも遠慮すんな、こいつは徹底的に叩きのめす! って、え……?」


「やってくれんじゃん先輩」



エレナと会っている俺からすればこの公園は特別な場所になっていた。 それを喧嘩する場所に選ぶとは。 



軽くのしてやるつもりだったが怒りが沸々と沸いてきた。 俺が今どんな顔してるか知らんけどもう先輩達はビビってるような気がする。



いいだろう、こっちこそ徹底的に叩きのめしてこの場所が先輩達にとってトラウマになるようにしてやろうと思った瞬間だった。 後ろから人が飛び出した。



「わかってんだよ!」



近くまで来たそいつの腕を掴んで殴り掛かろうとした瞬間だった。



「直也ッ!」


「え、エレナ!?」



ピタッとエレナのこめかみの辺りで拳を止める、良かった…… ギリギリ止めれた。 しかしエレナはわけがわからなそうな顔をしている。



そんなエレナに気を取られた時だった。 俺の頭に鈍い痛みが走る。




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