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46 本当の事


「はぁ……」



エレナがガッカリした表情で俺の部屋に戻って来た、探し物はやっぱり見つからなかったようだ。



「エレナ、なんか隠してるだろ?」


「え? なんの事です?」


「お前なんか探してるような気がするけどもしかしてこれか?」



俺がケースを見せるとエレナが「あ!」 と言って取ろうとしたので俺はサッと手を引っ込めた。



「直也、それ返して下さい!」


「何か教えてくれる?」


「秘密です」


「好きって言う俺にも見せられない?」


「ええと…… とにかくダメです!」



再度取ろうとこちらに手を伸ばしたので俺はまた手を引っ込めようとした時何かカチッと音がした。



持っているケースからだった。 その瞬間ケースはボロボロと崩れて落ちた。 



「え?」


「ああ!!」



そしてケースからは何やらヒラヒラと紙キレのような物が落ちた。 なんだろうと見るとそれは写真だった。 とても古い写真のように思えた、ボロボロで10年以上も経っているかのような色褪せた写真。



そしてそこには信じられない物が写っていた。 俺と羅衣と羅衣の彼女のみぃちゃん、そして大咲と俺とそしてエレナ…… 水着姿だった。 海?



ていうかこんなの行った覚えもないしそもそもいつ撮ったんだ? 写真の劣化状態もおかしいしそれに写真に写っているのはエレナなんだが少し幼いように見える。 身長も今より少し小さい……



「エレナ…… これは一体なんだ?」


「そ、それは……」


「なんで俺らの写真が? それにこれいつ撮ったんだ? ここに写ってるのはエレナだよな? 俺こんな写真撮った覚えないし。 どういう事だ? 思えば最初から不思議な点はいくつもあったけど」



ダメだ、ツッコミ所が多過ぎて頭が追い付かないぞ?



「言っても信じて貰えないと思います…… もう覚えてないし」


「覚えてない? でも言わないと俺はエレナを信用出来ないかもしれないぞ?」


「…………」



エレナは観念したようにため息を吐くとポツリポツリと話し始めた。









◇◇◇







エレナからは信じられないような話ばかり出てきた。 俺が前にエレナと会っていてその事はファウスト先生? とかわけがわからない存在によって忘れさせられた。 それとそもそもエレナは生まれていなかっただって? 高校2年の時俺はエレナと短い間だったけど同居してた?



俺が先生とやらに立ち向かったお陰でエレナはこうしてまた俺と出会えて今に至る。 なんかどっかの漫画か何かの設定みたいだ……



そして隠してあった大金の事や俺の友達にも面識があったりしたのも俺らが忘れているだけで現実にはちゃんとエレナと会っていた。 もうめちゃくちゃだ、だがエレナに嘘をついている様子もない。



それにエレナに会ったのもこれまでの事も偶然過ぎてエレナは最初から俺の事を知っていたかのようだったのも今の話を聞いてそれでかと思う所はある。 



まぁそれを聞いても俺はそんな事があったなんてピンとも来なかった。 ピンと来たら忘れさせた意味もないんだろうけど。 カレンを飼い始めた頃の記憶が曖昧なのはそのせい? そんな事が出来るくせに詰めが甘くないか? 先生とやら……



「そういうわけなんです」


「…… う、うーん」


「今の聞いて何か思い出したりしました?」


「いや…… そんな事はないんだけどカレンを飼い出した辺りの事はあやふやで…… 話を繋げる事はなんとなく出来るけど」


「そうですか……」


「でもそれだとエレナって両親居るってのは嘘か?」


「嘘じゃありません。 私は最初から今の今までなかった事実をやり直させてもらいました。 それまでは私も直也の事覚えてなかったんです。 でもある日突然同級生の人が気になった時いきなり直也の事思い出してそんな事があったって思い出したんです」


「…… それってエレナの思い込みの可能性ない?」


「違います! じゃあなんで写真があるんですか?」


「あ、ああ……」


「これがそんな事があったって事実です。 今付けてる腕輪も先生に貰った物です。 これでカレンを助けたんです! それに直也は…… 私の全てだから。 私前に直也に約束したんです、覚えてないと思いますけど出来るだけ早く、直也に会いに行くって!」



………… そんな話されてもはい、そうですかってすぐには納得出来ないけど撮った覚えのない写真も実際ここにあるし、エレナは真剣だ。 



「エレナ」


「…… はい」


「俺は覚えてないけどさ、もういいよ」


「え? もういいとは?」


「俺さ、エレナの事好きだって言ったろ? 仮に前にいろいろあったとしてもそこは変わってないだろ? 今もこうしてエレナと居る、エレナも俺を好きでいてくれた、それで良いんじゃないか? て、てかエレナが俺のとこに来てくれたの、その…… すげぇ嬉しいし」


「直也…… 」


「引っかかる所あったけどそういう理由があったからなんだな? 話はかなり複雑で理解したか? って言われればうーんって思う部分もあるけど納得したしそれでエレナに対して嫌な感情持つ事なんてありえないよ」


「うぅ…… 直也、やっぱり直也だ!」


「うわッ」



ガバッとエレナは俺を押し倒して抱きしめていた。 俺の胸で泣いているけど悲しんで泣いているわけではない。 俺からするのは少し照れたけどエレナの頭を優しく撫でるとエレナはもっと俺の胸に顔を埋めた。



「直也、今日一緒に寝よ?」


「…… わかった」



狙ったかのように断れない流れでエレナがそう言ってきたけどエレナの事わかったからまぁいいか。






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