42 いきなり両想い!?
そして幾日か過ぎた頃、学校も休みに入り隣の部屋で俺はエレナの荷物の整理をさせられていた。
何故俺がこんな事を…… なんて言ってはいたけどエレナに頼まれるのは嬉しかったりもする。
「直也お疲れ様です! お陰で助かっちゃいました」
「まぁ特にやる事もなかったしいいよ。 にしても思ったより荷物少なかったな」
「そりゃあ直也のお部屋使わせてもらいますし! 必要だったら後から買い足せばいいし」
「はは…… マジで俺の部屋使うつもりなんだ」
前に俺の家に泊まった時は気が気じゃなかったぞ? なんせ女の子泊めるなんて初めてだったしエレナだし…… てかあの時初対面の男の部屋によく泊まったよな。
「さーて! カレンに会いに行こう!」
「って早速かよ!?」
「はい! 私カレンの事一発で気に入っちゃいました」
まぁカレンもエレナに大分懐いてたしな。 泊まった時もエレナの所にずっと居たようだし。 だけど俺がエレナに惚れてるからあれだけど今までの話整理してみても……
「こいつは怪しいし何か訳ありかもしれない」
「うおッ!」
「そんな顔してましたよ? なんか疑われて悲しいです。 まぁわからなくもないですけど…… あ!」
エレナはいきなり俺に近付いて来て意味深に微笑む。
「好きだから」
「は? え!?」
「私直也を見た瞬間からこの人だって思ってすぐ一目惚れしちゃいました。 引きますか? 自分でもかなり恥ずかしい事言ってるって思ってますけど自分の気持ちを抑えて焦ったいのはもうウンザリです。 だから言っちゃいます、私直也に会ってからずっと直也の事考えてます」
「ええと…… 俺達出会ってから数えてまだ2日弱」
「はい、ただ私本気です! 何言ってるんだ? みたいに思われてるのもわかります。 でも本気で好きなんです……」
エレナの押しの強さはなんか大咲を彷彿とさせるようだ。 …… なんてそれより今の話マジか!?
エレナが俺を好き? 俺もエレナに一目惚れしたけどエレナもそうだった? こんな事ってあるのだろうか? 大した信頼関係も何もないような気もするけどエレナが俺の事が好き、好き……
「信じられません? どうしたら信じます?」
「あ、いや、実は俺もエレナの事一目見た時から気になってたんだけどこういうのって段階とか踏んでからなのかなぁなんて思ってたからちょっとびっくりして」
「段階ならもう踏んでます!」
「え?」
「あ…… ほら! アレです! 秘密を共有しましたし、一晩共にしています、それと同じアパートで尚且つ隣同士で部屋も自由に使っていいなんて整ってるじゃないですか?」
「お、おう……」
秘密? あ、あの大金の事か? 一晩共にってなんかあったように聞こえるぞ…… でも確かに普通大した面識もないのにこんな事にはならないかもしれない。
「でも直也も私の事気になってたんですね? 凄く嬉しいです!」
「あ、ああ」
大咲といい俺の事好きって言ってくれる人って結構押しが強い子が多いんだな、嬉しいけどさ。
「だったら直也の口からはっきり聞きたいです」
「何を?」
「私を好きって事です! 言って欲しいんです。 ダメですか?」
こちを見上げて少し悲しそうに言ってくるエレナを見るとダメとは言えなかった。
「好きだよエレナ」
「もっと」
「え?」
「もっと言って下さい。 私ずっと我慢してたんです」
ずっと? まぁ少し間はあいたけどそんなに俺の事想っててくれたのか?
「好きだ」
「はい、もっと言って下さい!」
いやいや、恥ずかし過ぎるわ! 俺からすればいきなりで。 でもエレナの事は気になってて…… これって夢じゃないんだよな?
「直也!」
エレナにせがまれ何回も好きと言わされた。 エレナは余程嬉しかったのか上機嫌になり鼻歌混じりで俺の部屋に来てカレンを撫でている。
「もう私のお部屋物置にでもしちゃってここでお世話になろうかなぁ〜」
そんな事まで言い出した。 まぁなんか俺の部屋にいる時間の方が長い気はするけど。
「おいおい、それはマズいだろ? 前は泊めたけど毎回は…… 何より狭いだろ?」
「もうお互いに好きなんだし狭いの上等です。 それに直也なら大丈夫!」
「何が大丈夫なのか何も根拠ないのに言ってないか?」
「ふふふッ、あるんだなぁこれが!」
「へ?」
「こっちの事です! ねぇカレン、私とずっと一緒に居たいよねぇ?」
何も理解してないカレンにそう言ってカレンはエレナになされるがまま撫でられていた。
いやいや、俺の心の準備は?




