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41 それってなんかの設定なの?


エレナはカレンを一頻り愛でた後、思い出したかのように言い出した。



「大事な事がありました!」


「大事な事?」


「そうなんです、ものすご〜く大事な事です。 私適当にここのアパートに決めたわけでもなくて知り合いの方に確かめてもらいたい事というのがありまして」


「んん? エレナの知り合いがこのアパートに昔住んでたのか?」


「う、うん、そんな所です。 ちょっと失礼してよろしいですか?」



エレナは部屋に入っていいか俺に確認する。 今度は一体何するつもりなんだ? 



「ま、まぁいいけど何もないと思うが」


「では失礼して」



エレナは俺の部屋に入ると床をドンドンと足で叩き確かめていた。 ここ二階だから出来ればやめてほしい……



「あ!」



エレナは何かに気付いて床のカーペットを引き剥がしフローリングの板が露わになる。 それをエレナは外し始めた、ていうか元々外れやすいように細工しているような感じだ。



ええ? 人の部屋で一体何をやらかすつもりだ!?



「な、なんだこりゃ!? 俺の部屋になんでこんな空間が?」


「大丈夫です、弁償しても余りあるくらいあるはずです」



中にはケースが入っていたようだ。 そしてその中には……



「な、な、な…………」


「やっぱりあった! ふぅ危ない危ない」


「エレナ…… この札束は!?」


「あー、知り合いの方が残していった遺産的な……」


「え? もうその人死んでるの?」


「あ、生きてます。 生きては居るんですけどどこに居るのかもわからないし連絡も取れないですし、その方もあったら勝手に使ってくれて構わないと言ってたので」


「なんだ? その人大金持ち? てか本当か?」


「あー! 疑ってますね!? ならなんで私がこんなものあるとご存知なのでしょう?」


「うーん…… まぁそりゃそうだけど。 ん? てか服も入ってるぞ? 女ものだ。 しかも全部同じ服…… 女の人だったのか?」


「あはは、そうです。 てことでもうひとつ!」



これ以上まだなんかあんのかよ…… というかエレナこの一瞬で大金持ちじゃねぇか。



「直也にこのお金あげます」


「はぁ…… ってはぁ!?」


「直也のお部屋にあったんだから直也の物って事で」


「い、いいのかよ!? つーかいきなりこんなん渡されても困るんだけど。 今まで住んでてあるのすらわからなかったし。 見つけたエレナが持ってた方がいいんじゃないか?」


「いやぁ、私が持ってるには怖い金額なので…… 」


「いやいや、今日が初対面なのにいろいろとおかしいだろ? 俺ってそんなに信用出来る奴じゃないかもしれないぞ?」



うん、かなりおかしい事ばっかだよな? 大体こんな金額見つけて他人に渡そうとするか?



「ならこうします! お金は直也に預けときます、そのかわり直也のお部屋は私のお部屋も同然です!」


「は?」


「えーと、直也は今まで通りここに住んでて構わないですけど私はこのお部屋に自由に出入りしちゃいます! あ、私のお部屋も直也の好きに入っていいですよ?」


「え? んん? それでもなんかやっぱりいろいろとおかしいぞ? それってエレナにメリットあんまりなくないか? 俺がエレナの部屋に自由に出入りとかって嫌じゃないの?」


「…… ああ言えばこう言いますね!」



エレナはなんだか少し怒り始めた。 えー? 俺が悪いのか?



「せっかくこんな好条件出してるんです! 私は別にお金もいりませんしお好きにどうぞって言ってるじゃないですか!?」


「ええと…… じゃあ見つけたのはエレナだしエレナも使いたい時に使う、とかでいいんじゃないか?」


「んー、まぁそれでいいでしょう。 じゃあさっき言った通りこのお部屋は私も自分のお部屋として使っちゃいます!」



エレナって警戒心とかないんだろうか? 俺エレナに今日あったばかりだぞ? 



エレナに一目惚れみたいな所あったしそんな相手から信用しているみたいに接しられて嬉しいんだけど……



「というわけで今日は下見も終わった事だし……」



帰るのかな? と思えば……



「直也のお部屋借りちゃおッ!」


「はぁ!? 帰るんじゃないのか?」


「そう思ったんですけどなんかいろいろと疲れちゃって。 どうせこの部屋も私のだし。 いいですよね?」



本来なら断るしこのお金も警察に届けた方がいいんだろうけど俺は断れなかった。



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