33 大咲とのキス
「先輩海ですね!」
「直也泳ぎ方教えて?」
「直也誘ってくれて嬉しいぜ!」
「初めまして。 羅衣の彼女の大槻 みい子です。 羅衣の友達かっこよくて可愛い子ばっかりでびっくりです」
もうわかると思うがみんなで海に来ていた。 この誘いは大咲からだったのだがエレナに言ったらエレナも行きたいとなり、エレナと大咲だけだと男は俺1人なので羅衣達も誘った。
「あ、直也君とは前に会ってるよね」
「そぉいやそうだったな」
羅衣の友達のみぃちゃんは相変わらずギャルだなぁ。 でも見た目だけで中身はしっかりしてるしそこら辺羅衣が好きになったんだろな。
「先輩、それはどこで?」
「そうなの直也?」
大咲とエレナ2人からつっこまれる。 しかも大咲は大体わかってますよぉ的に聞いてくるので若干答え辛い。
「花ちゃん、まぁまぁ。 とりあえず楽しもうぜ!」
「まぁそうですね。 出店も出てるし見て回りませんか? 先輩お腹とか減ってないですか?」
「あ、私も見たい! 直也行こう!」
「そうだな、羅衣達も行こうぜ」
「よし! みぃちゃん、俺が奢ってやるから好きなの頼みなよ」
「本当? 無理しなくていいのに」
出店に行くと浮き輪なども売っていた。 エレナはどれにも興味を示し楽しそうだ。
「先輩、エレナちゃんのはしゃぎ様が半端じゃないんですけど海に来た事ないんですか?」
「内陸育ちだからな、今日初めてみたいだ」
「小さい時とか連れて来てもらえなかったんですかね?」
「うーん、どうなんだろ?」
「直也! これ買って! イルカ!」
エレナは海に来てまた精神年齢が幼い頃に戻ったかのようだ。 まぁ海行くのあんだけ楽しみにしてたしな。 デカいイルカの浮き輪を指差してエレナは買ってとせがむ。
「いいぞ、他に欲しい物とかあるか?」
「ワニ! サメ! ラッコ!」
「エレナちゃんそんな買ってどうするの?」
「みんなで使う! 直也いいでしょ?」
「仕方ないなぁ、じゃあ大咲と羅衣達も使ってくれ」
「マジか? 直也太っ腹じゃねぇか! 花ちゃんにいいとこ見せつけやがって」
おいこら! 一言多いぞこの野郎……
「そんな事しなくても先輩の良い所は知り尽くしてますよ、ふふッ」
「私も直也の良い所は知ってるもん」
「あれ? エレナちゃんも乗っかってきた、はははッ」
「ところで直也君、この前の子達と連絡取ってた? 既読スルーされて怒ってたわよ?」
うげッ…… よ、余計な事を。
「み、みぃちゃん、それはご内密に! 俺まで被害及ぶんだから」
本当だぜ……
「んん? 先輩、この前の子達とは?」
「いや、もう勘弁して下さい」
「あははッ、もう大体察しついてますよ。 先輩が意味深な顔してるからつっこみたくなっただけです。 ねえ、それより私の水着どうですか?」
う…… あまり意識しないようにしていたのに。 最近ほんの少し慣れてきたがこんなに露出が多いのは論外だ。 だが大咲はそんなん知った事かと言わんばかりに胸を強調するように見せてくる。
「先輩、好きなだけ見ていいんですよ? 水着なんてこんな時くらいしか着ないんですから。 あ、それとも先輩が着てきて欲しいなら学校の時とか制服の下にでも着てきましょうか?」
もはやその発想は変態の域に達してるじゃねぇか。 てかそんなんリクエストしてもし誰かに見られたら生きてる限りネタにされそうだ。
「なんな話してるの?」
エレナはイルカの浮き輪を脇に抱えて俺と大咲の間に入る。
「あ! ほら、純白の水着を纏ったエレナちゃんのレビューもどうぞ!」
「レビューって……」
「え? な、何!?」
大咲はエレナを俺の前に持ってくる。 エレナはわけもわからず俺の視線を受け止める。 といってもそんな事言われるとどうしても意識してしまうので俺はエレナの足下だけを見てた。
「どうです? エレナちゃんの感想は?」
「あ、そういう事…… 直也どうかな?」
どうかな? と言われても水着とかエロいわとしか…… こういう時に乏しい語彙力ちくしょう。
「うん…… なんていうかいろいろ凄い」
「むぅー! 直也ってば超適当!」
「ほらぁ、そんなんだからエレナちゃん怒っちゃうんですよ?」
「おら! どうでもいいけどお前ら海に入ろうぜ!!」
「うげッ……」
羅衣がそう言って俺の首根っこを掴み海へと連れて行く。
「大分花ちゃんに苦戦してるようだなぁ? まぁ受け入れればいいだけなんだから難しい事じゃないぜ?」
「受け入れらも何も大咲とは別にって…… あいつらも来やがった」
俺の後を追い大咲とエレナも追い掛けて来た、来たと思えばエレナは海は生まれて初めてのようなので足が少し浸かる程度の所でビビって止まる。
「せんぱーいッ! 置いてかないで下さいよぉ! ねぇエレナちゃん? ってあれ?」
「あいつ海は初めてだからな。 連れてくるわ」
「あ、待って下さい!」
「ん?」
大咲はエレナの方から背を向けるように俺の正面に立つと…… キスをされていた。
「……ッ!?」
「しちゃった。 ふふッ、じゃあ行ってらっしゃい」
大咲は放心状態の俺の背中を押してエレナを迎えに行くように促した。




