30 エレナと俺と大咲と
図書館でしばらく過ごした後、エレナは買い物したいと言い出してショップ通りで買い物した後、カレンの餌なども買って帰ろうとした時だった。
「あれ? 先輩?」
「大咲…… 」
「奇遇ですね、こんな所で会うなんて! それとそちらの方は?」
「あ、ああ、こいつがエレナ。 俺のイトコだ」
そう言った瞬間エレナは? な顔をするが今のエレナは大体事情を察知しすぐに話を合わせる。
「えっと直也の所でお世話になってます。 エレナです」
「私は大咲花、先輩の後輩してます!」
大咲がエレナにグイッと近付いた。
「それにしても。 へぇ、この子が。 凄く可愛いですねぇ。 ハーフなのかな? 先輩のイトコがこんなに可愛いなんてビックリです」
「そうか?」
なんかエレナが少しまた不機嫌になったような気がする。
仕方ないだろ? あんまり大咲と一緒だと痛い所を突かれそうなんだから。
「学校でいつも直也がお世話になってます」
「あははは、お世話になってるのは私の方だよ。 先輩から話は聞いてたけど学校っていえばエレナちゃんは家出中だよね? 学校とか大丈夫なのかな?」
ぐっ…… ほら来た! 早速言い辛い所を突かれて来たぞ。
「学校には私の両親が上手い事言ってると思います。 なのでそこら辺は大丈夫だと思います」
「え? そんなのありなの?」
当然ない…… 早くここを立ち去らねば。
「でもまぁ先輩イトコとはいえこんな可愛い子相手によく保ちますねぇ?」
「ん? 何が保つの?」
「あれ? エレナちゃんは一緒に住んでるのに知らないの?」
「あー! なんでもないぞ? な? 大咲?」
「ああ…… そうですね! なんでもないったらなんでもないです。 フフッ」
「私にいえない事? ねえ直也?」
「エレナちゃん、先輩と一緒に暮らしてるなんて羨ましい。 なんせ先輩結構モテちゃうからね!」
「そうなんだ…… ふぅん」
大咲は察したのか俺に合わせて咄嗟に誤魔化す。
「まぁそういう事だ。 じゃあ俺らはこれで」
「待って下さい。 先輩せっかくお会いしたんですしどこかでお茶とかしていかないですか?」
「え? いやぁ、そうしたいとこなんだけどこれから俺も用事あってさ」
「そうなんですか…… 残念」
少し大咲は肩を落とす。 ごめんな大咲、嘘ばっかりついて。
「じゃあまた学校で! また今度お昼一緒に食べましょうね!」
「ああ」
そして俺とエレナは大咲と別れた。
「ねえ直也、あの人って直也の事好きなの?」
「へ? なんで?」
「女の勘」
エレナからそんな言葉が出てくるとは……
「直也はあの人の事好きなの?」
「俺が? 大咲の事を? まぁあいつはあんな風に慕ってくれるけど俺は別にそんなんじゃないよ」
「ふぅん。 じゃあ直也には好きな人いないんだ?」
「まぁ…… どうだろう」
俺はエレナの事が好きなんだけどなんでそんな事聞くんだ?
「もし直也に好きな人とか出来たら私って邪魔になるかな?」
「なるはずないだろ? それにお前言ってただろ、俺とエレナは家族みたいなもんだって」
「そっか、そうだね!」
「それにお前いなくなったらまたそこらの落ちてるもん食いそうで心配だしな」
「ああ! そんな事言う!? 私だってそんな事してたなんて信じられないくらい恥ずかしいのに! 直也もやってみればいいのよ、サバイバル生活!」
やっぱこいつ公園に居なかった時サバイバル生活してたのか。
ますます出て行かせるわけにはいかないな…… あ、でも今は大金持ってるからそこまでは苦労しないか。
「ははは、まぁ俺には無理そうだ。 でもエレナとカレン置いて行くわけにもいかないしな」
「そうよ、直也がそうなったら私も付き合ってあげるわ」
「え? それってどういう……」
「あ! …… ま、まぁ直也はモテちゃうようだし? 私が居なくてもあの後輩さんはほいほいついて行くかもしれないわね!」
「おいおい、本気にすんなよ。 あいつは面白がってそう言ってるだけだ」
大咲が変な事言うからその後もエレナに何かと突っ掛かれてしまった。




