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22 真央ちゃんとカレン


さて、予想外のアクシデント? で学校を休んだヘタレな俺だがこれを利用して今日は猫用のケージやらトイレセット、餌など買っておく事にした。



それに平日なら学校で他の奴らに見られる事なく堂々と出掛けられるしな。



「エレナ、そういう事だけでどうだ?」


「行く! 猫さんの家!」



物凄く笑顔だ…… めちゃくちゃ可愛い。 猫の奴羨ましい。



「ん? どうしたの?」


「嬉しそうだなって」


「直也と猫さんと一緒、図書館で見た仲良し家族」



二パッと弾けるような笑顔でそう言った。 ね、猫と同列…… てかやっぱエレナの好きは家族としての好き。 



多分異性として俺の事は見ていないんだろう。 予想はしていた、ある意味これでいいっちゃいいのかもしれないがなんだこの喪失感……



「最初に猫さんに挨拶してっていい?」


「いいぞ、どうせ通り道だし」


「えへへ」



よっぽど嬉しいんだなぁ。 まぁいい、エレナがどう思ってようと俺がエレナに一目惚れしたんだからな。 エレナが嫌じゃなきゃそれでいい。



公園に行き少しの間ベンチに座って猫を待っていたがなかなか来ない、まぁいつもいつも来たら居るわけないしなかなか来ない。



エレナは待ちくたびれたのか地面に猫の絵を描いている。 可愛い絵だなぁと思って俺はそれを見ていた。



「猫さん…… 来ない」


「どっか周回してるんだよ。 時間が合わなかっただけさ」


「うー……」


「どうする? まだ待ってるか? 俺は別にまだ待っててもいいけど」


「あと10分」


「いいよ」



だがそういう時に限って来ない。 エレナは諦め猫の家を買いに行く事にした。



「予防接種の予約とかもしとかないとなぁ」


「予防接種?」


「病気にならないようにな。 注射するんだろうけど」


「注射?」


「針刺すんだよ。 多分暴れるぞ」


「いじめちゃ嫌」


「あはは、まぁやっておかなきゃいけない最低限の事だからさ。 我慢してもらうしかないなぁ」



そうしてペットショップに行き必要な物を買っていく。 



「猫さんのご飯は…… これとこれと」


「自分が食べたいの選んでないか?」


「猫さんのご飯美味しいもん」


「横取りとかするなよ? またおこられるぞ」


「はーい……」



そういえば名前とか決めたのか? 猫さんじゃなぁ。



「エレナ、猫の名前とか決めてるか?」


「名前? うーん……」



エレナはしばらく立ち止まって考える。 真剣な表情だ……



「猫さんは女の子だし…… んー、カレン。 うん! カレンに決めた!」


「カレンか。 いいんじゃないか?」


「直也と私とカレン〜♪」



変な歌まで歌い出した。 無邪気だなぁ。



一通り買い物を済ませ帰り道商店街を歩いているとエレナは何か食べたい物があったらしくあれ食べたいと指差した時だった。



「わッ…… いたぁッ」



エレナの腕が女の子の頭にぶつかった。



「あ、ごめんな? 大丈夫か? エレナも謝れ」


「ご、ごめんなさい」


「ん、びっくりだけど大丈夫よん! って嘘!? この子超可愛いんだけど!  エレナ? ふぅん、エレナ……」



なんだこいつは……



「てか真央ちゃん見てたでしょ? 庇ってよぉ」


「いやぁ、そのまま当たるとは思わなかった。 わざとだろ? ははッ」



あれ? こいつら大咲と出掛けた時見掛けた2人組じゃん。 てか真央ちゃんって喋り方男だよな? 女にしか見えないけど。 あの時はまさかないなと思ったが……



「なぁ、そこの真央ちゃんとやら」


「何?」


「男だよな?」


「あん?」



勘に触ったらしく睨まれる。 これはもしかしてあいつらがボコられた理由って……



「ちょっと前にナンパされて2人程ボコボコにしなかったか?」


「何? 同じ学校なの? それで仕返しする気か?」


「あははッ! やっちゃえ真央ちゃん!」



やっぱりな……



なんか喧嘩ムードになってるがエレナも居るので俺はそんな気サラサラない。 エレナが居なくてもだ。 他校の奴等の相手なんて面倒なだけだし。



「そっかそっか。 それは悪かったな、俺からも謝るよ。 ごめんな?」


「え?」


「えー? なんもなし?」


「これあげるから。 ごめんなさいの印に。 美味しいよ」



エレナは真央ちゃんの隣に居る女の子によりにもよってキャットフードを……



お前せっかく何事もなく済まそうとしたのにそれはいけない。 見ろ、貰った本人のあの顔を……



「これキャットフードだけど?」


「カレンのご飯だよ。 特別にあげる」


「は? はぁ!?」


「うん!」



エレナはニコッと笑ってうん!なんて言うけどそりゃ挑発だぞ……



女の子の顔がどんどん怖くなる。 あ〜あ…… ところが真央ちゃんとやらは笑いを堪えていた。 そりゃこんだけおちょくられればな。



「あー! 笑うなぁ!」


「ププッ、カレンのご飯だってよ。 お前らなかなか面白いじゃん。 なんか気が抜けたから行こーぜ?」


「あ、ちょっとぉ! まだ私言いたい事あるのに!」



真央ちゃんとやらは女の子を引っ張っていってしまった。 それをエレナはボーッと見ている。



「どうしたエレナ?」


「なんか懐かしい匂いがした」


「え? なんだそれ?」


「…… なんだろう」



しばらくエレナはそいつらが行った方向を見ていたがカレンの事を思い出し迎えに行こうと急かされた。






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