21 キスは突然に
直也の事好き…… 直也の事好き……
エレナが俺の事好き…… 違う、あいつはまだそういう好きって意味がまだよくわかってなくてあれだ、あれと同じだ。
親の事好きっていう好きと同じ意味だ、でも俺はエレナの事好きだ、本当の意味で…… そんな好きなエレナと同居生活。 ヤバい……
直也の事好き…… 直也の事好き
エレナ、なんでそんな何回も言ってくれるんだ? 例え違う意味でも嬉しいが恥ずかしいんだけど。
直也…… 直也…… 好き
エレナ…… ん? なんか身体が重い。 これは…… これは…… 夢だ!
そう思いパッと目を開けたそのすぐ目の前にエレナの顔が…… ち、近い!
「直也、直也起きた?」
「うわッ」
条件反射で身体を起こそうとしてしまいエレナと顔がぶつかる。 その瞬間にあろう事か唇を重ねてしまいソファから2人で落下する。
「んッ……」
最初はエレナが俺に馬乗りの体勢になっていたがソファから落ちて今度は逆にエレナに馬乗りになる。
エレナは真っ直ぐ俺を見つめ人差し指と薬指で唇を軽く押さえていた。
お、おおおお俺はなんてとんでもない事をしてしまったんだ!? く、唇を奪われた!?← とても混乱して訳のわからない事を言っています。
離れればいいものをあまりの出来事に馬乗りになった体勢のまま混乱真っ最中していた。
「直也……」
2年前ならエレナは小学生だぞ!? この変態ロリコン野郎め!← こうやって冷静を保とうとしています。
「直也、口……」
混乱中の俺の唇に指を触れた。
ホワッツ!?
「血出てるよ? 痛かった?」
エレナの指には血が付いていた。 あ、今ので切ったのか?
そしてペロッとエレナは指を舐めた。
な、なななななんて事を!? 次から次から次にとんでもない事を……
と、ここでようやくエレナに乗っかったままだという事に気付いて離れた。
「わ、悪い。 重かったろ?」
「ん? 直也暖かかった」
そりゃヒートアップしてたからな、いろんな意味で……
「ね、口大丈夫?」
エレナは俺の胸に手を付いて俺の唇を見つめる。
あんな事した後でまだ寄るか!? エレナの数年後が心配だぞ! と思ってエレナの唇を見たがエレナは切ってないな。
「まだ血出てるよ?」
エレナは俺の唇から出ている血を舐め取った。
南無……………… どうやらあまりのショックで気を失ったらしい。
気が付くとエレナが包帯を持って俺の顔に巻き付けている最中だった。 な、なんだこれ!? 俺をミイラにする気か?
「な、直也! 生き返った!」
「そりゃ生きてるわ! 逆に窒息死するわ!」
顔に巻かれていた包帯を取り唇を摩る。 気を失うとは情けない、それより学校………… いや、もう休もう。 この程度の事故でなんたるチキンだ俺は……
現にエレナを見ろ、なんともなさそうじゃないか? ってあれ?
「元気になって良かった」
余程心配してたのかエレナは俺の顔を抱きしめる。
し、死ぬ…………
「え、エレナ、苦しい」
「あ、ごめん」
こんな事してるけどもう少し勉強して恥じらい覚えたら恥ずかしいのはエレナになるからな。 下手な事はさせられない。
「学校は?」
「今日は休む!」
「じゃあ私もお勉強は休む!」
「え? いいの?」
「うん、直也と一緒がいい」
それはどういう意味なんだろうか? もしかしてエレナも俺の事…… なんて期待してしまうじゃねぇか。
エレナには十分お金もある。 そして先生とやらがついているのですぐにとは言わないけどここを出て行く可能性だってある。
自分から言っといて最初はいくらエレナの事が好きでも一緒に暮らすとか冗談じゃないとか思っていたがその時が来たら俺はどう思うのだろうか?




