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20 エレナの好き


「直也、今日遊びに行かねぇか? お前に世話になったしお礼してやるよ」


「いや、俺寄るとこあるからパス」


「え〜? なんだよそれ? 人がせっかく恩義を感じてお前に何かしてやろうかと思ってるのによぉ」


「気持ちはありがたいけどな」



エレナは俺が学校へ行ってる間図書館で勉強して俺が迎えに来るのを待ってるからな。 



「ねぇねぇ、直也君!」



ふと羅衣と話をしているとクラスの女子達にに声を掛けられる。



「なんだよ?」


「直也君彼女出来たの?」


「はぁ!?」


「へ?」


「直也君可愛い女の子と歩いてたよね? 声掛けようって思ったんだけど女の子凄く可愛くて見惚れちゃった」


「へぇ〜? そうなのか直也。 お前が? ふぅん」



ええ!? いつの話だ? 見られてた? それにエレナか!? 大咲の事か!?



「見間違いじゃねえの?」


「えー? あれは直也君だったよぉ!」


「直也、ちょっといいか?」



羅衣に肩を組まれて廊下に出される。



「お前もしかして花ちゃんとついにデートしたのか? 女苦手なお前がいつの間に?」


「いや、だから違うって」


「違うのか? 花ちゃんめちゃくちゃ可愛いじゃん?」


「いや、確かに大咲とはこの間出掛けたけどデートじゃなくて用事があって」


「それってデートじゃねぇの?」


「違うって言ってんだろ」


「そこまで否定しなくてもいいだろうよ。 友達として嬉しんだぜ? そんなお前が女の子とデートしてるなんてな! お前のお陰で合コンも上手く行ったし」



そしてじゃあなと言って羅衣は帰って行った。 俺が羅衣の誘いを断ったのも大咲とこれからデートだと思ってるのだろうか? 



ていうかエレナ? 大咲? いや、あんまりその手の噂は気を付けるようにはするが気にしない事にしよう……



今の今なので図書館へエレナを迎えに行く道中はうちの学校の奴らがいないか周りを気にしていたが関係しそうな奴らは別段居そうにはないな。



「直也お帰り」


「まだ帰ってないけどな」


「そうだった。 お疲れ様」


「勉強順調か?」


「九九と分数覚えた」



今日は算数やってたのか。 エレナはどこか自慢げに俺に九九を言ってみせた。 あれから言語野も地味に向上しているようだ。



「偉い?」


「ああ、偉いな。 エレナは頑張り屋だな」


「えへへ。 褒められた、いい子いい子して?」



!? な、なんですと…… 頭を差し出すエレナに震える手でいい子いい子する。 ま、まぁ嬉しそうだし。



ふう…… にしても覚え早いな…… この短期間に。 もしかしてエレナって頭いい?



「猫さんにご飯買って行っていい?」


「いいぞ? 今週の休み猫用のケージとか買っておくか」


「やった! 楽しみ」



餌を買って公園に着き、しばらくすると猫がやって来た。



「猫さんご飯だよ」



エレナは缶を開け猫に差し出すともう餌だと学習している猫は警戒もなく餌を食べ始めた。



「やっぱり美味しそう。 私にも少し……」



と、あろう事かまたエレナは猫の餌に手を伸ばすと……



「シャーーッ!」



バシッ!!



猫パンチを喰らうのであった。



「また猫さんに怒られた」


「当たり前だろ。 大体猫の餌を食べようとするなよ」


「うー……」



家に着くとエレナはテレビを点けて相変わらず食い入るように観ていた。 



「飯だぞー」



飯と言ってもカップラーメンだけどな! こんなんで良いのか? と思うがエレナは美味しそうに食べている。 いろんな種類あるし飽きないんだろうが。



「エレナ、最近変わった事ないか?」


「直也もそれ聞くの? ないよ?」


「俺もって?」


「今日図書館でファウスト先生にもそれ聞かれた」



ブーーッ! 何気なく聞いたんだが予想外の答えにカップラーメンを盛大にエレナの顔面に吹き出してしまった。



「………… 」


「わ、悪い、ビックリして」



エレナは顔に付いた麺をそのまま食べる……



「な、なんでファウスト先生が来たんだ?」


「遅くなったけど誕生日おめでとうって。 これくれた」



エレナは腕を見せた。 腕には金色の腕輪が…… あれ!? そんなの付けてたっけ?? なんで気づかなかったんだ?



「誕生日? エレナって何歳なんだ?」


「14歳だって」



だってって? てか14歳か…… ハーフだからかな? 見た目は大人っぽいんだけど。 14歳だったとは……



「あ、てかおめでとう。 わかんなかった……」


「いいの」


「他には?」


「直也の事聞かれた」


「それで…… なんて?」


「直也好きって言った」



ブーーッ!! 2度目のエレナの顔面に麺を放出してしまう。 エレナはそんなつもりの好きとかではないだろうけどな。



「それ面白い? 私もやっていい?」


「いや、そうじゃな……」



エレナは俺の真似をして俺の顔面に麺を吹き掛けた。




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