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19 大咲とショッピング


「もう! すっぽかすってどういう事ですか!?」


「悪い、イトコがいきなり押し掛けて来て…… 今日の買い物はそれの事なんだが」


「そんなのイトコと一緒に行けば早いじゃないですか? 何故先輩と私に?」


「それがいろいろあって…… うちの親がこっちに行ってるんじゃないかって嗅ぎ回っててな、迂闊に外に出られないんだ」



こうもペラを回して多少罪悪感はあるがこれもこの先平穏無事に過ごす? 為に致し方なしだ。



今は昨日すっぽかした分大咲にお詫びをする羽目になりランチを奢っている。 エレナは今日も図書館で猛勉強中だ。



「まぁ私を頼ったってのは嬉しいですけどね、先輩モテるの知ってますしその中で私を選んでくれたってのもあるし」


「ぐッ……」



そこらの奴と違って追っ払っても執拗に絡んでくる大咲だから今の今までやり取りも続いていたんだが。



「先輩のイトコって可愛いですか?」


「なんだよ急に? 関係あるかそれ」


「うーん、先輩のイトコですもんねぇ。 だから私も知りたいなぁって思っただけです」


「そう言われてもイトコだけに可愛いかどうかなんてよくわかんねぇよ」


「じゃ、じゃあ先輩から見て私って可愛いですか?」



…… ここで可愛いって言わなきゃ買い物付き合ってくれないかな? いや、大咲は可愛いんだと思う、羅衣もそう言ってたし。 だけど俺って大咲の事そんな目で見た事ないし。



「あのー…… なんでそこまで考え込むんですか? 割と傷付くんですけど?」


「いや、真面目に大咲の事考えてただけだ」


「え!? そうなんですか?」


「あ、ああ……」



はぁ…… なんか気疲れする。 エレナの事偽ってるせいか? それとも大咲のこの押しの強さのせいか?



「でもまぁ先輩から誘ってくれて今日は本当嬉しいので昨日すっぽかした事は水に流しちゃいます!」


「それはどうも」


「でも先輩服とか買うなら結構お金掛かると思うんですけどその辺大丈夫ですか?」


「ああ、その辺は心配しなくていい」


「その他日用品も買いたいって言ってたじゃないですか、化粧品とかもありますよ? それ何欲しいかもによりますけど高いかもです」


「それも心配しなくていい」


「先輩って結構お金持ってるんですね。 仕送りそんなに貰ってるんですか?」



ズバズバきやがる…… まさかもう何か疑ってるんじゃないだろうな? 



「ま、まぁそんなとこ」


「仕送り多目に欲しいなんて言ったらイトコが先輩の家に来てるんじゃないかと勘付きそうな気もしますけど……」



鋭い…… そんな鋭さ今発揮しないでくれ。 こっちはつきたくない嘘までついてるんだ。



「大丈夫だって。 そこら辺は俺も上手くやってるさ」


「先輩って優しいですよねぇ。 イトコがいきなり来て厄介になるってのに自分のお金切り崩してあれやこれ買ってあげるんですから」



はは…… 苦笑いしか出てこねぇ。 お金はエレナの大金の一部を使ってるし大咲には口から出まかせほざいてるしな。



「私もそんな先輩にあの時助けてもらっちゃったし。 えへへ」


「機嫌悪くてたまたまそこにお前が絡まれてた奴らが俺に睨まれてると思って逃げただけだろ?」


「そうだとしても今こうしてるじゃないですかぁ。 先輩他に寄ってくる女の子には目もくれないのに」



ドライに接しててもお前ほど何かとグイグイ来る奴もなかなかいなかったんだよ。 その方が女と居て緊張する事もないし。 だがこいつの執念は尋常じゃなかった。



ランチを済ませ大咲主導のもと、エレナに必要ありそうな物を手当たり次第買っていく。 お金の心配がないってのはこういう時物凄くプラスだ。



「うーん、これも可愛くていいですしこれも…… 先輩、どっちの柄が可愛いと思います?」



どっちでもいいんじゃね? 俺に女の好みなんてわかんねぇし。 と言いたい所だがここまでしてもらってはそうは問屋が卸さない。



「その花柄でいいんじゃね?」


「わぁ! 先輩センス良いですねぇ、今年のトレンドバッチリ押さえてるんですね。 私もこれが良いなって思ってたんです」



適当に言ったら今年のトレンドだったとは。 てかそれが良いって思ったんならわざわざ俺に聞く必要もねぇだろと言いたいがまた女心がどうこう言われそうなのでグッと堪える。



ていうか大咲の奴いつの間にか自分の選んでね? まぁ今回は大分助かったしこんな事言ってる俺も何様なので後は大咲の好きなようにさせてもいいか。



服を選んで俺にいちいちこれが似合う? とかあれが似合う? と聞いて来る大咲を見るとエレナもいずれはこういう女の子になっていくのだろうか? と思う。 



「先輩聞いてます?」


「うん? ああ」


「まったく! 上の空でしたよぉ! でも先輩引っ張り回すの楽しいかも。 にししッ」



な、なに!? いつの間にか大咲は俺の腕に自分の腕を回していた。 ギュッと身体をくっ付けやがる……



「あれ? 先輩緊張してます?」


「は? なんで?」


「なんか腕がフルフル震えてるような。 それにお顔が赤くなってますよ?」



ギクリ……



「今の季節考えてみろよ、もう夏だぞ、夏! 暑っ苦しいんだ」


「へぇ〜」



こいつカマ掛けてるな!? 後輩如きに動揺するな動揺するな……



「あ、そういえば日用品といえば女の子ですもんね?」


「そうだけど?」


「いやぁ〜、イトコとはいえ男の人にこんな物買われるってどう思いますかねぇ? なきゃダメですけどね」



あ…… 察し…………



そっち系は完全に大咲に任せる事にした。 エレナ、早くいろいろ勉強してくれ。 そう思い待っていると……



「真央ちゃーん! 早く! こっちこっち」


「もう疲れた。 帰る」


「ダメ!」



ん? 真央ちゃん? 聞いた事あるな。 確か合コンの2人組ボコった奴だよな? 横切るその2人を見てまずないないと思った。





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