11 上の空
あれから2、3日以上が経ちエレナはずっとその間公園に姿を現してない。 そのせいかここ最近の俺は物凄く機嫌が悪かった。
羅衣もそんな俺を気にしていた。
「そんなピリピリしてどうしたんだよ? ここ最近おかしかったけどさ」
「別におかしくねぇだろぉよ」
エレナの奴…… どうしたってんだよ、そんなに俺の事怖かったのかよ? そりゃ目の前であんな事あったら怖がるな決まってるけどそろそろ出て来てくれてもいいだろうに。
「直也君! 直也君!」
「なんだよ?」
「今日私らと一緒にカラオケにでも行かない?」
女子が俺の肩に胸を押し当てそう誘ってくる。
だからやめろっての! 今は嫌悪感しかない。
「行かねぇよ、あっち行け!」
「やん! こわーい!」
怖いと言われるとエレナに怖いと言われた事が重なり更に気分が重たくなる。
「お前めっちゃ怖い顔してるぞ?」
「怖い怖いってどいつもこいつも。 どーせ俺はそんな奴だよ」
「なんかヤケになってないか?」
「なってねぇよ!」
うん、なんかヤケになってるな。 寝よう……
「俺はもう寝る」
「は!?」
「昼休みと授業終わったら起こしてくれ。 じゃあおやすみ」
「何しに学校来たんだお前は」
「お前に言われたくねぇ」
その後午前中は爆睡していた。 先生に何度か起こされ怒られたが……
「昼だぞ、起きろ」
「ん? ああ、おはよう」
一緒に昼飯しようと羅衣に言われるがそんな気分でもないので静かな旧校舎の裏で食べる事にした。
「はぁ〜」
「直也先輩!」
「あ? って大咲か」
「ひっどーい! 私でガッカリみたいな顔しないで下さいよぉ」
「なんか用か?」
「久し振りなのに先輩カリカリしてます」
「そう見えるなら一緒にいない方がいいぞ? 大咲も気分悪くなるから」
そう言うと大咲は意味深に微笑んだ。
「なんですかぁ? それって私を気遣ってくれてるんですか? いやぁ、嬉しいなぁ」
「え? 嬉しいの?」
「先輩はモテるのに女心をわかってませんよねぇ」
うん?
「なんかポジティブだなお前って」
「はい! 先輩と一緒ですから」
「お、おう……」
なんだろう…… めんッどくせぇッ!! これはあれか? なんかして欲しいのか? いやまぁ、大咲は悪気があるわけじゃないし俺が単にイラついてるだけか。
「それとまた忘れてますよ?」
「なんかあったっけ?」
「せーんぱーいッ!」
大咲は俺の頬を両手で顔を近付ける。
またこれだよ! なんでこいつはこんなに顔を近付けたがるんだ!? そんな事されるとガクブルしてくるじゃねぇか……
「お昼一緒にしましょうねって言ったじゃないですか! ってあれ? 先輩お顔怪我してます?」
「怪我? ああ……」
「喧嘩ですか? 先輩ってよく絡まれますよねぇ。 でも喧嘩はダメですよ?」
「俺も出来るならしたくねぇし避けてるつもりだけど?」
それより離れてくれないかなぁ…… すげぇ恥ずかしいんだけど。
「まぁ先輩に前に助けてもらっちゃいましたしそういう事とかなら仕方ないですけどね、もしかしてそれを逆手に取って助けてからのー? なんて事してませんよねぇ?」
「してないしてない! 深読みし過ぎだって」
「うーん、嘘は言ってない目ですね!」
「わかんのかよ?」
「ふふふッ、先輩の反応で。 じゃあ私もここでお昼一緒します。 誰も居なくて静かでいいとこですね、ここ」
「まぁな」
大咲は弁当箱を取り出した。
ちっさッ! そんなんで食べた気になるのかよ? エレナなんてメロンパン食って紅茶飲み干してその後買ったお菓子もあらかた食べてたぞ。
それだけ腹減ってたって事なんだろうけどもし行くアテとかなかったら食べ物どうしてるだろう?
想像したくないけど想像してしまう。 おっかなびっくり野草を食べようとしているエレナの姿を……
「どうかしました?」
「あ、小さい弁当だなって思ってな」
「そうかなぁ? 私的には普通なんですけど。 よかったら御裾分けします? ううん、しちゃいます! これ食べて下さい!」
「お前食べるのなくなるだろ?」
なんて言っても止まるはずがなくあーんとかされて口に放り込まれた。
エレナの事がやっぱり心配だ、公園で待ってただけだったけど今日は探してみるか……




