いじめられてた女の子に憑依したから自由に過ごしてみるwww
タイトルの通りです。
男はかつて社会に立ち向かった。だが社会の闇は大きく男はすぐ様飲み込まれてしまった。
男は金と権力に握り潰されたが心は屈してはいなかった。屈しないまま朽ち果てそして知らない天井を見上げながら目を覚ました。
「ここはどこだ?」
呟き起き上がるとそこはピンクが基調の明るい部屋であった。自分の体を見てみると見事に女の子のモノになっていた。立ち上がり状況を見る。
机の上には日記らしき物と何かの薬物が入ったビン。ビンを見てみると劇薬の様でこれで誰かを暗殺でもするつもりなのかと思いながら日記を手に取る。
「……」
日記を読み進めるとそこにはこの体の女の子が受けていた虐めが綴られていた。誰にも言えずに塞ぎこんで淡々と過ごしている。時に憎たらしいと思っているのが見て分かる。
先生もクラスメイトも親も皆知っている様だが見て見ぬフリをされているみたいだ。
誰も守ってくれない状況で少女は世を恨みながら自殺を選んだ様だ。
「……」
日記の日付と今の時間を少女が所持していたボロボロの携帯で確認する。が、どうやら1日も経っていない……夜に自殺して次の日の朝と言った所であった。
「……」
少女が最も恨んでいた相手は通っている学校の理事長の娘であった。故に誰も逆らえなかったのだろう。
「また権力か」
だがその使い方は娘の方は拙い様で親の力でねじ伏せる形であった。
「こいつ自殺したって事はこの体はもう自由に使って良いって事だよな」
ならば躊躇う事はないだろう。死んだ者同士後先考えずに突っ走ろうじゃないか。男はその少女の学校の制服と鞄を手に取り親に何も言う事無く携帯を頼りに学校へ向かうのであった。
学校に着き教室に入るとクラスメイトが何も言わずにこちらを見て来る。そして自分の席と思われる落ちないであろう落書きが施されゴミが大量に突っ込まれた机に鞄を置く。この少女のロッカーであろう場所を見てみるとロッカーの扉は無くボロボロの教科書やノートが入っていた。
「あらおはようございます。まだ生きていらしてんですね?貴女がいるとお父様の学校の空気が汚れてしまいますので帰ってくださらない?」
「……」
虐めの主犯である理事長の娘さんが見下して話しかけて来る。クラスメイトを横目に見る。怯えた様にこちらを見ていて誰も近づこうとしない。
「……なるほどな」
「あら?貴女の発言権は認めていないわ。それにこの扱いはクラスの皆で決めましたの。素晴らしい民主主義の結果ですわよ」
誰も近づいて来ないという事は権力で無理矢理言う事を聞かせてきたのだろう。誰も慕っていないのは見て分かる。
「バカだなアンタ」
「……!言うに事欠いてバカとは!まだ調教が必要な様ですわね!」
娘さんは憤怒の表情でこちらに力を振るってくる。普通だったら誰かしらが止めるであろうがこの学校でこの娘は普通では無い。
「…………」
「ほら!ゴミの様に這いつくばりなさい!貴女の価値なんてこの学校では無いんですから!」
力を何の考えも無しに振るう。顔に体に腕に足にと。息を切らすまで全力で。だが誰も助けない。このクラスは異常であるから。
「はぁ……はぁ……」
「満足したか?言い残す事は?」
「……まだ……その様な口を」
痛みに耐えて軽口を1つ。娘さんは知らない。この少女がかつてと同じじゃない事を。それなのに手を大きく振り上げる。
「……」
「…………!!ッああああああ!!!!???」
瞬間娘さんの断末魔が響く。クラスメイトは唖然としている。
少女が何をしたか。それは簡単な事だ。振り上げられた手を受け止め人差し指を躊躇いなく関節とは逆方向に曲げただけである。
反撃されるとは思ってなかったであろう。突然の痛みに声を上げて泣く。だが少女は止まらない。
「うるさい」
「うぐっ……ふっ!」
叫ぶ娘さんの腹に膝を入れる。それだけで娘さんは腹を抑えて座り込む。そして座り込んだ娘さんの後頭部を踏みつけて額を床に擦り着けさせる。
「アンタみたいな奴が上に立つってのを考えると吐き気がする」
「ひっ……あぁ………」
娘さんの長い髪を引っ張り足で首に体重をかけていく。この状態ですらクラスの誰もが押し黙ってみているだけである。助けには来ない。
「なあおい?コイツに何かされた事がある奴は言ってみろ。今じゃ何も反抗出来ないぜ?」
少女はクラスメイトを煽る。押し黙っていたクラスメイト達は何も言わないがどこかの誰かがボソボソと小声でされた事を言い出す。
「け、ケータイを無理矢理壊されました。しかも謝るどころかこっちが悪いとか言って……」
口火が切られた。その後はクラス中から娘さんに対する罵詈雑言の嵐である。
「随分恨まれてんな?」
娘さんは何も言えなくなっている。全部やった事が事実なのだろう。呆れ顔で少女はクラスメイトに尋ねる。
「なあコイツどうするよ?もっと罰を与えてみるか?」
「「いいぞー!やっちまえー!」」
今まで持っていた手綱を奪われる。クラスメイトに味方は居ない。
「これがクラスの総意だ。素晴らしいな民主主義って奴は」
娘さんの顔が絶望に染まる。さらに罰をと思った所で教師が駆けつける。
「お前ら!何やってるんだ!?」
「何って?見てわかりません?この娘が言ってる民主主義に則った罰の執行ですよ」
「お前は……その方が誰だか分かっているのか!?」
「何って自分達と同じクラスの一員でしょう?」
髪を引っ張る力を強くして足に更に体重をかける。悶え苦しむ声を上げる。
「素晴らしいですよね民主主義って皆が同意すれば1人を痛めつけても許されるんですから……ねぇ先生?」
「そんなの民主主義でも何でもないぞ!ただの虐めだ」
憤慨した様に言ってしまう。だがこの少女に対しては絶対に言ってはならない言葉であった。
「虐めってわかってるんでしたよね?じゃあ何で自分は……この少女が同じ事されても黙ってたんですか?」
「うっ……それは……だな」
先生が黙ってしまう。それは今一番やってはいけない事である。諦めた様な冷めた目で先生を見つめて一言。
「結局は権力ですか?」
先生が目を逸らしてしまう。それが答えなのだろう。失望して溜息の後髪から手を離し最後に頭を目一杯踏んづける。そしてしゃがみ込み言ってやる。
「今度はもっとマシなやり方で力を使いな」
ごめんなさいと呟き続ける娘さんを横目にそれ以上何もする事なく事態は収束した。
その後は理事長が来て事情を説明して娘の非礼を正式に詫びて今までの弁償を行うと発言した。少女に対しては特にお咎め無しであった。むしろ誠心誠意込めて謝礼をした。
「これで満足かい?体の主さんよ」
帰って両親に事のあらましを伝えるとこちらも謝って来る。が、とりあえずキレておいた。これで多少ワガママ言っても聞いてくれるだろう。
翌日教室に行くと新品になった机やロッカー、教科書類を見てひと安心する。これでいつ少女の意識が戻っても安全であろう。すると恐る恐るといった様子でこちらに近づいてくる娘さん。曲げた指には包帯が巻かれていて顔中傷だらけだ。まあ自分がやったのだが。
「おはようございます……あの今更許される事では無いでしょうが……そのごめんなさい!」
昨日の偉そうな態度はどこへやら。遠慮がちにこちらを見て謝ってくる娘さん。そういや許すか決めてなかったなと思いどうしようかと考えを巡らせる。
「あのっ……それでムシのいい話だとは思いますし断ってもいいですが……」
娘さんがボソボソと言葉を紡ぐ。それを黙って聞いておく。
「私と!お友達になってくれませんか!」
「……ファッ!?」
~fin?~