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魔界食肉日和  作者: トネリコ
魔界編
6/62

6、犬

 




「やっべかわいー、ペットにしてー」

「トカゲー、俺も目と鼻と口と尻尾あるぞー」

「即保健所な」


 お手と言えばズシンとお座りした状態からお手をしてくれる可愛い魔王城の番犬。

 地獄犬ケルベロスのハチである。

 ちなみに真ん中の頭が女の子だからメスだ。左と右はオスな。

 先祖代々番犬血統書付きの子であり、先祖の中には侵入者ゆうしゃを相討ちして仕留めた子や、勇者討伐に行ったまま帰らない主人をずっと待ち続けた子もいるブランド犬なのである。

 ちなみに体長は三mだ。紅茶みたいな赤毛の毛並みは日々のブラッシングと餌によって極上の羽毛布団レベルだから、もう飛び込むだけで日頃のストレスが癒されるのだ。

 ちなみに人間の七歳程度の知能だからとってもお利巧さんである。ぜってーワニよりな!!


「ほら、とってこーい」


 ばうわうキャンと可愛く吠えて生首を取りに行くハチ。

 やっぱりペットにするなら賢い子だよなー、遊びたいし

 ちなみにボールがないかと探してたらワニが差し出して来ただけで、この光景が普通なわけではない。


「トカゲ俺も俺も」

「んじゃ拾え」


 べしっと地面に生首を叩きつける。

 つまらんとかナマ言うんじゃねえ、うるせえわ

 

「トカゲー、一回だけ一回だけ」

「ワニうっぜ、絶対やらねー」


 余計やりたくなくなっていると、ハチがすっと近付いてきた。

 ワニが持っていた生首を受け取っている。

 ばうわう、キャンッ!! 

 キャンの掛け声で吹っ飛ばされる生首。

 いやっほーいと追い掛けるワニ。

 なるほど、これがご主人様ハチワニという意味か


「トカゲー面白いぜー」

「ワニ見てる方が面白いわ」

「トカゲ惚れたってことか」

「ほざけ」


 微笑ましい顔で何故か見守るハチじゃなく私の方に生首、もとい、削られ過ぎて野球ボールくらいになってる元生首を差し出すワニ。


「おいワニ、ご主人様間違えてんぞ」

「次はトカゲの番だしな」

 

 うっぜーだからやらねーってと言いつつ、一回だけとあまりにしつこかったから全力で元生首をぶん投げた。


「ほら! ワニ取ってこーい、そのまま討伐されてこーい!」

「いやっほーい!!」


 投げた瞬間全速力でその場を離れる。

 じゃあなワニ! そこで永遠にご主人を待ち続けてな!!


「あれ、追い掛けっこもやるのか?」

「クッソ! 腕力にポイント割り振りてーわクッソ! 脚も鼻もいいとか種族変えてこいやクッソ!」


 いつの間にかのっしのっしと追いつかれてたので諦めて止まる。

 あ、ミスった

 ピンポン玉くらいの元生首を差し出されたので咄嗟に腕を前に出しちまった

 ぶっしゃーと勢いのついた牙に当たった腕が空を飛ぶ。


「おー、あれも取ってくるわー」

「食べていいからもう帰ってくんなよー」


 餌に釣られたワニを置いて今度こそなんとか逃げ切った。







 

 





 ちなみにトカゲも昔ペットを飼ったことがある。

 ワニとまだ出会っておらず、両親の庇護を離れて一人流離ってた時のことである。

 今は一緒にいないが、はてさて…


 




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