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魔界食肉日和  作者: トネリコ
魔界編
33/62

33、伝説のパイセン

 



「Hey、YOU! Say、ヨウ! そこのお嬢ちゃん! 俺と一緒にヘヴン行かね?」

「イってるのはお前の頭だけにしな」


 街に出たら変なのに絡まれた。


 かなりヤバイ

 すっげー関わりたくない

 でもこいつ無駄に回り込んでくる


 何だその執念さは、何故私何だ

 周り見てくれ。他にいるだろ

 てかまず星型のサングラスって何だ 

 何で金髪をボンバーアフロヘアにしてんだ、格好良いとか思ってんのか

 何で白スーツ着てんだ


 とりあえずヤバイ


「フッ、この俺直々に声を掛けるなんて滅多にないんだぜ」

「あったら今頃ここは通行禁止かお前が牢屋直行だろうな」


 冷静に突っ込んでやったら変人はサングラスに手を掛けた。

 態とらしく溜めてバッとサングラスを投げ捨てる。

 投げ捨てた先で人混みが割れた。


 おい、サングラスを中心に空白地帯が出来てるぞ

 混雑する城下街によく作れたな


 そしてサングラスを外した癖に何で目元隠すんだよ

 意味ないだろ、サングラス拾ってこいよ

 サングラスがいじめられてるみたいで可哀想だろ


「フッ、流石俺が見込んだだけある」

「節穴か。その手をどけて世界を見ろよ。金欠の何を見込んだんだ」

「君からは俺と同じ匂いがする」

「やめてくれ! 不本意すぎる!」


 おい、周囲から同類を見る目で見られてんじゃねーか!

 なんちゅう風評被害を!


「というか一体全体何で呼び止めたんだ? もう行くぞ」

「フッ、そう焦りなさんなベイビーちゃん」

「きもい」

「仕方ない。ではミュージックスタート!」

「……は?」


 変人アフロがくるりと背を向け、やれやれと言わんばかりに目元を覆っていた手で空を指さした。

 すると何処からともなく白スーツ軍団が現れる。


 一人が音楽器を付け、二人が旗を振り出した。バックダンサーもいやがる

 んあ? しかもわんこ系、腹黒系、爽やか系、武人系その他のイケメンだと?

 それもそれぞれ真っ黒悪魔羽に三角尻尾が生えている。


 こいつらインキュバスか!

 まあサキュバスの男版である。

 つまり客は客でもホストクラブへの客というわけだ。


 あほか、そんな金あるか!! もっかい新人から観察眼見直してこいや!!


「てか今真っ昼間だぞ!」

「そう、俺が魔界を照らしてるから!」


 パイセンひゃっほーい!!

 流石パイセン!!ちょーまぶしー!!

 よっ、本日一発目のパイセン名言いただきましたー!!


「白スーツ組がうっせえ!!」

「フッ、俺の魅力がそうさせてるのよ」


 アフロが白い歯と共に流し目を送ってきた。


 何だその決まったといいたげな顔は?

 顔立ちはインキュバスだから整ってるが、アフロと性格を考えろ

 調子乗んなよ、殴りてえ


 後ろではバックダンサー組が空中でバク宙やら尻尾ブレイクダンスやらで場を盛り上げている。

 アフロ、お前のアフロが邪魔だ

 むしろ後ろが見てえんだが

 観客の視線も完全にあっち向いてんぞ

 

「仕方ない、まだ俺の魅力が大きすぎて分かっていないようだ」

「逆だ。無を覗き込んでも無しかねえ」

「ヘイドッグ!」


 バッとアフロが両手を広げた。

 武士系が近付いてきてふぁっさと真っ白なファー付きコートをアフロに掛けた。

 

「ヘイソルジャー!」


 わんこ系が近付いてきてアフロに煙草を銜えさせる。

 近い近い無駄に近い


「ヘイガール!」

 

 腹黒系がアフロの煙草に火を付けた。

 だから近い近い無駄に近い


「アーユーオーケー?」

「オーケーシーユー」


 何処に自信満々に流し目出来る要素あったよ

 この手下インキュバス達に何したんだこのアフロ

 そっちの意味でこええよ

 そしてネーミングセンスが壊滅してる気がするのは私だけか?

 周囲が突っ込まないのは遠慮してるのか?


 …、なるほど、関わりたくない系か


「手強いな。仕方ない。時間だし帰るとするか」

「おーおー帰れ帰れ、フラグも持ち帰れ」


 ようやく解放されたと一安心していると、アフロがバッとアフロに手を突っ込んだ。


 こわいわ! どうした!?


 そこからジャラララララと一魔円硬貨が魔法の様に出てくる。 

 つか魔法じゃね!? というか、え? は!?

 

「まあ勧誘に失敗する時もある! 今日もよくやった。夜も頑張ろうぞ!」


 はいパイセン!

 パイセンの伝説はこっからですよ!

 パイセン、指名一位取ったらドンペリ入れていいですかー!


「いいぞいいぞ。さあミュージック掛けながら帰るか!」

「はーい!!」


「金? 勧誘? え、おい説明、聞くから説明だけして帰れやアフロ!! ――クッソ帰る時だけ何であっさりなんだよ!!」

 

 羽をばっさと広げて戦隊の様に飛んでいかれては追いつくもクソもなかった。

 何だったんだクッソ

 ただ無性に負けた感あるんだがクッソ





後日



「うがー!!!」


 魔界ニュース雑誌を地面に投げ捨てる。

 地団駄を思わず踏む。


「おー、トカゲ吠えてどうしたー? 腹痛かー?」

「ままならなさに頭痛がやべえよ」


 燃え尽きて地面に倒れながら雑誌の記事を指差す。

 

「おー、『遂に伝説の夜の帝王が動いた!? アイドル業界への新風なるか!! その豊富な資金力で成功の可能性は非常に高い』おーあのうるさい奴なー」

「ワニですら知ってる奴だったのか」



 何だか燃え尽きすぎてワニの口に雑誌を放り込むトカゲだった。



 






ワニの出番今回はこれだけ(笑)


アフロは現代でいうZャニーさん的存在

ホスト界の帝王

昔は一夜で一千魔円稼いだこともあるナンバーワンホストだった伝説その他が…

ホストクラブの七割はアフロの子会社である。

キュバクラ経営にも乗り出そうと考えていたが、キュバクラの女帝(女版逆バージョン)とかち合い協定を結んだため取りやめ。

代わりにアイドル業界へと歩を進める運びとなった


ちなみにトカゲをもしアイドル化させてたら、地味系だけど冷静なツッコミ役MC(たまにS)として育てる予定だったらしい

超特大金蔓ワニが居るので、アフロの嗅覚はやはりすごかった


ちなみにサングラスは帰る時に手下白スーツ(爽やか系)が回収しました

よかったね!




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