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魔界食肉日和  作者: トネリコ
魔界編
28/62

28、宰相様

 




 出勤すると宰相様が首を吊ろうとしていた


「ちょちょちょ、宰相様!?」

「離してくれえ!! 折角誰も来ない書庫最奥で首吊ってやろうと思ったのに何で来るんだ! クビにするぞ!」

「理不尽! 分かりました、じゃ、首吊ってください」

「…いや、止めてくれてもいいんだぞ」

「大丈夫です」

「クビにしてやる」

「宰相うっぜー」


 咄嗟に止めたが別に実害もないしなと思い許可した。


 クビの方が実害があるしな。飯食えないとか死活問題である。ガチで

 というか宰相、首吊ったぐれーじゃ死なねーだろ

 視界の端でプランプラン遊ばれるのも鬱陶しいが


 どーぞどーぞと勧めるとショックを受けた顔で眼鏡を直している。


 ちょ、腕震え過ぎでっせ

 そんなショック受けんでも

 メンタルよっわ!


「つか首吊らないんすか」

「今もう吊らない流れだろうが!」

「いや、別に止めてないんすけど」

 

 結局やめたようである。


 何ブツブツ今日は日取りが悪いとか言い訳してるんすか

 こちとら早く戻らないと司書長にファイアーされるんすけど 

 自殺しようとする宰相ほど暇じゃないんすけど


「おい全部口から出てるぞ」

「つい本音が」

「弱った奴に鞭打つとかクソだなおい」

「魔界なんで」


 イライラしたのか適当に禁書を取り出して破いては口に入れている。

 禁書がぎゃあーとうるさい。


 え、これ怒られるの自分すか?

 いや、確かこれほぼ宰相の出資金で集まってるし大丈夫だろ


 ちなみに宰相は山羊族である。

 頭が山羊で体がほっそい人型だ。

 黒くて太い年輪まみれの巻き角を持った白山羊さんである。重そうだなと毎度思う。


 私はさっきから舐めた態度を取ってるが、草食系の獣人だからと舐めるとヤバイ

 どこがヤバイって、まずさっき言った様に禁書の中身を全部覚えてるのである。

 つまり魔法関連に特化したヤバイ奴なのだ。

 ワニが対個人タイプなら、宰相は対軍タイプだろう。

 ストレス溜まりすぎてキレると大規模魔法をひたすらぶっぱするのである。

 思うに魔界と真面目は混ぜるな危険だと思うのだ。


 ストレス溜まってぶっぱするぐらいならもう少してきとーにやりゃーいーのに

 この前、宰相が間接的に関わったせいで人間にぶっ刺されたの覚えてんだかんなー


 ちなみに二週間に一度の頻度でぴょんぴょんさせている。

 心がじゃなくて人間の体を十mほどな

 月末は二十mになるらしい


 宰相が出るとすぐ分かるから、人間界軍から最近ブラックフライデー呼ばわりされてるとの情報が入っている。


 なんでブラックだって?

 人間側の絶望感と、宰相の得意のが暗黒魔法だっつーのと、イッちゃってる時の宰相は黒山羊さんになるからである。


 白山羊さんの今は舐めた口叩けるが、黒山羊さんを見たら即逃げねばならない

 この前廃人にされた奴いるしガクブル

 まあ白山羊さんは大丈夫だ


「はぁ、最近部下がな」

「え、話すんすか」

「愚痴聞く流れだろうが!」

「仕事中なんで」


 えー、という面倒くさい気持ちを全面に押し出していたら臨時ボーナスを貰えることになった。


 おっしゃゴネてみるもんだな!!

 で、なんすか

 あ、お菓子いります?


「…査察入れるかな。というかお前等みたいな奴が多いから俺の仕事が増えてるんだよ! 頼んだ仕事の期限守らねーわ誤字脱字当たり前だわ未だに反魔王様勢力が湧くわ人間共が深夜もきてうるさいわ徹夜残業続きのせいで隈取れないわ白髪増えたわ太ったわ嫁に仕事と家庭どっちが大事?と言われるわ息子におじさんだれー?と言われた気持ちがわかるか!?」

「うわ、宰相超ブラックだな。奥さん達とこれ行くといーぜ」

「お、おう、何だ気が利く奴なんだな」


 適当に配られた遊園地のペアチケットを渡す。

 宰相ちょろかった。

 聞き流してたから最後しか聞けてねーがな

 何でも新リニューアルだとかで配られたのだ。

 二人以上じゃないと使えないのでこっちは使う予定もないし丁度いいだろ

 ついでに白髪は分からんから安心して全白髪なりゃあいいと思うぞ


「はぁ、魔王さまも何で写真集とか出してるんだか」

「えー、いいじゃないっすか。私も二冊買いましたよ」

「二冊もか!? お前ですらファンか。確かにまたすぐ新しいの出させろと出版社がうるさいが」

「まあ一冊は前宰相にあげたんすけどねー」

「前…、宰、相…」


 言った瞬間宰相が静かになった。

 怪訝に思ってお煎餅から口を離していると、ぶるぶると宰相が震え始める。

 

 え、ちょ、お、おい宰相…


「ま、待て! いないから! 別に今ここにいないから!」


 段々と色が黒山羊さんになっていく宰相。

 ひい! 前宰相何したんだよ!!

 単語だけでストレス掛かり過ぎて黒化してんだけど!!


「奥さん! 子供を思い出せ! 負けんな! マジで死にたくねえ!!」

「meeeeee…、eeええ、嫁、子供……追い出された…。もうダメだ、全部壊して死のう」

「逆効果だった!!! マジで死ぬ! 誰か助けてくれ!!」



「おー、いいぞー」

「ワニ!?」



 黒山羊さん化した宰相が大規模魔法をぶっぱするすんでの所で、ワニが宰相を後ろから襲い気絶させた。


 マジ城崩壊も含めて色々間一髪だった。

 宰相が接近戦へぼくてホントよかった。

 思わずへたりこむ。 

 これ臨時ボーナス5倍くらいないと割りに合わんわ


「トカゲ無事かー?」 

「今ワニへの好感度上がったわ、マジサンキュー」


 手を伸ばして引っ張ってもらう。


「おー結婚するかー?」


 馬鹿力のせいでポーンと腕が肩から飛んだ。


「残念、好感度下がりましたー」


 ぶっしゃーと生やしながら煎餅をポリポリ。

 ひとまず司書長への言い訳は宰相に丸投げしようと思った。



 後日、以来偶に宰相が愚痴りに来るように。

 吸血鬼といい、ここ何でも部屋じゃないんだが

 あ、お菓子きれたし宰相に頼むか

 お菓子が豪華になって臨時ボーナスも出るのはよかったと思う。



 




死にかけ慣れしているので早々に宰相に慣れたトカゲ

地雷ワードは死に掛けつつ身を持って覚えたようだ

とりあえず「前宰相」「離婚」「仕事+締切+(部下、人間、魔王様など)」でぷっつんするそうな

トカゲ「つまりあれから最低四回は廃人の危機を超えたな」

それでも臨時ボーナスとお菓子のグレードアップの魅力は凄く、吸血鬼や前宰相に比べればトカゲ的気持ちの歓迎度は上である

てきとーに聞いてるしな、愚痴は念仏、公認の仕事休憩時間だな いえい

トカゲの宰相の印象:ぷっつんしなけりゃまあ無害。まじめ山羊。城畜。お菓子のセンスは褒めてやろう。遊園地の件成功してよかったな


◆宰相◆

 詳しくは後日の紹介3にて

 トカゲのお陰か最近ぶっぱが三週間に一回になったらしい

 遊園地の件が成功して以来少し浮かれている

 魔王様がそれを見て少しイラついている

 宰相はトカゲに家庭関連の相談を始めたようだ

 しかしあまりに浮かれているので妻にすらちょっとイラつかれている

 そして最近家に帰ってきたり変わろうとしてたりで、もしかして浮気してるのかと妻に少し疑われているのを宰相もトカゲもしらない

 ちなみに宰相の妻は武闘派闘牛人である

 2人共ふぁいとー


次話「魔女」3000字とながめ~お楽しみに~


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