あの日。
自分でヨクワカランやつです。読んでくれたら嬉しいです。
日が沈む前だっただろうか。宿のベッドの上に寝転がっていた時、窓から入ってきた風の音が騒がしかった。起き上がり窓の外を見る。遠くの山の方角に大きな炎が舞い上がっていた。!
あの場所は、もしかしたらと思い気になったので私は宿の外へ出た。ここまで落ち着かないのは初めての事なのだ。あいつは大丈夫だろうか。
無我夢中で走った。
炎は腹が減っているのか、周りの建物も食い荒らそうとしている。それを阻止しようとたくさんの人々が水で消火している。そもそもこれは誰がやったのだろうかと思う。あいつの屋敷の手伝いさん達はやるわけないだろ。そうすると誰が…
考えている内に一人の男が複数の兵士に囲まれていた。 えっ! ただその時の俺は倒れそうになるほどに体がフタツに裂ける様な最低な気分だった。私が一番見たかった顔であり、私が一番見てはいけない人物だった。頭の中で混乱が起きている時にあいつと目があった。あいつは無表情だった、どこまでも本心を隠した顔だった。
あいつが暗闇の中に連れられていかれた後に、建物は消火され終わっていた。私は一人ベンチに座っていた。まだ混乱したままの頭を押さえながら。人々が消えていくと風は俺の横を無視して通る。
自分はしっかり 視る 事が出来ていただろうか。かなりの時間あいつと過ごしてきたのに、なのに一つも些細な事も気付けなかった。気付けなかったのだ。
月が場所を移していた。そろそろ帰ろうか、と腰を上げもと来た道へと戻ろうとする。
一人の泣き声が聞こえる。まだ幼泣き声だ、こんな時間に何故ここに?
声の聞こえる方へ向かうと…
それは、私が知っている顔で、一番見たかった顔だった。あいつの娘だ。あの子も私の顔を知っているはずだ。
私はその子に近づき手を差し伸べた。すると私の手に抱きつき離さない。この子はまだ幼いのだ、そして何よりあいつの娘なのだ。私よりももっと伸びしがあるだろう。
私はこの子を保護する事にした。
ありがとうございました。