赤い竜
俺は森の奥へと進んでいく。気配察知や魔力察知などの魔法が使えれば
どれだけ楽なことかと思う。
そんな事を思いつつ俺に対する敵意を感じた。
その瞬間―――
「おぉ~!こいつは大物だ」
俺の目の前に現れたのは真っ赤な色の竜だった。
大きさは思ったよりも大きくなく、5メートル程の大きさだ。
次の瞬間、赤い竜はいきなりこっちにブレスを吐いてきた。
「はぁ!」
脚に【力】を集中させて大きくジャンプし竜の後ろに着地する。
この竜はどのぐらいのレベルなのだろうか?というかレベルという
概念自体があるのだろうか?
竜はブレスがあたらなかったのに怒ったのか、ブレスを連続で吐いて
くる。これじゃあ森がはげちまうよ。
腰から銀の筒を取り出し、力を込めるとシュウゥゥという音と共に
水色のビームの剣となる。
1番最初に見た時はどういう原理なのか、先代師匠はかなりのオタクだった
と思った。
爺さん曰く、先代師匠が各地を回っている時に水の精霊からもらった魔石?
だったかを原動力にしているらしい。ミスリルや魔力で武器を纏えるもの
意外のものをスパっとと豆腐のように切れてしまう恐ろしい武器だ。
赤い竜には悪いが俺も試験なんでね、やらせてもらうよ!
「いくぞ!」
片腕を前にだしてやつの体内を想像する、そこから肺を潰すイメージを
する。
その瞬間、やつの口からブレスが途切れ苦しみだした。
俺が使っているこの【力】は想像力も重要になってくるのだ。
今がチャンスとばかりに、やつの近くまでジャンプをし一瞬で首を
刎ねる。
「悪いが俺の糧となってくれ」
▼
腹の真ん中からビーム剣で斬り、心臓辺りの魔石を取り出す。
深紅に輝くソフトボール並の大きさだ。
そこでこの死体について考える。
テンプレ通りにアイテムボックスや空間魔法が使えれば……。
何回思ったであろうか、もはやコンプレックスの域にまで達している
のかもしれない。
「とりあえずもってきた麻の袋にはいるだけ入れていこう」
素材になりそうな牙、鱗辺りを一通り袋につめてこの場をあとにした。
▼
「爺さん、戻りました!」
「おぉ、でかしたぞ。お主は何を倒したんじゃ?」
そこで俺は深紅の魔石を見せる。
「おぉ!これはレッドドラゴンの魔石じゃな?まさか竜種を倒してくるとはおもわなんだ」
「あの竜ってそんなに強かったんですか?」
「そうじゃのう、並の冒険者じゃ勝てないと思うぞ?」
「そうなんですか……ところで試験は合格でしょうか?」
「文句なしの合格じゃ!これからお主にはとある作業をしてもらうからちょっと待っておれ」
作業?なんだろう?
しばらくすると爺さんは大きな箱を持ってきた。
「師匠が後世の為に残した道具箱じゃ、わしにはガラクタにしか見えなんがお主には違うのではないか?」
そこで俺がみたものは機械の部品の数々だった。
なぜ明らかに異質なものがこの世界に?と思ったが、先代師匠も転生者
ってことだし何らかのスキル?を持ってたかもしれない。
しばらく眺めていると箱のそこに設計図のようなものがあることに
気がついた。
それを広げてみてみるとどうやらあのビーム剣の設計図のようだった。