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邂逅





 正直俺は困惑してた。

 

 最近では会話すらまともにしていない状態が続いていたし、目の前の

 人物が善人なのか悪人なのか。だが今となってはそんな事どうでもいい

 と思ってしまう自分がいる。


「あなたはいったい誰なんですか?」


 自然と言葉が口からこぼれてしまう。


「わしか?わしはこの森に住んでいるただの爺じゃよ」


 ただの爺が狼の魔物を瞬殺できるとは到底思えないのだが……。

 この際その疑問は隣においておこう。


「お主は色々疑問に思うこともあるじゃろう、わしの家で少し話さんか?」


 俺は自然と頷いていた。なんだろう、この人からはいやな気配?が

 一切感じられない。







 魔物に襲われた場所から1時間ほど歩いただろうか。飾り気の無い

 木でできたログハウスのようなところについた。


「ここがわしの家じゃ。どうじゃ?なかなか風情があるじゃろ?」


 風情があるかどうかはわからないが、今まで幽閉されていた家よりは

 温かみを感じる事ができる。


 家に入り、暖炉の前に椅子に腰を下ろす。


 すると老人は静かに語り始めた。


「まず何から話そうかのう……。そじゃな、まずはわしの師匠の事から話そうか……師匠と出合ったのはもう800年も前のことじゃった―――」



 いきなり話のスケールがでかすぎるぜ爺さんよ。てか明らかに人族?じゃ

 ねーな。


「わしはエルフの里に生を受けたのじゃが、魔法は使えんし精霊と会話する事もできない無能者じゃった、物心つく頃には里を追い出され行く宛ても無いまま各地を彷徨っておったんじゃ―――」


「その時偶然この森に立ち寄った時お主と同じように師匠に遭遇したんじゃよ。師匠は行く宛てのないわしを息子同然に育ててくれてのう、生きる術を叩き込んできれたんじゃ」


「師匠は不思議な術を使う事ができてのう、物を浮かせたり人の心を読んだり、すごい距離をジャンプしてみたり、最初は魔法かと思っておったが話を聞くと師匠も無能力者だったんじゃ」


 なんだろう、遥かかなたの銀河系にいる騎士の様な力をもっていたのかな?


「師匠もわしと同じエルフ族でのう、やはりわしと同じく里を追い出されたそうな。師匠は各地を旅したり、山奥で修行する事によって【力】に目覚めたらしいのじゃ」


「そして師匠は死ぬ間際に全てをわしに話してくれたんじゃ、“俺は異世界から転生したんだ”とな。最初はわしも冗談かと思っておったが、師匠のあの瞳には嘘はないと確信してのう。師匠は最後の【力】を使って“未来視”をして遠い未来お主が現れることを予言なされて、この世界を旅立ったのじゃ―――」


 俺意外にもやはり転生者がいたんだな。ぶっちゃけ驚きはしたが、

 やはりと思う気持ちも強かった。


「爺さんはなぜ俺があそこに居ることがわかったの?それとも偶然?」


「わしも近い未来であれば“観る”ことができるのでな、予言の日が近かったもんで、瞑想に耽っていたのじゃよ」


「話は大体わかったよ、それで俺はどうすればいいの?」


「それはお主が決めることじゃ、ここに残るもよし、再び鳥かごに戻るもよし。決して未来は1つではないからのう」


「爺さんはわかってるかもしれないけど、俺は一応貴族の息子でさ、いきなり消えたら騒ぎになる可能性があるんだ。だから、森に通うってのはどうかな?」


「わしはお主の気持ちを尊重するぞ、好きなようにするとよい」


 よし、俺の腹は決まった!【力】を学んで、この世界を生き抜いてやる!


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