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送り火

 お盆も今日にて終了だ。送り火を終えて、ようやく完全に日常へと戻って来れた。普通はここまで気を張る行事でもないのだろうが、うちは母が年中行事に敏感なのでなにかイベントがある度に疲労がたまる。本来、日本のものでない行事にも母は本気だ。例えばクリスマスには敬虔なクリスチャンになるし、ハロウィンでは形式的に私と兄に仮装をさせる。カボチャでジャック・オー・ランタンも作る。ジャック・オー・ランタンを放置して蠅がたかったこともある(母は何故か大喜びだった)。そんな母なので日本の行事ともなればかなり本気になる。準備も作法も抜かりない。当然私もそんな母に躾けられてきたわけだからそれなりに心得はあるけれど、正直肩が凝って仕方がない。これはこれで一種の女子力と言えばそうなのかもしれなが。

 ともあれ、だからお盆が終わると私は本格的にだらけることができる開放感に包まれるというわけだ。

 部屋でごろごろしていると携帯電話がメールを受信した。友人であるはかむらひるまからだった。私はそのメールの内容に少し呆れるとともに閉口した。

 どうもひるまはお盆中、熱を出してほとんど行事に参加できなかったらしい。だから今日、お墓参りに付き合ってほしいとのことだった。

 そんなの家族に付き合って貰えよと思わなくもないが、まあ家族はもう既にお参りに行ったのだから付き合う義理もないのか。しかし、どうして一人で行かないのだろう。そう思って返信する。

 私の返信に対するひるまの答えは『あの公営墓地』に一人で行くのは怖いとのことだった。なるほど墓村家もうちと同じ場所に墓を構えているらしい。

 理由はわかった。まあ、別に優先してやるべきこともない暇人の私である。付き合ってやってもばちは当たるまい。私は了承し、家を出た。


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