人生リセット?
若返ったら、人生にリセットできたら。
人間だれしも、一度は考えてしまうかもしれない。
でも、実際にそんなことはありえないと、誰でもありえないとわかっている。
わかっているんだけどね・・・。
「なんじゃこれー!」
俺は鏡の前で雄叫びをあげる。
「遼!朝からうるさい!吠えてないで朝食食べて学校に行け!ついでに、それ拾って持って来いよ。」
バコーンっと頭にカバンが当たる。
廊下を通りかかった兄貴のカバンが、俺の頭にヒット。
しかもカバンを拾って持ってこさせようだなんて・・・ひどいぜ兄貴。
洗面所で顔を洗おうとした俺が見たのは、ふと見た鏡に映る中学生ぐらいの男の子だ。
叫んだ声が声変わり途中で、変な声だった。
声変わりの途中ってことは、記憶が確かなら中学二年頃。
え!?俺って今現在、社会人よ。
働き盛り40代。結婚もしてるぜ。子供も2人いる。
さっきまで寝ぼけてて気づかなかったが、俺は実家にいるんだ?帰ってきた記憶がない。
しかも、なんだこの若さは!
実家に俺がいるってことは、兄貴は?親は?俺は急いで居間に向かう。
「兄貴!大変だ!俺が若いぜ!」
今度はスリッパが飛んでくる。
ひどいよ。弟は大切にしろよな。
「遼、朝からバカか?カバンとスリッパを持って来いよ。」
ため息つきながら『バカは一生治らないのか』と、首を振るな。
俺はバカじゃねぇ!・・・たぶん。
「兄貴の制服姿・・・あれ?高校生か?」
俺を振り返って、可哀想なものを見る眼をヤメロ。
なぜこうなった。
訳の分からぬ間に何が起こった。
とりあえず、俺の通っていた中学に学ラン着て登校した。
だって、兄貴が早くいけと追い出すんだ・・・朝ごはん食べ損ねた。
空腹のお腹をさすりながら考える。
兄貴がいた。親はいなかった。
そうだ、中学生時代から親はアメリカに行ってたっけ。
仕事で海外赴任するってことで、兄貴と俺に一緒に行くかと聞いてきたんだよな。
俺と兄貴はめんどくさいと断ったんだっけなぁ。
俺は言葉の壁で、兄貴は付き合っている彼女と離れたくなくて。
その彼女と兄貴は結婚している。
親には留学はカッコいいぞ。モテルぞと熱心に誘われたが、断ったんだっけ。
母親は父親と一緒に行く気満々だったけどね。
あの夫婦は万年新婚さんで、ラブラブだった。
いい年した夫婦が恥ずかしいと思ったが、結婚した今、その気持ちが痛いほどよくわかる。
だって俺、嫁さんにラブだもん。
ハッ!俺の嫁と言えば、中学生のころはお互いに相手の存在もしらないや。
社会人になって知り合ったからなぁ。
お互いに県が離れているし、嫁の実家に行っても不審者を見る眼で追い出されるかもしれない。
俺たちの愛の巣だった家も・・・行ってもないな。
何日か学校に通ったが、懐かしかった。
剥げ親父の横に貫録がつきはじめた同級生のアイツが、あんなにかわいかったのかと、時間は罪なことをすると笑えたり、音楽なんぞ覚えちゃいないと嘆いたり。
笛でピーだよ。
おたまじゃくしの音符を一生懸命追いかけたともさ。
逆に英語はバッチリだね。
昔は英語なんぞできなくて嘆いていたのにさ、社会人になると英語は必須で覚えたよ。
英語、中国語、ドイツ語を一生懸命に覚えたさ。
覚えなければ仕事にならないからね。
お金を稼ぐには大変なんだと、社会に出て思い知ったさ。
2回目の中学生活だ、勉強も一度しているもんな。思い出しながらの勉強はずいぶんとはかどる。
世の中学生よ、一から勉強するよりも楽だわ。俺、今回の中学生活は成績優秀者になれるぜ!
人間関係も社会人スキルで大丈夫だし、受験はどうしようか?
有名高や大学、はたまた違う職に就くのも有だ。
違う人生やり直して、人生の勝ち組目指すのも有だね。
でも嫁とは出会えなくなる。
そんな人生はまっぴらごめんだ。
嫁と一緒にいられるなら、人生の勝ち組に乗らなくてもよい。
同じ人生を歩んでも後悔はしない。
そういえば、嫁って頭良かったなぁー。
嫁と同じ高校受験する?
で、高校で付き合ってラブラブ生活。
嫁の制服姿・・・萌える。
若くて、かわいいんだぞ!俺はもしかして、嫁の若かりし頃を見るために中学生に戻ったのかもしれない!
嫁の色々が見れる!この人生も悪くない。
早く高校生になりたいぜ。
どうせなら幼稚園から見たかった。そして唾つけておきたかった。
ヨシ!なんとしてでも嫁と結婚するぞ!
待ってろよ嫁!俺が今いくぜ!




