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プロローグ
いつからだろう、カフェが好きだ。
カフェというよりバールが好きなのかもしれない。
バールというのはイタリア版カフェとも呼べる空間で、
コーヒーはもちろん軽食にランチ、お酒まで出てくる夢のような空間だ。
そして私は時間さえあればバールへ向かう。
朝のカプチーノ、食後のエスプレッソ、仕事終わりにまた一杯。
しかも、決まって飲むと眠くなる。
時間や量は関係ない。
飲むとどうしても眠いのだ。
お酒を少し加えたエスプレッソである『コレット』など飲めばひとたまりもない。
カウンターで立ったまま寝ること請け合いだ。
まぁ、そんなことを言いながらも通ってしまうのだが。
新しい土地に行くと、真っ先に探すのがバールと駅の二つである。
幸い、日本の鉄道は信頼できる。
定刻通りに規則正しく運行されるし、車両からはみ出して乗ることもない。
私の場合は世間の人とは違った時間帯に通勤しているから、もみくちゃにされることもない。
よくよく考えると、最初からこういう仕事が向いていたように思う。
警官のように真面目でもなく、営業マンのように誠実でもない私には…