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クライシス

俺は急いで森を駆け出した。

雑草が茂っている中、急いでかき分けて前へ進む。

蛍が草を分けるたびに飛び立つ。

何処だ。何処にいるんだ。と心の中で叫び足跡をたどる。

「!見つけたぞ……!」

乱れた鼓動を整えながら俺は剣を構える。

夜のせいで周りは暗く、はっきりとは見えない。

だが魔物に集中をする。そうすれば魔物のシルエットが浮かんでくるのだ。

「手間かけさせんなよっ!」

俺は剣を振りかざした。魔物が真っ二つに斬れ、同時に血も噴水のように水が噴き出た。

隊服に血がどっぷりとつく。

俺はしばらく魔物だったものを見つめる。

クライシスという組織に入って、一年が経った。

クライシスは、住民が安全に暮らせるように作られた組織である。

ここ都心のセントラルタウンの端の周りには森がある。森の名前をフィーンドフォーストと言うのだが、フィーンドフォーストは【悪魔の森】と言われ、魔物の住みかとなっていて魔物の中でも人間に危害を加えるものが存在する。危害を加えられた住民はクライシスに依頼書を提出しなければならない。これ以上の被害を増やさないため、女王様が決めたことだ。

そして、依頼書を貰った俺たちクライシスはその依頼書で魔物の特徴や色などを確認し、追跡する。

一部隊から三部隊まであり、一部隊がエリート集団の一級。二部隊が二級。三部隊が三級である。

俺は一部隊に配属されているのだが……。

「俺が一部隊の中で一番弱いからって、たった一匹の雑魚をソロで任せられるなんてな」

誰がどの依頼を引き受けるのかはそれぞれの隊の司長が判断する。

こうやって一つずつこなしていくことで腕を上げることができるのだが、それでもやっぱり文句は口からこぼれてくる。

俺はため息をつき、報告書を取り出してハンコを押しリストから消した。

「はあ、戻るか」

剣をしまい歩き出す。もと行った道を歩くと、同じ一部隊の隊員を見つけた。

「カイド、終わったの?私も終わったところなんだー。一緒に報告書提出しに行かない?」

赤髪の少女、レイシア。一番隊の中でも一番強いやつで、一部隊司長のイア司長が一番頼りにしている人物でもある。

「本当お気楽な奴だよな、お前。いつもにこにこして」

「何言ってるの?私だって怒るんだよ!ほら!」

レイシアは眉毛を指で押し上げ、怒っているように見せる。俺はそれを見てため息をつく。

ふとレイシアの報告書を見ると、危険度上位の魔物を仕留めていることが分かった。

「人って見かけによらないよな」

俺がボソッと言うとにっこりとした表情でレイシアが俺を見て言う。

「何?」

あ、はい。すみません。

俺たちはクライシスへと戻り、報告書を提出した。

「ご苦労様。二人とも怪我がなくてなによりだよ」

イア司長が俺たちを交互に見て笑いながら言う。

「はい!ちゃんと仕事を成し遂げました」

にっとりとレイシアが敬礼をして返す。

「あの、いつになったら俺はもっと強い魔物を狩れるんですか?」

俺は気になっていることを聞いてみた。なんとなくこれからもずっとあの雑魚を倒し続けるのかと思うとため息が出たのだ。

「君は、そんな気持ちで魔物を狩ってきたの?一匹一匹、住民の人たちを傷つけたものを排除する誇りをもってしないと。これが身に染みて分からないんじゃ、まだまだ今のままだよ」

厳しい言葉を言われてしまった。俺は黙ったまま扉を閉める。

「ねえ、カイド。イア司長の言ってることは正しいんだよ」

レイシアはそう言って自室へと戻っていった。

そうだ。俺は人を守りたくてこの仕事についたんだ。魔物が強いとか弱いとかそういう話ではなくて、何人の人を守れたかということなのだ。

俺は自室に入り、ベッドにうつ伏せになった状態で寝転ぶ。

その時。

「きゃあああああああああああああっ!!」

外から悲鳴が聞こえた。今日はクライシスのホールを使ってお偉い様たちがパーティーをしている。そこで何かあったのだろうか。バタバタと足音が聞こえる。俺も急いでホールへ向かった。

ホールへ着くと驚いた。巨大な魔物がホールに入っている。そして人間を歯で噛み砕いている。

「カイド!」

振り向くと同じ隊のアルファがいた。

「後ろに回って!」

「分かった!」

俺は走って魔物の後ろ側に向かう。

「レイシア!」

カイ総長、つまり一番クライシスで偉い人がレイシアの名前を呼ぶ。レイシアもこのホールに来たのか。

「わかってます!」

レイシアは魔物に向かって走り、足を一気に切りつける。魔物は無残に倒れるが手が使えるため、手で動き、人を食い始める。

「カイド!殺して!」

レイシアは息を荒くしながら俺に頼む。

「了解っ!」

俺は剣を構え、叫び声を出しながら魔物に直行する。足を開き、ジャンプをして魔物の頭の上に上り頭からまっすぐに斬った。内臓がどろどろと俺の左右ににじみ出てくるが気にしない。それよりも俺はこの魔物を斬れたことに驚いていた。

「すごいね、成長したんだよ」

いつの間にかイア司長が後ろにいて、俺の肩を叩いた。

「カイド、ちょっと来い」

驚いた。総長に呼ばれたのだ。

「はい」

なんの話だろう。

登場人物

カイ総長。

一部隊司長 イア(男)

一部隊隊員

・カイド

・レイシア

・アルファ

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