第二話:彼女の来た理由
脳内彼女 第二章:彼女の来た理由
ジリリリリリリリリリリ。
「なんだよ。目覚ましがこの俺様に勝てると思ってるのか?」
ガシッ、ブンッ、ボーン。
「ふっ、これで二度寝できるな・・」
その時、ドアが開いて妹が・・・・と言う様なベタな演出は無かった。
実際は「カァー、カァー」と言うカラスの声が聞こえていた。
そう・・・もう夕方である。
「ふぁぁ。よく寝たな〜」
俺は寝ながら背伸びをして、起きて飯でも作ろうかと言う時に。
「なに普通に生活してるのよ。」
???
ハッ、そうだった。普通に生活してる場合じゃなかった。
「昨日はよくも鈍器DEドンっとやってくれたな」
「まぁ、そんなことは置いといて」
そんなこと?俺はそのおかげで酷い目にあったんだからな。
!!!
いいことを思いついた。
俺も念じればこの女(脳内)にドンッっとできるんじゃないか?
フッ、やってやるぜ。
「ドン!ドンッッ!!ドンッッッ!!!」
昨日俺がドンッとやられたみたいに俺は大きな声を出しながら叫んだ。
「・・・あなたまだ分かってないの?」
ナニッ!まだ懲りないか、なら・・・。
「ドンッ」
俺はまた鋭い痛みを感じた。
「うぅ・・何故?俺はドンッとできないのか・・・俺の脳なのに・・」
俺の作戦は見事に散った。
「私はあなたの脳を占領してるのよ?あなたは私に何もできないの」
うぅ、俺は自分の脳が何をしようと指をくわえてみてろってことか。
「うぅ・・俺に何をしようってんだ」
俺は絶望感に溢れていた。
だってよ?俺は脳を占領されちまってんだぜ?俺はどうすれば・・・。
「別にあなたをどうこうしようってことじゃ無いから」
じゃぁ・・・なんのために?
「ハァ・・・私はあなたに呼ばれたのよ。彼女がほしいって言うから」
俺に呼ばれた?俺は呼んでねぇ。
そうか!俺は神だ!・・・・昨日のオチみたいになるからやめよう。
「あっぶない。今ドンッっとやるところだった」
・・・・・う〜ん・・・ヌ〜ン。
「わたしぃわぁ〜、男じゃなくぅてぇ〜、女なのぉ〜」
「・・・・消すよ」
??!
いきなり鋭い声に変わった・・・消される??!
「いや、たんま、まって、消さないで〜」
俺は必死に命乞いした・・・だって・・・いやじゃん、死ぬの。
どんだけキレイな言葉並べても、やっぱ可愛いのは・・・自分じゃん?
「とにかく、私はあなたの要望どうり来たの。分かった?」
俺は正直納得いかない。俺の脳が占領されてる間は俺は好きな事ができない。
「・・・・・」
俺は黙り込んだ。ここで気軽に「はい!」と答えれば俺の人生が狂う。
「返事は?どうなの?」
「・・・・」
俺は黙り込んだままだった。
「・・・消すよ」
ひぃ、出た。必殺消すよ攻撃!勿論、俺は死にたくない。
「はっ、はい!本官は了承したでござる。いや、ござります。だから・・・消さないで〜」
フッ、やってやったぜ。哀れに命乞いしてやったぜ。
にしても、なんだ?この達成感は?俺はMだったのか?
「さ〜て、これで晴れて私の来た理由も分かったことだし。よろしく。名前は?」
俺の脳内に居ながら名前も知らないのか。
「俺は中野 浩二だ!世界を愛と平和で満たす浩二だ。よろしくッ!」
フッ、決まった!いつまでもなめられたままじゃないんだぜ!
「・・・ドラッグやってた人間がそんなこと言えるの?」
グハッ、予期せぬカウンターを食らった・・・致死傷に値する、その必殺技は。
「ちなみに私は名前が無いからあなたに決めてもらおうかな」
あっ。俺の考えた事が分かるのに流した。
そんなことより、名前無いのか〜。そうだ!脳 内子にしよう!
「またドンッってされたいの?」
やはりこれは流さなかったか〜。
う〜ん。何かいい名前はないかな〜?
そ〜だ!ここはオーディエンスの使い所だ!
さぁ、会場のみなさん。一斉にお手元のスイッチをどうぞ!
「ドンッ!」
まただ・・・痛てぇ。
「はい、お手元のスイッチを押したわよ」
「お前じゃね〜よ」
よし!俺はドンッとやられた時にいい名前を思いつた。
「お前の名前は二階堂 凛だ」
フフッ、我ながらいい名前だ。
「いいわね〜。ところでなんで突然思いついたの?」
「そりゃ〜、俺のやってたゲームのヒロインの名前・・・。
「ドンッッッ!!!」
フフ、やっぱこんなオチかよ〜。
俺は再び深い眠りについた。