構成要件に該当する。但し、違法性阻却且つ有責性を問えない行為。
その後、下の階に住人(この方は、家の事情を知っていた)の通報と自首の電話で救急車が到着。
続いて、警察が到着する。
家に踏み込んだ救急隊員は、血だらけで倒れている男を発見。
傍らには抱き合いながら身を寄せ合う、母と娘。
その後直ぐ男は病院に搬送されるが、頭蓋内出血が原因で死亡。
殺人の実行者は、男の家族―――娘であった。
驚くべきことに、娘は当時12歳。
中学1年生だった。
しかし、この事件の異常な点は他にもある。
事件当時、男の妻と娘は、男から暴行を受けており全身打撲だけでなく、顔面には暴行の後が生々しく残っていた。
毛細血管が切れ、顔は2倍にも膨れていた。
救急隊員はこう言ったという。
「あの時、二人は震えており、心神耗弱しているように見えた。」
実際、妻と娘の身体にはその時の暴行跡だけで無く、以前からの傷や内出血の跡が消えていなかった。
娘は病院で全治3カ月。妻は全治4か月の傷を負っていたのである。
(注)サブタイトル
『構成要件に該当する。但し、違法性阻却且つ有責性を問えない行為。』
刑法的には、絶ッッ対あり得ない文章ですよね。
今回は、まあ、ご容赦下さい。
≪捕捉≫
そもそも、犯罪の成否を考えるにあたって下記の手順で考えます。
①構成要件に該当するか?
該当すれば、次へ。しない場合は、そこで終了。犯罪不成立。
②違法性の検討
「違法性があるか?」では無く、「阻却事由が無いか?」を検討します。具体的には、正当防衛など。正当防衛が成立すれば、犯罪不成立。そこで終了。
③有責性の有無
刑事未成年や心神喪失などの考慮します。
結論。
違法性阻却事由が認められれば、そこでお終い。わざわざ、有責性の有無を検討する必要も全く無く、ましてや、「且つ」という接続で並べられる事は無いというわけです。