無限ループ
残酷な表現あり。
暴力描写あり。
私の記憶では(定かではないが)小学生高学年あたりから、父から暴行を受けていた。
最初は、泣いて見ているだけだった私が、男に喰ってかかった事が原因らしい。
男が暴れる。
母と私が逃げる。
再び、男が暴れる。
母と私が逃げる。
この繰り返しだった。
ある日、男が暴れて母と私は民間シェルターに逃げ込んだ。
暴行のあとをみて事態の深刻さを理解した警察がやっと動き出し、父を数日間拘置所に入れてくれた。
――――しかし。
本当の地獄はここから始まったのである。
それから数日後。
その日は父が拘置所から家に帰ってくる日だった。
私が学校から帰ってきて、夕飯の支度をしていた。
母が、父を連れて帰って来た。
後から聞いた話では父は警察での態度は良く、家に到着するその時まで驚くほど優しかったという。
ガチャリ。
「ただいま」
「・・・おかえりなさい」
男と久しぶりに顔を合わせた。
ニヤリ
と、その男は笑って言った。
「よくも やってくれたな」
その瞬間、隣にいた母の左目あたりを殴る。
母の身体が真横に吹っ飛び、壁に頭からぶつかる。
私は、急いで助けを呼ぼうと、ベランダに駆け寄った。
ドタドタドタドタ
猛然と男が私の襟首を掴み、投げ飛ばした。
背中から思いっきり地面に打ちつけられ、息が出来なかった。
バシッという音が聞こえた。
続いて、私の左頬が熱い!!
そして今度は、私の右頬が殴られる。
バシッ!バシッ!!バシッ!!!
痛イ痛イ痛い痛い痛い痛い痛イィイイイイイイイイィィイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!
怖いよおおォォォォォォオオオオオォオオオオオオオオオォォオオオオオオオオ!!
母が、私を守ろうと男の背中に飛びかかる。
男の注意が母に向う。
バキィ!
と音がして、母が後ろに倒させる。
バシッバシッ
と男が母を殴りはじめる。
このままでは
母も私も
殺される
隣の居間に用意されていたビール瓶を掴んだ。
男の後に立つ。
私は
ビール瓶を掴んだ腕を
躊躇なく
男の後頭部に叩きつけた。