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真の目的は魔王討伐後にあり

掲載日:2026/07/16

 「おお、栄光なる聖戦士たちよ!よくぞ魔王を倒して平和を取り戻してくれた。」




突如としてこの世に現れ、世界支配を企む魔王を倒した聖戦士たち。


出発の地点としてイタリーア王国に戻ってきた聖戦士に壮大な歓迎の祝杯が挙げられる。



王「おお、聖戦士トランプよ。よくぞ無事戻った。お前のおかげで世界は平和を取り戻したのだ。感謝するぞ、ご苦労であった。」


トランプ「ははっ!この聖戦士トランプ!世のため人のため、このイタリーア王国のために魔王を打倒し、その手下の残党も残らず掃討して参りました。もうこの世界に魔物が我が物顔で闊歩することはございません。」


王「うむ、素晴らしい活躍であった。民たちもさぞ喜んでいることだろう。せっかくの冒険譚を聞きたいところであるが、長旅で疲れているであろう。ささ、部屋をとりあえず用意した。ゆっくり旅の疲れをとるがよい。豪華な部屋だぞ、はははは!」



トランプ「ははぁ、ありがたきお言葉感謝いたしまする。それでは失礼つかまつります。」


部下の誘導で王の間を引き上げるトランプの心の中では怒りの炎が燃え盛っていた。

(腐れ豚野郎が!せいぜい今の内に優越感にひたっているがいい!)


王族の声かけによりイタリーア王国は総出で祝杯ムードとなり城下町は盛大な祭りとなっていた。


聖戦士様万歳!イタリーア王国万歳!と各所で聞かれる声。祝福ムードが国全体を覆っていた。



そして夕刻となって城の中の大食堂では王族が一同に集まり会食が開始された。もちろん聖戦士トランプが主役である。


王「それでは魔王を倒したトランプに乾杯!!」


一同嬉しさと楽しさに満ちた笑顔で宴がスタートした。


豪勢な食事がところなしに並んでいる。トランプはあまりの美味しさなのか無言でがっつくように食べだした。そして時は流れて王が話し出す。


王「みな聞け!本日の主役であるトランプにこれより冒険譚を聞いてみようと思う。トランプよ。魔王を倒したいきさつを話してみてくれ。みな聞きたがっているのだ。」


おおぉぉ!という歓声が聞こえた後に一同は静まり返った。



トランプ「ははは、そうですね。何から話しましょうかね…まず、皆様方、私の他に仲間3人いたのは覚えてらっしゃいますか?」


王「おお、そうだったな。魔王討伐をトランプに命じた時にお前の後ろに3人が控えておったな。部下と思っていたが…。そういえばその3人は一緒ではないのか。」


トランプ「ええ、部下というより仲間ですね。まあ、リーダーは私ですが…、まあ私1人で魔王を倒したわけではないってことですよ。4人で聖戦士の力を持って冒険を開始したんですけどね、まあ、討伐命令を受けたのが1年前ですか…、うんうん早いものですよね。まあ最初は簡単でサクサク冒険は進んでいきましたよ。途中で村によってクエストの依頼を受けては金を調達して宿屋に寝泊まりして…金に余裕が出てきたら体力魔力の回復アイテムやら購入したりって感じでね。魔物を何度も倒していると、村とかの周辺を支配しているボス的な魔物を倒したりとね。ええ、そんな繰り返しで魔王の城まで行きましたよ。」


王「ふむふむ、色々苦労があったろうに涼しい顔で話すとはさすがは聖戦士トランプだな、そういえば各国の状況も教えてくれんか、魔物の被害とかはどうであったのだ?」



トランプ「ああ、そうですね。まあスペイーニャ国とかブラジリア国、アメリカーナ国とか…まあ、みんな魔物の人的被害には困ってましたけどね。別に農作物とかに被害があるわけではないけれど魔物は人を食べますから…。あっ、ジャポネ国は崩壊寸前でしたね。まあ、魔王の城に近かったですしね。あと1週間遅れてたら国自体無くなっていたんじゃないですかね。」


おおぉ…一同に表情が固くなり聞いていた。



王「それでトランプよ、魔王はやはり強大な力であったろう。その力はいかほどのものであったか。」



トランプ「はい、それはそれは今までの中ボス連中とは訳が違いますよ、そりゃ。魔王の城に入ってからは魔物全体のレベルが格段に上がりましたね。まあ、紆余曲折で魔王の間にたどり着きました。まあ、魔王とはその時に色々会話しましたが、結局戦闘になって仲間二人はその最後の戦闘で死にましたね。魔王を倒したら、他の魔物みんなその魔力を失い、烏合の衆と化しましたので…そうなれば掃討もたやすいものです。もはや強大な力を持った魔物など存在しません。…であとの1人の仲間はもう役目は終わったと言っていなくなりました。」



王「そうであったか、それでここに現れたのはトランプ1人なのだな。その1年間の冒険は予には想像もつかぬ大変なものであったろうに…。しかしトランプよ、お主のおかげで世界は平和になったのだ。感謝するぞ。」



トランプ「ははぁ!ありがたき幸せにござりまする。ところで王様。お願いがありまして聞いていただいてよろしいでしょうか。」



王「うむ、当然だ。お前の願いは何でも叶えてやろう。この国で予ができぬことは何もない。」



トランプ「それを聞いてこのトランプ安心致しました。それではお願いの前に進言致したいと思います。まず、魔王がこの世界に現れたのは2年前でそれまで世界が平和であったことはありません。平和だったと思っているのなら勘違い甚だしいですよ。」



王「んっ、……何を言っている。」



トランプ「各国は戦争を繰り返していたしその間の村々は納税と重労働を課せられていました。村々は貧困が続いておりましたし、城下町でも貧富の差が極端に激しい現状でした。町にはホームレスが多数いる一方、この城の豪勢さには目が覆うばかりです。王族や貴族たちは豪勢な暮らしを辞められず、中間所得層以下の収入の者は幸福を感じているものなどあまりいなかったように思えます。このイタリーア王国も各国と違いはありません。民が苦しんでいるのに隣国であるスペイーニャ国と領土を巡って小競り合いを繰り返してましたよね。生活が苦しいのに徴兵を繰り返すなど言語道断の所業を王は繰り返してきたのです。」



王「むむむ…貴様。さっきから誰に言っているのだ。予が誰かわかっているのか。聖戦士といえ容赦はせぬぞ。」



トランプ「ははは、本性をもっともっと出してください。しかし、先に言っときますよ。私はあんたらが国を挙げて倒せなかった魔王を倒してきたんですよ。あんたらに私を捕まえることができるのですか?。もっというならあんたを殺すのには1秒あれば十分だ。」



王「…くっ。」

王族一同表情がひきつり無言でいた。たしかにどれだけの護衛兵を使ったところでこのトランプを倒せるわけがないのだ。



トランプ「じゃあ、そのままお口をチャックして話を聞いてね。俺は聖戦士と言われているが、あんたら王族連中を殺すのに躊躇はしない。なぜならあんたらは人の命に尊厳を感じない犯罪者だからだ。…というわけで続きを話すよ。」



王族一同動けずにそのまま聞く耳をたてた。いやトランプの話を聞かなければ殺されるかもしれないと一抹の不安を覚えた。



トランプ「じゃあ、俺のお願いを言いますね。えっとね、まずは王族一同平民になってもらう。あんたらの財産は全部没収。城下町に行くもよし、自然豊かな村に行って生活するもよしで好きにしていいよ。」



一同「な、な、なんだって!…」



王「調子にのるな!なぜこの王である予が平民にならなければならんのだ。ふざけるのもたいがいにいたせ!」



トランプ「ほぉーいいね、いいね。ならばこの場を借りて公開処刑とさせてもらおうか。王よ!貴様のせいでどれだけの民の幸福が犠牲になったと思っている。貴様の食べる食事、この建物、きらびやかな衣装、すべて民のおかげというのがわからんのか!」


トランプの右手にうっすら青色の炎が姿を見せる。古代の書に載っている聖戦士といえる存在こそが扱えるという魔法といわれる存在だ。その姿を見たものはほとんどいない。


その青色の炎が風を立ち上げて豪炎となり大食堂の室温を跳ね上げ恐怖の空間を演出する。


もはやトランプ以外の一同は死の恐怖を味わうこととなった。



王「わ、わかった…こ、殺さんでくれ。」



トランプ「殺さないでくださいだ、馬鹿野郎が!お前のその太った腹も平民達の血税のおかげだぞこらぁ!」



王「こ、殺さないでください…。」


トランプの右手の炎がおさまった。自由にその魔法を操れる存在。その剣と魔力で魔王を倒してきたのだ。

一同はもうトランプの言うことに従うしかなかった。



トランプ「よし、では1時間後に王の広間に集まれ。その時に貴族の者たち及び平民の各地区の代表はもちろん平民の者たちも王の間に入れるだけの人数を集めろ。いいなぁ。」



王の間は500人ほどが入れる広さを持つ。なにぶん壁や床や王座もすべてが豪勢だ。すべて民の税金である。王族はその税金で食べているのにないがしろににしていたのだった。

そして、人々が王の間に集まりトランプが王座の前に立ち演説を始めた。王は最前列の真ん中にいてトランプの話を聞くことになった。



トランプ「みなさん!お疲れ様です、聖戦士トランプです。先日魔王を倒して帰ってきました。はいっ、まあその苦労話はとりあえずいいです。今からね、このイタリーア王国の今後について王の代わりに話そうと思います。いいですか、まず王には引退してもらって、王族も貴族もみんな平民になってもらいます。って言っても全員平民に一気にすると国が成り立たないんで代表者を選定して国の行政や政治を担ってもらいます、とりあえずね。それまでは私が平民の代表者たち、貴族の代表者たちと話し合って国の運営を決めたいと思います。王族は一同平民です。隠居って形になります。まあ、平民の中には殺したいぐらい憎んでいる人もいるかもしれませんが、イジメないでくださいね、はい!」


一同はざわついている。王は何も喋らない。何か要望を言うとトランプに殺されるかもしれないからだ。


トランプ「あとね、僕はとりあえず国の運営を代表者が決まるまではこの国にいますよ。平民が選挙って形で代表者を決めて政治が安定していったらお役ごめんかなって思います。このお城は王のものではなく国民のものってことで運営方法はまたみんなで話し合って決めてください。あとね、これもまた以外かもしれないけど、なぜ魔王が突如生まれてこの聖戦士である僕がこの世界に現れたかよくわかりません。魔物たちは人間以上に知能があって、生きるために人間を食べるってゆう存在で作られていたようです。生きるために…。で、魔王と対峙して話して思ったのは魔王は別に手下の魔物たちのために生きていたように思う。環境破壊もしないし魔物同士で争うことも当然ない。みんな魔物たちは魔王を尊敬していて忠実だった。でも人間たちはどうだ。一部の権力者が権力を握って平民たちから重税と労働で自分たちの暮らしをよくすることしか考えていない。しかも権力欲は底を知らず国同士で戦争して同じ人間同士が殺し合う。その被害者はすべて平民だ。僕は魔王の考えを聞いて人間より崇高な考えを持っていると思った。でも魔王を倒すしかなかったんだ。なぜなら人間を食べないと魔物たちは生きていけないのだから。人を1人食べるだけ魔物1体は1か月生きれるらしい。でも人間を食べ続けないといけないんだ。だから奴らとの共存を諦めて魔王を倒してこれ以上魔物が存在できないようにした。でも決意したよ。人間の腐れ権力者たちの追放をな。王から魔王討伐を頼まれた時、少しの支度金しかよこさなかった王のくそ野郎。自分らでは討伐できないってわかってたし、俺が魔王に殺されることも想定してただろうな。期待されてない表情で送りだされたよ。俺の仲間の顔も覚えてないってさ。もう一人生き残った仲間は他の国で王政打倒を掲げて俺と同じことをしてくれてるよ。魔王が誕生して聖戦士の俺も誕生した。魔王がいなけれりゃ、この腐った王族はずっとこのまま贅沢三昧で生きていたことだろう。みんな、よく考えてくれ。」



イタリーア王国の98%以上の者達は歓喜に包まれた。魔物に襲われる心配もなくなった上に王政が打倒され民主主義の国に生まれ変わろうとしている。



トランプは魔王が倒されたら聖戦士である自分の存在も消えると思っていた。でも消えなかった。もしかしたらこの国、いや世界に真の平和が訪れた時に存在が消えるかもしれない。そうしてこの世界の行く末を見届けることにした…。



読んでいただきありがとうございます。

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