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始まりの魔王と終わりの勇者  ~猫になった最凶魔王と天然最強勇者のハチャメチャ144日間大陸救済旅~  作者: 式見 汀花
第二章 東の都 ~いろいろとデカい都~

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第99話 天空の決戦 #2

「守護龍さん、ギリギリで体当たりを避けられる?」

「えっ? 風とか、ぶわって、すごいと思いますよ。大丈夫ですか?」

「僕は大丈夫。とりあえず、一気に終わらせる気で行くよ。お姉さんと君は、衝撃に備えておいて」


 兵士長の娘に言う。すぐに彼女は、僕がなにをする気か気づいたようだ。


「おっ、お兄ちゃん、大丈夫なの?」

「さあ、分かんないけど……。成功すれば勝ちだからね。やってみる価値はあるさ」

「しくじったら死ぬぜぇ?」


 聖女も分かったのか、言ってくる。それに頷いて、笑う。


「善処しますよ。死ぬかもしれないのは、どの瞬間でも同じですしね」

「まったく……。こういう、己の身を危険に晒す賭けの時だけは、思い切りがいいな、お前は。普段からそうしろ」


 頭上から魔王が言ってくる。それに、苦笑した。


「ごめんなさい。でも、諦めて付き合ってくださいね、魔王さん」

「仕方あるまい。さあ、来るぞ。死ぬなよ、小僧」

「了解です」


 答えながら、左手を握り、開く。篭手の具合はいい。

 僕の目には、豆粒のように小さな黒い塊が、前方に見えていた。あれが、巨龍か。

 それがじわじわと、大きくなっている。じわじわという感覚だが、実際には凄まじい速度なのだろう。

 しくじれば、僕の身体は粉々になって死ぬ。それくらいの速度だろう。


 僕は集中して、剣気を身体から呼び起こした。

 それを左手、両足に配分して込める。


「守護龍さん、大体でいいから、ぶつかるまでのカウント、できる?」

「はいっ。あの速度だと、もうすぐ……十秒前です! 九、八――」


 カウントダウンが進む。

 僕は、息を吐いて、吸った。全身に、力を込める。


「五、四、三……」


 黒い点は、もう、巨龍だと分かるくらいまで近づいてきている。


 カウントは、もう必要なかった。僕自身の感覚でタイミングを取り、思い切り破壊龍目がけて、飛んだ。巨龍との正面衝突は避けるため、少しだけ軸をずらして。


 守護龍は、急激に降下して、体当たりを躱そうとする。

 僕は、破壊龍の鼻先目がけて、左手を伸ばした。

 破壊龍は、風の抵抗を減らすためか、翼を畳み、矢のように飛んできていた。


 そこまでは、想定内だ。

 僕は巨龍の鼻先に、狙い通り、左手をかけた。衝撃を殺すため、手がかかる寸前に手を引いてから掴む。


 そこから先は、感覚と勘だ。

 凄まじい衝撃が、左腕にかかった。べきっ、ごきっ、と肘、肩から嫌な音がした。

 だが、気には留めない。剣気で強化した指を鼻先に食い込ませる。


 折れた左腕が、逆方向へと曲がろうとする。突進によって生まれる猛風が、身体を跳ね飛ばそうとする。それに逆らわず、僕は巨龍の真上へと身体を回転させて逃がした。左手が鼻先をしっかり掴んでいるから、飛ばされはしない。


 破壊龍の体当たりは、空を切った。守護龍は、見事にギリギリで回避した。


 通過して即座に、巨龍は減速しようとしてくる。そのタイミングを見計らって、僕は運動エネルギーを殺すための姿勢制御をした後、左手を放した。

 当然の帰結として、僕は破壊龍の背中に降り立つ。


 左手が犠牲になったが、狙い通りの状況を手にすることができた。

 さて、ここからどうするか――


 僕はしゃがんで、破壊龍の背中に、剣を持ったまま右手を当てた。


「聞こえますか、破壊龍さん」


 呼びかけてみる。頭の上で魔王が呆れる気配があったが、なにも言ってはこない。


「聞こえますか。あなたにも、心があるなら……僕に答えてくれませんか。誰も殺したり、壊さないで済む方法があるなら、それを一緒に考えませんか?」


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