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始まりの魔王と終わりの勇者  ~猫になった最凶魔王と天然最強勇者のハチャメチャ144日間大陸救済旅~  作者: 式見 汀花
第二章 東の都 ~いろいろとデカい都~

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第98話 天空の決戦 #1

 守護龍は大地を蹴ると、みるみるうちに高度を上げていった。

 数日前の僕らであれば、それだけでぺしゃんこになるか伸びていただろうが、今はもう、どうってこともない。無限の青空を見据えて、気持ちを整える。

 上空、何百メートルだろうか。訓練ではおなじみの高さで、守護龍は停止した。


「どうしましょう、勇者さん! ちょっと移動とか、したほうがいいでしょうか?」

「いや、都の真上のほうがいいと思う。そのほうが、たとえばあの火炎弾とかを吐かれても、都には落ちないと思うから」

「了解です!」

「でも、常に破壊龍の様子、攻撃方向には注意していて。流れ弾が、絶対に都や町、村に行かないように位置取りしてほしい。できるだけ、山や海を背にするんだ」

「それも、了解ですっ!」


 僕は、兵士長の娘と聖女に目配せをした。彼女らも頷く。


 兵士長の娘は、剣ではなくて弓矢を装備していた。聖女は手ぶらだ。一応、さっき修道士にもらった謎の小袋は懐に持っているが。


 聖女は魔法を使っての防御や掩護を担当する。

 兵士長の娘は、弓矢を使っての掩護を担当する。


 聖女の魔法の力は先日証明済みだ。兵士長の娘は、僕ほどにはまだ至らないものの、剣気を使用することはできる。矢に込めて飛ばすことも、一応できる。ダメージを与えることができるかは分からないが、注意を引いたりはできるはずだ。


 魔王は、僕の頭の上にへばりついて、主に僕に対する攻撃の防御を担当する。

 そして僕は、ここまでの訓練である程度は戻ってきていた剣気を使用して、攻撃に専念する。


 最大の問題点は、僕の剣気は破壊龍に通用するのか、ということだが――


 守護龍と呼吸を合わせて飛ぶ訓練は、まさしく、剣気を読み、制御する訓練と同じでもあった。そのおかげで、僕の剣気はそこそこ、戻ってきている感じがある。

 光波にして飛ばすまではできないが、剣に纏わせて斬る、ということは、なんの問題もなくできる。訓練のおかげで、腕や脚に剣気を込め、身体能力を強化する、ということもある程度まで可能だ。

 それを踏まえ、魔王は僕を見て、破壊龍を十分に殺せる、と判断してくれた。


 ただし――それはあの巨龍に対して極限まで肉薄して、直接攻撃することが条件だとも言った。

 となれば、方法はあまりない。


 絵本なんかでは、龍の背に乗り込んだ勇者が、空中でそのまま悪い龍とやり合っているような、そんな描写だったが。あまり、それは現実的ではないだろう。

 確実なのは、機を見て破壊龍の背に飛び移り、斬り伏せてしまうことだ。

 飛び移るのが成功さえしてしまえば、あとは完全に無防備な相手を斬るだけになる。


 問題は、どのようにして飛び移るかだが。

 そのための隙を、兵士長の娘の弓矢や、聖女の魔法、あるいは魔王の魔法か、守護龍の動きで作り出すことになっている。


 つまり、事は単純だ。


 僕が破壊龍に飛びつくことができれば、勝ち。

 そうできずに、僕が剣気を操れないほど疲弊するかやられてしまえば、負け。

 そういう戦いになる。


 僕は気を引き締めた。

 守護龍が言ってくる。


「勇者さん! すごい速度でクソ龍、真っ直ぐこっちに来ます! 待ち構えますか!」

「うん。とりあえず、待ち構えよう」


 僕たちを前に、破壊龍がブレーキをかけて、対峙したところから、戦闘開始だ。

 が、守護龍が焦ったような声を出した。


「まっ、まさか、アイツ……」

「どうしたの?」

「勇者さん! アイツ、体当たりしてくる気です! 減速しません!」

「ええっ!?」


 いきなり、プランが崩壊した。確かに、あっちにはわざわざ止まる理由はないのか。目一杯加速しているなら、そのままぶつかってやればいい。以前の戦いで、守護龍に体当たりされているし、その意趣返しのつもりでもあるんだろうか。


 僕は、内心で笑った。剣を抜いて、右手に持つ。


 ――なら、もう、理想の形は手にしたも同然じゃないか。


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