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始まりの魔王と終わりの勇者  ~猫になった最凶魔王と天然最強勇者のハチャメチャ144日間大陸救済旅~  作者: 式見 汀花
第二章 東の都 ~いろいろとデカい都~

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第93話 守護龍ちゃん #2

 こうしてみんなと一緒に過ごしていると、守護龍だけでなく、みんなについても、いろいろと分かってくる。


 たとえば。冗談めかしているが、聖女は本当に聖女なのだということ。

 生活習慣が控えめに言っても終わっているが、常に僕たち全員に目を配っていて、さりげなく必要な言葉をくれたり、誘導をしてくれている。

 かつて魔王の師であった、というだけあり、魔王も実際には、頭が上がっていない。握るべき部分のコントロールは、常に聖女が握っているのが分かる。

 僕も、子供の頃からこの人の世話になりっぱなしだ。

 今も、深刻な空気は少しも漂わせないまま、きっと本心から、どこかで役に立つ助言をしてくれているんだろう。


 現に、守護龍は目を輝かせて、聖女の言葉に頷いている。


「聖女のお姉さんや勇者さんの言う通り、ちゃんと謝ってみます!」

「そうだねぇ、それがいい。全員、これくらい素直だと話が早いんだけどねぇ。勇者や魔王ってのは、ヒネた跳ねっ返りばっかりでよくないよねぇ」

「お前、鏡を見たことはあるか?」

「言うと思ったけど、分かってやってるのと分かってないのとは天と地の差だからねぇ」


 また飛んでくる魔王の言葉に、聖女は煙を吐きながら素知らぬ顔だったが。

 ともかく、全員しっかり丼ものを完食してから、まずは壊れた壁の所へと向かうことにした。


 作業員たちもちょうどお昼休みで、弁当を広げているところだった。

 守護龍は作業員たちの目の前に進み出て、頭を下げる。


「あの……壁を壊してしまって、ごめんなさい! 私がやりました!」


 それを聞いて、作業員たちは爆笑していた。破壊の規模と、原因が目の前の守護龍である女の子というギャップが、確かに面白くはあった。


 怒っている人などはひとりもおらず、でも、シャレにならないからもう二度と壊しちゃダメだよ、と注意される。


 それに元気よく守護龍が返事をしてから、持ってきた差し入れをみんなで配った。作業員たちは満足げで、ますます修繕作業への熱意を高めてくれたようだった。作業が完了したとき、特別ボーナスを支給してくれるよう、首長にお願いもしてある。そのお金は当然、僕たちで準備した。


 次に、畜産農家のところを訪ねた。


 壁の外にある、柵で囲まれた放牧区域のところにいた強面こわもて髭面ひげづらのおじさんに事情を説明して、牛や馬を無断で食べてしまったことを謝罪する。(守護龍はおじさんの人相を一目見て震え上がっていた)


 農家のおじさんは、やはり、少しも怒っていなかった。それどころか、ウチの牛は旨かっただろう、とまで言ってきたのだった。


 僕たちは、新しく家畜を買えるように被害の分の代金を支払ったあと、世話をしている馬や牛、羊などを撫でたりなどの、牧場体験をさせてもらった。

 動物を食料としてしか見ていなかったという守護龍は、乗馬体験に感動し、牛の乳搾り体験に感動し、羊の毛刈りを見て、歓声を上げていた。


 守護龍の一挙手一投足に、農家のおじさんも、僕たちも、終始顔をほころばせていた。

 牧羊犬と駆けっこをしたりもして、僕たちは思う存分、牧場で遊んだ。


 あっという間に、時刻は夕刻になっていた。

 農家のおじさんに改めて謝罪とお礼を言って、僕たちは市壁の中へと戻る。


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