表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始まりの魔王と終わりの勇者  ~猫になった最凶魔王と天然最強勇者のハチャメチャ144日間大陸救済旅~  作者: 式見 汀花
第二章 東の都 ~いろいろとデカい都~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/104

第100話 天空の決戦 #3

 僕が呼びかける間、巨龍は空中に静止していた。

 それは風を切る轟音もなにもない、完全なる静寂の世界だった。まるで、全く異なる世界に、僕と魔王と破壊龍、三人で取り残されたような。


 だが。破壊龍は突然、頭を持ち上げると巨大な咆哮をあげた。

 それから、身体をひるがえす。邪気を発散し、猛スピードで動き始めた。

 背中から僕らを振り落とす気だ。


「魔王さん! これ、どう思いますか」

「交渉決裂じゃないのか!」


 必死で動きに堪えて、背中にしがみつく。守護龍とは乗り心地が違いすぎる。


「この龍に、心はあるんですか? 僕の呼びかけに、一応は反応してるんじゃないですか、これは!」

「さあな。どちらとも言えぬ、が、調べる方法はあるぞ」

「なんです?」

「魔物には、『核』と呼ばれるものがある。なければならない。それを調べるのだ」

「どうやって?」

「いいか、お前は魔物を殺す際、心臓や脳を狙っていただろうが――」


 そこで、破壊龍はより激しく旋回した。言葉が途切れたが、すぐに魔王は続ける。


「くそ、説明は後だ。いいか、ちょうど、お前の足元。背中の急所を狙え。剣を突き刺すんだ。もちろん、剣気を使え」

「死んじゃいませんか」


 致命傷になり得る位置だ。

 だが、魔王は静かに答えてきた。


「私は、お前の馬鹿に付き合う覚悟をしたぞ。お前はどうだ? 私を信じるか。口車に乗せて、この龍を殺させようとしていると思うのか?」


 数瞬、魔王の言葉以外の音が途切れる。

 その中で、僕は苦笑した。


「なに言ってるんですか。僕はいつも、魔王さんを信じてますから」

「調子のいいことを」


 頭の上でも、苦笑する気配がした。

 僕は右手一本で、剣を構えた。剣気を刃に纏わせ、魔王の言う通り、背中の中心を狙う。


 ――ごめんね。

 胸中で謝りつつ、剣を突き下ろす。


 剣が、背中の急所に突き立った、その瞬間――

 半ばから、剣がぶち折れた。


「なっ――」


 思わず、声が出る。

 破壊龍が、また身体を翻す。今度は思い切り、その巨大な体躯を回転させてきた。

 剣が折れるという事態に気を取られた一瞬の出来事だった。僕の身体はなす術なく、空中に放り出された。


 が、落下の感覚は数秒だけで、すぐに身体がなにか、柔らかいものに受け止められた。

 聖女だった。お姫さま抱っこの形で、僕を受け止めてくれている。

 落下先に、守護龍が回りこんでくれたのだ。


「おかえり、少年。初日の逆だねぇ」

「どうも」


 それだけ言って、下ろしてもらう。


「お兄ちゃん……腕!」


 篭手は砕けて外れ、めちゃくちゃな形になっている僕の左腕を見て、兵士長の娘が悲鳴を上げた。

 と、聖女が僕の左手を取り、手を翳した。


「無茶したねぇ。すぐ治すよ。少年、で、収穫は?」

「ええと。良いかもしれないニュースと、悪いニュースがあります」

「あんまり聞こえが良くないねぇ。まあいい、まず悪い方は、なんだい?」

「あいつの鱗、固すぎて僕の今の剣気じゃ、攻撃が通りません。剣が折れました」

「腕はいいけど、剣は直せないねぇ。どうしても無理? 止めるにしろなんにしろ、少年の攻撃しか、私らにはないからねぇ」

「刺さりはしましたけど。あと少し……僕が、刺した瞬間に剣気を伸ばしたりできていれば、致命傷を与えられたかもしれないんですが」

「折れた剣先は、じゃあ、刺さったままかい。押し込んだりできないかね?」

「難しいですね。もう一回飛び乗って、蹴り込むくらいしないと」

「良いかもしれないほうは?」

「破壊龍には、意識があるかもしれない、ってことなんですが――」


 話していると、兵士長の娘が叫んだ。


「お兄ちゃん! 攻撃してくる!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ