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二度と来るかこんなところっ!

 あんまりアデライド殿下が来るものだから。


 他の殿下もお越しになる、とまでは言わないが。

 場所がバレて、遣いの者だお手紙だはどんどんやってきた。


 特にフリードリヒ殿下とハインリヒ殿下はデッドヒート。

 いつまで私を挟んで勢力争いしてるんだものな。


 これだけやって、まだ派閥を表明しないんだ。

 敵にも味方にも毒にも薬にもならん。

 安心して忘れろ。



 あまりに鬱陶しかったので、


「私は何をやっているんだろうな」

「保身?」


 ガチヤバい感染症に罹ったとウソついて面会謝絶にした。

 おかげで今は自室を一歩も出られず、会えるのはアネッサのみ。


 逆にここまでしないと殿下が病人に会いに来るのがおかしい。

 近習が止めろよ。


「せっかくの年末年始、何しに来たんだって感じだな。

 オマエもな、付き合わなくていいんだぞ」

「私はフューちゃんと()()()()できるだけで幸せだよ」


 みんなが連日ドンチャンやってる昼間に、私はベッドでゴロゴロ。

 アネッサにリンゴ剥いてもらってる。


「それにそろそろ、一度お酒離れないと体悪くしちゃう」

「言えてるな」


 会場に行ったら飲むのは避けられんというか。

 飲まないならあんなカオスな場所、行く価値がない


 のだが、


「もったいないことをした。機会損失だ」

「そうかな? はい、あーん」

「自分で食べるよ」

「フューちゃんは病人だから」


 リンゴごときで人を壁に追い詰めるな。

 それは置いといて。


 確かに王族ラッシュはキツかったし、正直関わりたくない。



 だが、王族じゃない人は別だ。



 本来私がここに来た際、目標にしていたのは


『危険』

『魔法が使えないとバカにされる』

『妹属性魔法の使用を差し迫られることがある』


 とカスが3拍子揃った前線から、


『お偉いさんとコネ作ってオサラバさせてもらう』


 ことだ。


 そのために近付きたかった王族も、

 勢力争い渦巻く中央も()()りとは言った。


 だが、


 私を移動させる権限を持つのは王族だけではないし、

 何も前線から離れられれば中央でなくともいい。



 それこそ軍と政治畑の仲介をする国防大臣

 方面軍司令官より上にあって全てを統括する王国騎士団総司令官



 なんなら王族より直接決める裁量を持った人物がいる。


 そっちに取り入って、なんなら人生最後の妹属性魔法を使ってでも。


 前線から離れた安全な城で、輸送隊の親分にでもしてもらえばいい。


 そのためにはやっぱり、パーティーに出て絡んで起きたかった。


 まぁ彼らは基本王族がいる会場ばかりにいるからな。

 チャンスはなかったかもしれんが。


「まさかフューちゃんの口から、そんな言葉が飛び出すなんてな」


 なんてプランを話すと、アネッサはリアクションは決まってこう。


「意外か?」

「騎士学校とか、なりたての頃は


『前線で活躍する』


 ってギラギラしてたのに」


 そりゃ魔法が使えないのをバカにされて悔しかったからな。

 見返すのに必死だったさ。


 あと娘が片田舎の貧農を抜け出すには、騎士になるか身売りするかだし。


 てか、よく落第せず騎士になれたよな。

 しかも後方じゃなくて、最初から前線に配属された。

 教官が慧眼(けいがん)すぎるだろ。


「ま、ライフステージが変われば目標も変わるのさ」

「何か変わったっけ?」

「変わっとるわ」






 まぁ今は西方に帰るのも悪くはあるまい。

 しばらくは攻めてこないだろうからな。

 安全だ。


 それにモミアゲも私を下にも置かん扱いだ。

 大英雄だしな。

 誰もバカにしたりせんだろう。


 妹属性魔法も、使ったのはゼネヴォン市民に対してだ。

 騎士団の中に私の痴態を知る者はいない。


 そうだ。

 後方部隊だってモミアゲをタラシ込むので()()()()()いける。


 なんだ、悩むことなかったじゃないか。



 気が楽になった私は、残りの年末年始をひたすら籠って過ごし、











 ついに休暇も終わるころ。

 各騎士たちも任地へ帰るときが来た。


 久々の王城だ。

 まず陛下に拝謁し、(いとま)乞いをする。

 それからその足で帰路に着くって流れだ。


 というわけで、


「本年も陛下ご存分の年となりますよう、粉骨砕身で努力する所存です。

 つきましては国家安寧がため、戦い抜くため。

 西方へ帰参する許可をいただきたく存じます」

「うむ」


 今まさにそのあいさつ中だ。

 といっても、口上を述べるのはモミアゲだけ。

 私とアネッサは後ろで片膝ついて、頭下げるだけだが。


「余も卿らの活躍を期待している。励めよ。

 今年の暮れ、また無事で会おう」

「ははーっ!」


 茶番と言ってはならんやり取りも終わったところで、ついに退出。

 モミアゲに続いて腰を上げた



 そのとき。



「おぉ、ミュラー卿。どこへ行く」



「え」


 急に陛下に呼び止められた。


 嫌な予感がする。

 まだ何も言われていないが、トラウマが蘇る。


 そうだ。

 西方へ行かされたのも、こうやって陛下に拝謁したときだ。

 私みたいな下々が、直接お声掛けいただくのなんて、絶対



「君は西方へは行かないよ」



 答え合わせの言葉は、陛下より若い声。


 玉座がある舞台の、幔幕の影から現れたのは、




「私とともに、北方へ向かってもらいたい」




 鎧にマントまで着込んだ、フリードリヒ殿下。











              兄どもと妹たち 完











お読みくださり、誠にありがとうございます。

少しでも続きが気になったりクスッとでもしていただけたら、

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