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真夏のキミと花火を見たかった【愛山弓月 編】

僕は高校2年の危川彩。

去年は何もなく1年が過ぎ去ってしまった。

今年こそは終業式の次の日に開催される

花火祭りに女の子と一緒に行きたい。

そして最高の夏休みにしたい。


「それでは生徒会の副会長に立候補する人はいますか?」

「全く誰が生徒会なんかに立候補するかよ!なあ危川!」

「だな田島!生徒会とか僕にはよくわからないや。」

「はい!誰もいないんですかー?副会長に立候補したい人ー?」

「はいっ!」

「えっ…?!」

「危川くん?本当に副会長に立候補するの?」

「今まで生徒会とかよくわからなかったのですが、頑張ってやってみようと思います。」

「危川…お前…まじか?!」

「なるほどね、では副会長の立候補は危川くんで決まりでいい人は拍手をしてください。」

パチパチパチパチパチ。

「それじゃあ危川くん、よろしくね!」

「はい!頑張ります!」

「まじかよ!危川!副会長として頑張ってくれよな!」

「立候補しただけだからまだ決まったわけじゃないけどね。」

なぜ僕が生徒会の副会長なんかに立候補したのか。

それは、きっと女の子と関われるチャンスがあるんじゃないかと思ったからだ。

生徒会にくる女子、よし、きっと何かきっかけができるはずだ!

頑張るぞ俺!


…。


そしてあれから日は流れ生徒会の選挙があった。

投票数の結果、僕は本当に生徒会の副会長になってしまった。

今日は生徒会長と副会長の意気込みを全国生徒の前で話す日。

生徒会長、どんな人なんだろうな。

今日初めて見るな…女子だといいな。

「それでは、まず生徒会長の愛山さんから話してもらいます。愛山さんよろしくお願いします。」

「はい。」

あ、愛山さん?!じょ、女子だ!

「3年の愛山弓月です。今年度の生徒会長になることになりました。精一杯、力を尽くして、この学校がよりよくなるために全力を尽くしていきたいと思います。時にはご迷惑をかけてしまうかもしれませんが、どうか、よろしくお願いします。」

愛山弓月さんかぁ…!しかも先輩だよ!

「愛山さん、ありがとうございました。最後に副会長、危川彩さん、お願いします。」

「はいっ!」

き、緊張するなぁ。

「この度生徒会の副会長になりました。危川です。今まで生徒会はなんだか難しそうであまり関心がなかったのですが、この夏、自分自身が変わるきっかけになればいいなと思いまして。この度副会長に立候補しました!みなさん、よろしくお願いします!」

パチパチパチパチ。

「いいぞ!危川ー!」

まったく田島ってやつは。

こうして生徒会のスピーチが終わった。

明日からいよいよ本格的に生徒会の仕事が始まる。

そして愛山さんとの会話も始まる。

楽しみだけど、緊張するなぁ。


…。


緊張するなぁ。 

ここが生徒会室かぁ。

コンコン。

「失礼します。」

ガラガラッ。

「あら、副会長の危川くんだっけ?!」

「はい!危川です!よろしくお願いします!」

「この度一緒に生徒会をすることになった、愛山です!よろしくお願いします!」

「よ、よろしくお願いします!」

「それにしても2年生で副会長に立候補するなんて、なかなかな勇気があるじゃない!」

「ま、まぁ、自分を変えようと思いましてね。」

「いいと思うわ。生徒会は自分を変える、いいきっかけになるからね。」

「なるから…?それはどういう…」

「あ!私ね、中学生の頃も1回生徒会長やったことがあって、久しぶりに高校でもやってみようかなって思ってさ。」

「あ、中学生の頃もやられていたんですね!」

「そうなのよ!中学生の頃…生徒会やったらすごく自分が変わったのよね。」

「そ、そうなんですか!」

「うん。だから危川くんもきっと、生徒会に来たことによって自分自身が変わる気がするわよ!」

「はい!頑張ります!」

「うんうん!じゃあさっそく今日からよろしくね!」

「はい!愛山さん!よろしくお願いします!」

こうしてこの日から僕と愛山さんの

生徒会の仕事はスタートした。

これから上手くいけばいいな。


…。


「さてと、今日はこの委員会の資料のまとめをするわよ!」

「はい!わかりました!」

「とはいっても、この資料をまとめるくらいは簡単な仕事だから、何か話ながらやればいいわ。ねぇ、何か話題ない?」

「そうですねぇ…。」

愛山さん、彼氏とかっていたりするのかなぁ。

生徒会なんかに入って、学歴も優秀な愛山さん…。

そんな愛山さんの恋愛事情気になるな…。

思い切って聞いてみるか…。

「ねぇ!何か話題はあったかしら?」

「はい!えっとその、愛山さんってこうやって生徒会もやられていて、勉強にもすごく取り組んでいるかと思うのですが、恋愛とかって、どうしてるんですか?」

「れ、恋愛ねぇ…。」

「はい…。」

「確かに、小学校から勉強に励んできたから、今まで正直恋愛したり、彼氏がいたことなんてなかったわ。こうしてみると私は高校3年生。高校最後だものね。そろそろ1回くらい恋愛してもいいと思うのだけど、いい出会いがなくてね。」

「出会い…ですか。」

「うん、生徒会って忙しいからね。あまり男子と絡む暇がないのよ。」

「そうですか…。」

「そう、まぁ逆を言えば、危川くんとしか話す時間がないってことかしらね。」 

「えぇっ!?」

「あはは、ドキッとした?」

「しますよ…やめてください愛山さん…。」

「あはは、ごめんね!」

こうして雑談しながら今日の仕事を終えた。

今まで恋愛してこなかった愛山さん…。

いや、待てよ。

逆を言えば、僕以外の男子と関わる時間が

ないっていうことだよな…。

いやでも、無理だよな…。

僕なんかじゃ、きっと無理だよな…。


…。


あれから愛山さんと仕事ざんまいの毎日を送っていた。

今日も仕事を終えたし帰ろうか。

あっ!しまった!生徒会室に筆箱を忘れた。

仕方ない、取りに行くか。

…。

ガラガラッ。

!?

「一体…なんで…。」

あ、愛山さんの様子がおかしいぞ…。

「一体どれだけ頑張れば周りは私を認めてくれるのよ、もうどれだけ頑張ればいいのよ…。」

ぐすっ。

な、泣いている…!?

ど、どうしよう筆箱を取りにきただけなのに。

「もうやってられないわ…どれだけ頑張っても、周りはあたしを認めてくれないんだものね…。」

うーん、いつまでもこうはしてられないよな。

よしっ、覚悟を決めて行くしか!

ガラガラッ。

「失礼しまーす…。」

「え?」

「あっ、あの、筆箱を忘れて…」

「あ、危川くん…。」

「あ、愛山さん…?」

ギュッ。

!?

愛山さんは泣きながら突然僕に抱きついてきた。

「見ちゃったのね、私の弱い一面を見ちゃったのね…。」

「いや、見たというか…その。」

「いいの…いいのよ…。」

愛山さんはしばらく僕に抱きついたまま

涙を流していた。

「少し落ち着きましたか?」

「ええ…落ち着いたわ…ありがとね。」

「ならよかったです…。」

「うん…。ありがとう…。今日はちょうど仕事が終わったからもう帰りましょう。」

「そうですね…。」

「うん…!ありがとうね。」

こうして僕は筆箱を取りに戻ったら

愛山さんのとある一面を見てしまった。

愛山さんも、大変なんだなぁ…。


…。


「よし、今日の仕事はこれで終わり!」

「ふぅ、疲れましたねぇ!」

「お疲れ様です副会長!」

「会長こそ、お疲れ様です!」

「ふふっ、ありがとう。」

「いえいえ!」

「ねぇ、危川くん?」

「はい?どうしました?」

「今日一緒に帰らない?」

「今日ですか?」

「あ、ダメならいいの!」

「ダメじゃないですよ!いいですよ!」

「本当?!ありがとう!」

…。

「こうして2人で一緒に帰るのは初めてよね。」

「そうですね。」

「ちょっとここ寄っていいかしら?」

「ここは…。」

「噴水がある公園よ。ちょっと噴水を見たくて。いいかしら?」

「もちろん、いいですよ!」

「そう、ありがとね。」

こうして愛山さんと噴水がある公園に来た。

「危川くん、ちょっと独り言いいかな?」

「はい…どうぞ。」

独り言?何を話しだすんだろう…。

「私ね、小学生の頃から友達がいなくて、いつのまにか、友達がいないなら勉強に全力を費やしてやる!みたいな感じで、ずっと必死に勉強だけやって今まで生きてきたのよ。おかげさまで小学校のときから学歴はクラスのトップだったわ。っで中学生のときには生徒会もやったし。いわゆる真面目な道を歩んできたのよね。でもね、私それって意味あるのかなって思ったのよ。勉強や生徒会とかを真面目にやっても、意味あるのかなって。誰かに認めてもらえないまま、こんなことやって、意味あるのかなって。私には居場所がなかったのよ。居場所がなくて、友達もいないから今まで勉強や生徒会とかに逃げてきたのよ。あら、また涙が…。誰にも認められないまま、こうして生きてきて、意味なんて、あるのかなって思ってるのよ…。」

愛山さん…そんな辛い思いをしてまで…。

「愛山さん、もう大丈夫ですよ。僕が愛山さんの努力を認める初めての1人になってあげます。」

「え…?」

「いつも先陣を切って、資料のまとめやスピーチをしていて、頑張っている愛山さんを誰よりも近くで見てきましたから。愛山さんの頑張りを僕は心から認めています。だから、もう誰にも認められてないとか、言わないでください。」

「危川くん…。」

「大丈夫ですよ…。」

「そう…。ありがとう。」

チュッ。

!?

「んっ…。」

愛山さんの突然のキス!?

うぅん、唇が柔らかくて温かいよ…。

「ごめんね、感謝のあまりこんなことしちゃって。」

「い、いえ、大丈夫です…。」

「私、ずっと危川くんといるから、意識しちゃって、いつかしてみたかったのよ、キス…。」

「そ、そうなんですね…。」

「うん。今まで逃げてきた、恋愛を確かめるため、かもね。」

「!?」

「あはは、私は何を言ってるんだか…じゃあそろそろ帰りましょうか。」

「そ、そうですね…。」

こうして愛山さんと一緒に帰った。

まさか噴水の近くでキスだなんて。

やっぱり、お互い意識してきてるんだなぁ…。


…。


あれから日は流れて、僕はより愛山さんと

より仲良くなり、生徒会の仕事を頑張るようになった。

資料をまとめて、スピーチの原稿を作って。

そんなことをしていたら今日は終業式。

僕はもう決めている。

明日にある花火夏祭りに、愛山さんと…。

絶対に行くと!


…。

「お疲れ様。危川くん。」

「お疲れ様でした愛山さん。」

「いやぁ、終業式までスピーチさせられるなんて、さすがは生徒会よね。」

「はは、そうですね愛山さん。」

よし、いよいよ本題だっ…!

「愛山さんは明日の夏祭りってどうしますか?」

「明日?あぁ明日の夏祭りね。夏休み初日だし、1人でぶらぶら行こうかなって思ってるわ。」

「1人で、ですか?」

「うん、だって危川くんは田島くんっていうお友達と一緒に行くんじゃないの?」

「いやいや!田島とは行かないですよ!」

「あら、行かないんだ。」

「はい!なので、愛山さんが良ければ一緒に、なんて。」

「え!?私と行ってくれるの?」

「はい!もちろんです!」

「嬉しいわぁ、毎年1人で行ってたから。」

「ははは、今年は2人ですね!」

「そうね、決まり!一緒にいきましょう!」

「やった!ありがとうございます!」

「そうと決まれば、18時に現地集合でどうかしら?」

「はい!それでお願いします!」

「わかったわ!それじゃ明日ね!」

「はい!よろしくお願いします!」

よし!やったぞ!

今年の夏は2人で過ごせるぞー!


…。


「お待たせ!危川くん!」

「こんばんは!愛山さん!」

「それじゃあさっそく、屋台見る?」

「はい!見ましょう!」

…。

「美味しいわね!この唐揚げ!」

「美味しいですね!」

「美味しいわね、このじゃがバター!」

「別格ですね!」

「やっぱかき氷は涼しいわね!」

「冷たいですね!」

愛山さんは屋台のグルメが好きなんだな。

「あら、もうこんな時間じゃない。食べてると時間なんてあっという間だわね。」

「そうですね。」

「…。」

「…。」

「ねぇ、危川くん?」

「な、なんですか、愛山さん。」

「今日は私の思い、伝えていいわよね。」

「はい…。どうぞ!」

「今まで勉強に逃げてばっかで、友達も遊びも、そして恋愛も、逃げてばっかりだった。だけどね。今は…。危川くんって人が、私の頑張りを認めてくれる。生徒会を通じて、友達になれて、こうして夏祭りで遊んで、今、恋愛もできている。あなたが副会長になってくれて本当によかった、私、幸せだわ。だからこれからも、私を認めてくれる存在であってほしいわ。好きよ…危川くん。」

「僕も、愛山さんのことが好きです。初めて生徒会に入った僕を優しくしてくれて、頼れて、いつも勉強を教えてくれて、一緒にいるだけで僕も幸せでした。そしてなにより、僕を変えてくれた大切な人です。愛山さん、好きです…。」

「…。」

「ありがとう…。」

チュッ。

ヒュ〜〜〜〜ッ、パ〜〜〜ン!

こうして僕と愛山さんは思いを伝え合った。

僕にとって、最高の夏になった。


…。


あれから月日が経ち、2学期になりました。

夏休み中は一緒にとことん

夏休みの課題デートを危川くんとしました。

どうやら私と一緒の大学を受験するらしく

今は生徒会と勉強を頑張っています。

もちろんあれから恋愛も頑張っています。

もっともっと生徒会長としても…

危川くんの彼女としても…

全力を尽くせるように。

そして全力で愛せるように。

愛山弓月…頑張りますっ!


-END-

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