表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

天国への扉

ーー意識が遠い。

微かに歌が聴こえる。


heaven…i'm in heaven…


古いレコードが向かいのテーブルでくるくると回っている、薄い意識の中何故かはっきりと歌詞が聴こえる。これは、ジャズでよく聞くCheek to cheekだ。


目線を斜めに持っていくと椅子に手足を縛られうなだれている男性がいる。


驚いて立とうとすると全身に激痛が走る。そして手足も動かない。どうやらあの男性同様に手足を縛られ動くことが出来ないようだ。


自分は何故こんな事になっているのか?結城はこんな状況であったが嫌に冷静な自分がいる事に少し驚きながらも現状を把握しようと暫く周囲を見回したが、やはり分からず目を閉じて今までの記憶を探るーー。




そう。たしか、クリスマスパーティーに向かう途中。準備は万端だった。


二万円の防刃ベストを身につける結城と少し距離を置いて結城を見守るボディガードの翔。


「もうそろそろあの場所だけど大丈夫だよな?」結城は不安そうに呟く。


「ちゃんと見守ってるから安心しろよ!」翔は後からBluetooth通信で結城に伝える。


しばらく歩みを進めると夢で見た場所はとうに過ぎて、目の前には目的のバー、ヘブンズ・ドアーがあった。


「あれ?」結城は間が抜けた顔で立ち尽くす。


「はっ!結局ユメ〜!二万円おつ〜!!」翔が茶化す。


「うっせ!今日はとことん飲むぞっ!!」

じゃれつく翔を払いながら結城がさっさとバーに入ろうと手をかけようとした瞬間。


「ぐわぁ!」「きゃぁあーー!」


どん!ばごっ!重い振動と悲鳴、そして数人のヒトが跳ね飛ばされているのが確認出来た。そして黒い塊が物凄い勢いでコチラに向かってくる。


「危ない!」

どごんっ!


翔は咄嗟に結城を突き飛ばした。

結城達がいた場所、ヘブンズ・ドアーの扉の前に黒いハイエースが突っ込んで行くのを結城はスローモーションで目の当たりにした。


翔に突き飛ばされた勢いとハイエースが飛び散らした破片から身を守ろうと地面に這いつくばるような体勢になった翔。


「くっ、痛ってて。翔!大丈夫か?」


結城は身をよじり、翔の方に目を向けると翔はハイエースと扉の枠に右足を挟まれた状態で苦悶の表情を浮かべている。

「くっそ!なんだってんだよぉお!!痛え、クソクソクソぉ!!」


翔の悲痛な叫びと周囲の人々が逃げ惑う混沌とした状況の中、ハイエースの運転席と後部座席の扉が同時に開く。


そして、ハイエースから二人の人影が降りて来た。一人は運転席から降りてきてオドオドとしたヒゲヅラの男。そしてもう一人は後部座席から降りてきた黒い服装に狐のお面を被った性別不明の人物。


「heaven…i'm in heaven」


狐のお面は鉄パイプを結城の頭にゆっくりと振り下ろしたーー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ