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憎悪と悪心の夜明け
臭い、とにかく臭い。
痛い、とにかく痛い。
何よりとにかく息苦しい。
皮膚が焼ける臭い。
皮が張る痛みと動こうとする程に反り返る力がより一層苦痛を引き立てる。
そして、己を焼く炎に酸素を奪われていくのを感じる。
体は動かない。目の前に地獄の様な光景が広がっているのに一切の言う事を聞かない体。
夢であるなら、早く終わらせて欲しいと願う刹那…。
「おいっ!起きろよ!…どうしよ。救急車?だよな。いや、人口呼吸器!?…無理。119!!」
「…うぇっ!ごほっ!オェッ。はぁ、はぁ…。」
結城が目を覚ますと目の前にはある意味地獄の様な光景が広がっていた。
「まなぶ!大丈夫か!おい〜!ドッキリも程ほどにしろよー!マジで救急車呼ぶ所だったぞ!?」
翔がベッドで仰向けに寝ていた結城に跨りながら右手にスマホ、左手に何故か靴下を持ってオロオロと右往左往としていた。
「そんなに臭かった?」
普段ならブチのめしたい光景だったが、何故か安心感が込み上げ結城は声が出せず、あの悪夢の光景を脳裏に浮かばせながら悔し涙を流した。
重なる事はない未来。しかし、出来事が始まる幹は一つ。愛故に戻るのか。憎悪故に戻すのか。心の臓が鼓動する様に血の蕾が窄み繰り返す。その先に開くは何色の花か。




