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放課後ep.6

続きます。

そう、普通なら帰っているんだが。科目選択の用紙を忘れたため、一度帰宅して、また学校に行かなければならない。といっても、片道徒歩15分なんだけど。


「あった、あった」


そう呟いて、俺は用紙をカバンに突っ込み、また学校へと向かう。

ちなみに、余談だが、俺は音楽、書道、美術のうち、音楽を選択した。理由としては、ベートーヴェンが耳も聞こえないのに、作曲した方法について、興味が湧いたからだ。もっとも、そんな深いところまで学校の授業で学ぶことができるとは限らないが。


そんなわけで、紗耶高の制服を纏った生徒たちと何度かすれ違ったあと、学校にたどり着いた。あとは、用紙を職員室へ届けるのみ。


「職員室ってどこだっけ。」


ほとんど人のいない廊下で小さく呟く。


「あ、有栖川君だ。何してるの?」


聞いたことのある声、池野だった。彼女の隣にはもう1人の女の子がいた。と言うか、なんでコイツここにいるの?純粋な疑問だった。まさか、コイツも用紙忘れか。よし、煽ってやろう。

「おおー、池野か。お前、まさか、科目選択の用紙忘れちゃったのーーー?まったく、悪い子ね。」

(※特大ブーメラン)

「は?」

「あ、この度は誠に申し訳ございませんでした。今後とも宜しくお願いします。」

「いやまぁ、そこはいいんだけど。なんでここにいるの?」

「科目選択の用紙忘れちゃってさ」

「『おおー、池野か。お前、まさか、科目選択の用紙忘れちゃったのーーー?まったく、悪い子ね。』って、言ったのはどこの誰だったかなー?」

「ごめんて。」

「それで?」

「えっと、それで職員室行って高倉先生に渡さなきゃなんだけど、肝心の場所がわからなくて」

「えっとね、職員室は4階まで階段で、上ってそこから、右に曲がったところだったかな」

「おけ。さんきゅ。ところで、お前ら、こんなところで何してんの?」

「べっ、別になんでもないよー」

「まぁ、いいや。とりあえず、ありがと。じゃあな。」


そう言って、俺は用紙を提出しに行くのだった。





「もう、忘れるんじゃないぞー」


そう言われて職員室を去った俺は階段を降りようとした時、何か、喧騒のような声とぼそぼそと小さな声が聞こえる。上からだった。そこで、俺に疑問が浮かぶ。たしか、紗耶高校の校舎は4階だてだったはずだ。そこで、俺は先ほどの池野との会話を思い出す。


『「おけ。さんきゅ。ところで、お前ら、こんなところで何してんの?」

「べっ、別になんでもないよー」』


加えて、朝の会話。たしか、池野は誰かにせがまれて、屋上に行く約束をしていたはずだ。

嫌な予感がする。


「!」

そうして、俺は1つの可能性を導き出す。

池野たちは屋上へ入り、トラブルに巻き込まれたのではないだろうか。

その可能性が導き出された刹那、俺は屋上への階段を2段飛ばしで上り、屋上の扉を開けるのだった。

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