委員会決めep.5
続きます
1限目から5限目まで、授業をうけ、それから、6限目で委員会決めをすることに。
「というわけで、委員会決めをするぞー。」
先生は楽しそうな声でそう言いながら、委員会名を書いていく。
紗耶高校の委員会は1クラス男女1名ずつのようだ。
ちなみに、俺はできるだけ委員会には入りたくない、というのも、時間を浪費してしまうことが目に見えているからだ。中でも一番浪費しそうなのが文化祭実行委員会と図書委員会。また、体育でみんなの前に立ち、体操をする体育委員などはもってのほかである。
よって、俺は傍観を決し、自分の席から黒板を眺めていた。すると、池野が俺の方に近づいてきて、声をかけてくる。
「有栖川君はなにか、委員会入るの?ちなみに私はね、図書委員に入ろうかなって思っているんだ。ねえ、よかったら、一緒に入らない?」
そう言って、彼女はこちらに笑みを浮かべてくる。
「俺は、特に委員会入る気はないんだ。せっかく誘ってくれたのに悪いな。」
そう言って、俺はやんわりと池野の誘いを断る。
「うぅー、うぅー」
彼女は不満そうにこちらを見つめてくる。
「何だよ」
「私の気持ちを答えよ」
「俺に誘いを断られて、不満な気持ち、または俺に図書委員に入ってほしい気持ち。」
「大あったり。正解したあなたには私と一緒に図書委員に入る義務を授けよう」
「いや、いらねえよ。というか、なぜ、そんなに俺にこだわるんだ?」
「有栖川君と一緒にいたいから」
彼女はわざとらしく照れて、こちらを伺ってくる。
「嘘だ」
「わかったよ。本当のことを言えばね、有栖川君と本の話題で盛り上がりたいから。有栖川君、入学式のホームルームの時に、好きな本のこと話してたよね。私もあの本が好きなんだけど、知っている人が全然いなくて、、、そしたら、君が」
「ああ、そういうことか。だが、それでもダメなものはだめだ。図書委員になったら、時間をおそらく浪費することになる。それは俺としても避けたい」
「そっかあ、なら仕方ないか」
彼女は諦めたように自分の名前だけを黒板に書きに行ったのだった。
時間が経過し、6限目が終わりに差し掛かった時、クラス中が静寂に包まれる。それは、もちろん委員会が決まらないからだ。あと、残っているのは図書委員の男子だけ。考えることはみなおなじってわけか。先生が困ったようにクラス中を見渡しながら言う。
「誰か、図書委員、やりたい人いないー?できれば、モチベ的にも読書が好きで本に抵抗がない人がいいんだけど。」
そして、先生と目があう。探し人を見つけたかのような顔でこちらを指さしてくる。
「有栖川くん、やってみない?」
そうくると思ったよ。前に座っていた池野も先生に賛成なのか、こちらに満面の笑みを浮かべてくる。
面倒ごとはやらない主義なんだが、ここでノーと言えば、放課後も使って、決まるまで帰れませーんってなるやつだよね。それ、おれがクラスの反感買うやつだよね。仕方ない、やってやろーじゃないの!
「わかりました、やります」
2人とも満足そうにうなずいている。おれがそう言い終わると同時にチャイム音が鳴り響くのだった。