文化祭0 俺の噴火祭になりそう
続きます。
あらかた一週間後———水曜日、ロングホームルームにて。
「じゃあ、いまから文化祭の出し物を決めまーす」
「いえーーーーーい!」
中間テストが終わったためか、一週間前まで張り詰めていた空気が緩くなって、生徒たちも和気藹々としている。
ホームルーム担任こと高倉先生が意気揚々に話し始める。
文化祭でのルールやかけられる最大の費用、シフトについての話が展開していく。
といっても実際には先生はそれらについて話し終えた後は見守っているだけなのだが。紗耶高校は生徒主体の学校であるが故、遠足の時同様に自由に方向性や内容を決められる。したがって今回も生徒がすることになっているのだが。
「出し物は飲食店にすべきだ」
「うーん、かぶっちゃうことが多いから、劇やお化け屋敷とか、別のものにしたほうがいいんじゃない?」
「いや、それだとコストがかかるからもっと別のものに……」
聞いてられん。
クラス内で対立が起こっている。それも結構みんな方向性がバラバラであり、論争になりそうである。
そう。うちの高校は自由である反面、こういったことで揉め事になりやすい。
意見なんて全部ふくめることは不可能だ。したがって前までの俺なら適当に決めようの一言で片付けていたのだが。
もうそう考えるのはやめようって思えるきっかけを与えてくれたひとがいるから。
だから俺は少しだけ真剣に考えて見ることにする。
クラスが求めるものは何だ?
費用が安いことか?
仕事が楽なことか?
紗耶祭———紗耶高校の文化祭———のクラス出し物部門で一位をとることか?
この高校には劇部門、出し物部門の二つの部門で全学年で、劇部門では来場者による評価で、出し物部門ではどのくらいの収入を得られたかによって競争を行う。一位になれば新聞にあげられるなんて噂もあるし、なんなら俺だって何度か目にしたことがある。それが目的で文化祭を頑張ろうという生徒もいるのではないだろうか?
つまりだ。以上より俺の中の一旦の結論は以下。
低費用かつ業務が容易かつ高クオリティ。
そして何よりやっていて楽しいこと。
だいぶ難しいのはわかっている。でも、彼女(代名詞)——池野陽奈という女の子——に文化祭楽しかったねって、終わったあとに思って欲しいってふと考えてしまったんだ。
ただの自己満足でしかない。
されど彼女の笑顔が見られるのならそれでいいって思ってしまった。
我ながら小欲知足だなぁと思って、自分に笑みが漏れるわけだが、小さなことで満たされるのならそれでいいだろうとも思った。
早速調べてみると、webの一番上に出てきたのはたこ焼き。これは確かにクオリティは高いものの、技術的なこともあり、また業務用のたこ焼き機を借りるのは結構費用が取られる。たこ焼き機だけに費用を割くわけじゃないからな。
次に出てきたのは展示物。はい却下。
クオリティがね、、、おん。
あれこれ調べて見るものの、どれもイマイチだ。
出てくるのはどれも今の流行ものや王道物ばかり。
これで出し物部門1位を取れるほど簡単じゃないのは一目瞭然であるので、スルーしていたのだが。
いや、待てよ……?
流行もので1位を取れないのなら、流行遅れのもので1位は取れないのだろうか?
因果関係がおかしいのはわかりきっている。ただ俺はこれに勝機を見出した。
なぜなら、流行遅れというのは平たく言えば世間という箱庭における遅れのことであるからだ。
とんでも理論とでも言っておけばいい。
このトンデモ理論だが、ひとつ抜け穴がある。
それは『高校生の文化祭』という枠の中では攻略を発揮するのではないだろうかということである。
つまり、来場者が俺たちが世間では流行遅れとなっているものを出し物としたとしても、流行遅れを理由に買わないというのはないという理論。
人間は一度受け入れたものに対しては案外好意的に受け止めるものだ。
今回はそれを利用しようと思う。
ただそれだけで一位をとれるかは微妙だ。
そこで次に用いるのは男女によって人気となるものが違うということを利用したものだ。
男子(特に男子高校生)は文化祭に可愛いさを求め、女子は受けや映えを狙う傾向にある。
男性には可愛さとやらに、女性には受けや映えとやらによってSNSで拡散してもらい、そして知名度をあげる。
それぞれ個別に策を講じることで一位を取るというのが俺のおおまかな作戦である。
どうやってこれをみんなに伝えよう、、、、、
あれ?これ俺が注目されて爆死するやつでは?!
そう思ったものの、やるしかないということは変わらないのであった。




