遠足3〜緊急事態なう編〜
続きます
食事が終わり、片付けをして、暇になってしまった。
クラスで集合するまであと1時間ある。さて、どうしようか、と思っていると陽奈が思いついたように言う。
「あっ、そうだ。みんなで鬼ごっこをしよう」
陽奈がこう言ったのは行きで森を進んで行く途中に少し開けた、整地されたようなところがあったからだろう。
それを知らなかったのだろうか、加河が陽奈に尋ねてくる。
「でも、どこでするの?鬼ごっこできるような平なところなんてあったっけ?」
「ふふん。実はあるんですよ、嘉さん」
そう言って得意そうにそれを鼻にかける。
「まぁ、多分加河以外みんな知ってると思うけど」
俺は補足を加える。実際羽田が小さく頷いていたた
め、そうなのだろう。
「えぇー、そうなの」
今度は驚いたような顔をする陽奈。どうやら、自分しか知らないと思っていたらしい。
というか、陽奈の顔が百面相みたいだなと思い、つい笑ってしまう。
「何笑ってるの?」
「いや、細かいことは気にすんな。とりあえずその場所に行ってみるか」
俺がそう言うとともに、俺たちは行動し始めるのだった。
5分くらい歩いてたどり着いたその場所は、開けていて上をみると木の葉を介さずに直接空をみることができる。そして、肝心な地面についてだが、オッケーだった。
てことで鬼ごっこをするのだった。
未来の私が思うに、浮かれすぎていたんだと思う。もう少し自重していれば……
私は池野陽奈。今は鬼ごっこをしている。最初は私が鬼だ。最初に立候補しとかないと何故だか後悔すると思ったからだ。
「溯斗君、待ってー」
そう言いながら、私は近くにいた溯斗君を捕まえようとする。でも、もちろん止まっていてくれるわけなくて、私から離れていく。私も全力で追いかける。
なんか、全力で走ったの久しぶりだなー。
なんでだっけ?
そう思うと同時に今まで鮮明だった視界が霧がかかったようにぼんやりとしてくる。
ここでようやく思い出す。
『陽奈、動き回ったり、走り回ったりしたらダメよ。貴方は体が弱いんだから』
お母さんの言葉が頭をよぎる。
とともにぼんやりとしていた視界は徐々に暗黒に染め上げられていくのだった。
「おい、陽奈!」
走っていたら、急に倒れた陽奈を呼んでみる。もちろん返事は返ってこない。
とりあえず呼吸をしているかを確認する。幸いにも、呼吸はしているようだ。
現在では先ほどの楽しい雰囲気とはうって異なり、他のみんなは混乱しているのか、誰も口を開けず、俺の耳に入ってくるのはうるさいほどの沈黙だった。
とにかく、先生がいるところに連れていくしかない。
「陽奈を先生たちのところに連れていくぞ」
そう言って、俺は羽田と加河には先に行って事態を伝えてもらうように指示をする。
電話して先に伝えるというのも考えたが、生憎圏外だった。
二人が走って先生たちのところに走って向かうのを俺は陽奈をおぶりながら見届け、準備ができると、俺も後を追うのだった。




