ホームルーム朝ep.4
続きます。
これはep.4です。ep.3を読みたい方は目次のep.3と書かれたものを選んでください。
教室に着くと、俺はカバンをロッカーに入れ、席に着く。
俺の席は1番後ろの1番窓際に近い席、まさに俺に相応しい。ちなみに、ついさっき、「友達」になったばかりの池野は目の前に座っている。
これで、授業中、先生に当てられる回数が少なければいいのだが、話によると、学校の先生は最前列よりも後ろの席の生徒をよく見ているらしい。まあ、一理ある。だって、先生が最前列ばっかり見ていたら、角度的に首が痛くなって、湿布ティーチャーに化けて出てくることになるもんな。そう考えると少し授業が憂鬱になる。まぁ、勉強が嫌いになるほどではないけど。
なんて、考えている間に、先生が入ってくる。
「みんなー、おはよう。席に着いてー。」
その一言で朝のホームルームが始まる。そこでは、屋上の鍵が壊れているので、立ち入らないこと、今日提出するはずだった科目選択の用紙を忘れた人は放課後取りに帰って、今日中に提出することなどが説明された。デスヨネー。俺は提出物を忘れた組だ。屋上は関係ないけど、科目選択の用紙は取りに帰らなきゃだなー、面倒くせーと心の中で呟く。
と言うか、屋上のこと、やるなって言われたら、逆にやりたくなるのが人間の心理なんだよなー。鍵が壊れていること、大っぴらに言わない方が良かったのでは?まぁ、それでも、俺は入らないけど。
1限目までの小休み時間に、こんな会話を聞く。
女子A:「ねぇねぇ、池野さん、屋上の鍵壊れているん だよね。ちょっとだけ、行ってみない?」
ほら出たよー。だから、言わない方がいいって思ったのに。
しかし、相手は女子Aの会話内容からして、池野だ。俺は入学式の一件で、池野が真面目なのを知っている。だから、コイツは断ると思っていたが...
池野:「だめだよ。先生に入っちゃダメって言わ
れているんだから、ルールはしっかり守
らないと。」
女子A:「そこをなんとか!だって、もしかした
この機会を逃せば、もう人生で二度と
経験できないかもだよ!私はそんなの
嫌だ。だから、お願い!」
自分勝手なやつだ。相手の都合を通さず、自分のことしか考えられない。そんなことを考える俺とは対照的に、池野は一度言ったら、納得すると思ったのだろうか、
「わ、わかった。でも、ほんとにちょっとだけだよ」
と返事をしたのだった。
断ると思ってたのに。
面倒ごとにならないといいけど。