お出かけ1〜行き編〜
続きます
「だから、2人きりだって!」
聞こえなかったと思ったのか、少し大声でそう言う陽奈。
「そうか。んじゃ、行くぞ」
俺は冷静を装いそう言う。内心結構気まずい。友達とはいえ、2人きりでお出かけって。何を話せばいいのやら。
「まずどこに行くんだ?」
「えっとねー、ショッピングモールに着いたら、3階の『ユニクロ』に行くでしょ?それで、次は、」
「え?複数の服屋をまわるのか?一つでよくない?」
「ちっちっち」
陽奈は人差し指を動かしながらそう言う。いや、地味にできてないんだよな。まあ機嫌を損ねてしまうのもよくないだろうし、指摘はしないけど。
「服屋さんってのはねー、店舗によって方向性が違うんだよ。だから、いろんなところをまわって自分に合うのを私は探したい」
「なるほど。わかった。そうしよう」
そんなことを話しながら俺たちは電車に乗るのだった。
私と溯斗君は今電車に乗っている。思ってたより混んでいて、私達は立っていた。ちなみに溯斗君が壁側で私がその前に立っている。こうしてみると結構溯斗君って背が大きいよね。私の視線がだいたい溯斗君の喉仏と同じくらいの高さだ。
「溯斗君って結構背高いよねー」
「ん?そうか?男子の平均くらいよりちょい大きめくらいだと思うが?」
「確かにそうかも」
「んー?陽奈が見えないなー」
そう言って遠くを眺めるような仕草をする溯斗君。これ、もしや私背がちっさいって言いたいのかな?
「私は平均だよ!」
私は反論のため、頬を風船みたいに膨らませて、不満っぽい顔をする。
「はは。そうだな。ごめんごめん」
めちゃくちゃ棒読みだった。私はさらに頬を膨らませる。
「だから私は、、、きゃ」
電車が揺れて私はバランスを取るのに失敗し前へ一直線。
結果的に私が溯斗君に抱きつく形となってしまう。
「大丈夫か?」
え?
私はいま溯斗君に抱きついてる?
やばい。心臓がバクバク音を立てる。絶対いま顔赤い。
て言うか、何で溯斗君は平気そうなの?普通女の子に抱きつかれたら動揺するよね!?
下から溯斗君の顔を眺める。目が合う。すぐ目を逸らす。ちょっとだけ気まずい。て言うか、早く体勢を立て直さないと。そう思って立て直してから、私は口を開く。
「その……ごめん」
「べ、別に構わない。というか今のは陽奈は悪くない…」
それから駅に着くまで沈黙が続くのだった。




