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私の作戦

続きます

「ところでさ、もうすぐ遠足な訳だけど、私いいこと考えちゃったんだよねー」


そう私は気づいちゃったのだ。人間関係において、唯一コントロールできる要素、それは名前で呼び合うか否かなんじゃないかってことに。


まずは表面上だけでも仲良いアピールをする。そして、時間の経過とともに表面だけでなく、

内部でも仲がいいという状態に持っていく。こうして、親友ができる。これが私——池野陽奈が考えた勝利の方程式。

気になったのか、有栖川君が尋ねてくる。


「なんだ?」

「グループの人を名前で呼んで仲を深めちゃおう作戦!」


我ながら、ネーミングださいなーって思っちゃった。


「ねぇ、どう?」

「どうって言われても…俺にはハードル高いけど、俺がノーって言って仲良くなるのを阻害するのも違うからなー。難しいな」


確かに、私も中学の頃なんて、ろくに男の子と話していなかったし、私にとっても初めの難関になるかも知れない。


「うーん、そっかぁ。んじゃあ、私で試してみる?」


私で呼べないんだから、あんまり人と話さない有栖川君は呼べないはず。呼べないところでからかっちゃおう。


前、2人で一緒に帰ったとき、私がからかったら、有栖川君子供みたいな可愛い顔してたからなぁ。あの顔、もう一度見てみたいなー。


「どうしたんだ陽奈?俺がヘタレで名前を呼べないとでも思ったか?」


え?


びっくりしたぁ。私、男の子に名前で呼ばれる耐性ないのに。というか、流石に有栖川君のこと、舐めすぎてた。そうだった。この人は自分から暴力沙汰に巻き込まれようとするくらい、心が強いんだった。


「えっと、その」


やばい。さっきの反動で言葉が出てこない。とにかくなんか喋るんだ、私。


「溯斗君!」


名前で呼んでみる。有栖川君改め溯斗君は私が少し大きめの声で読んだせいでびっくりしていた。

「ハイなんでしょうか?」

「えっと、その……」

「うん」


この人なら、私が話す全部を聞いてくれそうな気がした。他の人なら煩わしいって思われることでも。私の妄想かも知れない。けど、そう考えるだけで、どうしてか気持ちが落ち着いた。話すことは決まった。私の気持ち、届いて欲しい。


「私、遠足が楽しみ。えへへ」


私ははにかみながら、そういうのだった。

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