やらかしep.2
続きます。
これはep.2です。ep.1を読みたい方は目次のep.1と書かれたものを選んでください。
入学式
「皆さん、本校へのご入学おめでとうございます。生徒の皆さんはこの3年間、苦しみを味わい、喜びを味わい、そして、仲間と共に歩んでいくのでしょう。あまり早く歩まず、この3年間をかけがえのない日々にしてください。また、保護者の方々も....」
なんでこう、いつも校長の話は長いんだか。大切なことをできるだけ言おうとして長くなるのはわかるけどさー、あぁー、だるい。帰りたい。なんて、考えながら、欠伸をしていると横からひっそり声をかけられる。
「校長の話、長いね。早く終わらないかな。」
確かこの人、さっきの自己紹介で俺の次に自己紹介した人だったような。
まあ、そのはずである。だって、生徒はクラス順、出席番号順にパイプ椅子に腰掛けているのだから。
それはさておき、まったくの同意見だったので、
「全くだ。早く帰りたいよ」
と返事する。
しかし、俺の声が小さすぎて、彼女には聞こえなかったらしく、耳を傾けるような仕草をする。よって、俺は少し大きな声で彼女に言ったのだが、今度は静粛な会場では大きすぎたらしく、俺と彼女は周りから鋭い視線を浴びてしまった。彼女は肩をプルプルと震わせながら、俯いて爆笑していた。何が面白いのだろうか。
「ふふっふふふ」
隣から漏れ出る声。おい、抑えきれてねーじゃねーか。心の中でツッコミを入れる。
俺もつられて笑ってしまい、悪い意味で少し注目を浴びてしまった。
その後、俺たちは呼び出しを食らったのだった。
「まったく、あなたたちは」
入学式が終わり、何事もなく帰れると思ったのに。俺と俺の横に座っている呼び出し原因である彼女は小さな部屋のようなところで正面に座っている先生にお説教を受けていた。
指導教諭の先生だろうか。いや、お説教というか、これは最早、先生、呆れているのでは?
「入学初日に、呼び出したのは貴方達が最初です。」
「いやー、あなたの最初になれて、俺は光栄です。」
俺は悪びれた様子もなく、そう言う。だって、俺悪くないもん。池野に話しかけられて、答えただけだもん。無視するのって、良くないと思うんだ。(単なる理由づけ)
それに対し、池野はすごく申し訳なさそうに、そして、とても反省しているように見えた。俺をこの場に連れてきたことに対する罪悪感と入学式に喋ってしまったことに対する恥、魔が差したことに対する反省などと言ったところだろうか。コイツ、根はいいやつなんだな。
それを感じ取ったのか、先生は
「まあいい。今度からは自分の行動に自覚と責任を持て。わかったか?」
「「はい」」
俺も少しは反省した方がいいだろう。なんせ、親指をたてたり、頷いたりすればよかったのだから。
こうして、いろいろあったものの、学校初日は終わりを迎えたのだった。