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1-1 転生と誘拐計画

猫を助けてトラックに引かれて

前世の記憶持ったまま

異世界に転生した。


その猫は神の使いだったらしい。

神様から「創造」というそれなりの能力をもらえた―――


貴族の三男として生まれた。

継ぐつもりもないし、

変に目立って継承権争いなんかにまきこまれたくない。


アウディ伯爵家

武力で成り上がった伯爵家が僕の転生先の実家である。


能力は直接戦闘向きとは言えないし、このまま無難にこなしていれば無事辺境の領主か何かの名目で追い出してくれるだろう。


剣も勉強も平均的にこなしていた。

勉強は算術は大学出てるし、ある程度は余裕。

歴史もファンタジー世界で興味深いから

すぐに覚えられた。


魔術も論理的に理解することによって幅が広がるが、これがまた面白くてはまった。


この世界の魔術とは各々がギフトと呼ばれる

神々から与えられたとされる特殊能力を行使することである。


どんなギフトでも魔力が必要で、魔力量や魔力コントロールによって似たような能力でも全く違う能力を発揮することがあるらしい。


つまり、ギフトの範囲内でしか能力を行使できない以上、ギフトが重要ではあるが、魔力を上手く使うことによってギフトの能力を何倍も引き出せるということである。


例えばこの世界の英雄ガンドラゴラ

かなり昔の話ではあるが、

彼は髪の毛を自在に操るという微妙な能力で時の魔王を滅ぼしたと言われている。


能力を極限まで鍛えた髪の毛は聖剣以上の力を発揮し魔王をズタズタに切り裂いたという。


一見弱そうな能力でも、

鍛えることによってとてつもない効果を発揮することがあるのだ。


――順調に追放ロードを計画中の最中ロンバルダル王家の三女の誕生日を記念したパーティーが開催された。


追放されるつもりで縁をつくるつもりもないし

逆に伯爵家を捨てて新天地で生きようと思ってるのに変に覚えられて顔を指されると厄介だから

舞踏会だのパーティーだの表舞台にはなんだかんだ理由をつけて出ないようにしていた。


でもこのパーティーだけは避けられず出る羽目になってしまった。


アウディ伯爵家からすれば領主にならない次男三男が万が一気に入られて

上の階級の令嬢と婚姻でも結べたら儲けものだという考えが主だと思う。


そもそもそういった婚姻や

単に仲良くなることを目当てにして、

貴族はパーティーを開催しまくっているが

本来三男坊はなるべくこういうパーティーに出て社交界を学びつつチャンス狙うものである。


ここまで避けられたのがむしろ奇跡といっていいぐらいだろう。


そういうことで追放予定の僕が

変に他の貴族と仲良くするわけにもいかないから

適当に会話しないようにかわしつつ

自然な流れでバルコニーに出ると、

今日の主役であるはずのパルマ・ロンバルダル公爵令嬢がいた。


彼女は主役にも関わらず物憂げに外を見つめていた。


自分でもなんでそう思ったのか分からないが

直感的にこの子を助けてあげないといけないと思って、気付いたら話しかけていた。


前世の社会人経験を活かしたおしゃべりで

なんとか話は盛り上がり、どうしてパーティーの主役がこんなところにいるのか、どうして悲しそうにしているのか聞ける流れになった。


「あなたには話しても大丈夫そうね。

私大人になるまでずっとここで暮らすの。

親に決められた婚約者と結婚して、

結婚したらまたそこで暮らすことになる。


わたしもっと自由に生きたいの


好きな人と結婚して

好きにお買い物して……


でもそれは悪いことなの


わたしはお姫様だから……」



「そっか……

じゃ家出しちゃう?


僕は家を出る予定だから

このお城から君を盗み出しててあげるよ」


「まぁ


それは嬉しいお誘いね。

でもきっと上手くいかないわ。


それに私は王女だもの見つかったらあなたが処刑されるだけではすまないわ。」


「大丈夫だよ。


なんだかんだ世の中上手くいくものだよ。

君の協力もある程度は必要だけどなんとかなるさ。


それに僕は追放される予定だからね。


伯爵家とはほとんど関係なくなるから

なんの問題もないよ。」


「追放なんて…

あなたはそれでいいの?」


「まぁ考え方が合わないからね


辺境の領地もらって追放されて

細々とやってこうかなって


合わないところで跡継げてもしょうがないからね

だったら追放されて辺境で

なにもないところでもトップになって

自由に決めちゃえばいいわけ


君も僕の領地で細々と暮らせばいいさ


最初はなにもないけど

それなりに発展させるつもりだから」



「それはすごく素敵なお誘いだわ

それにあなたなら上手くいきそうな気がする

不思議な人ね」


「そう?なら良かった

追放されるまで5年くらいかな


まぁ気長にまっててよ

お姫様の15才のパーティーのときに

またここにくるよ

今度は外からね」


「あ

そのときそのままじゃ

まずいから奴隷の格好してもらおうと思うんだけどそれでもよければ


ほんとは今日みたいに素敵な格好が

綺麗な君にはあってるけど

まぁ当日はね……


当然領地着いたら服は自由でいいからさ


その気があったらここにいて

いなかったら

勝手にいっちゃうよ」



「ふふふ

期待して待ってるわ」


「人生楽しく生きなきゃね。

世の中には広い世界がある。

いっぱい楽しいことがあるって教えてあげるよ

じゃね」



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