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夢を持たない男子高校生は幸せの意味を知らない  作者: セーラ
第三章 有馬 ひじり編
29/31

29話 

 そんなこんなで僕達は、お昼を食べにサイ○リアにやってきた。


 流石、台場の店というだけあり、店内は広く客席も埋まっている。


 「4名様ですね。こちらはどうぞ!」


 女性の店員さんに案内され窓際の席に案内された。


 そこからの眺めは、台場の海を一望でき、店内の中でも良い席を取れたと思う。


 莉里は少し、海を眺めた後、楽しそうにメニューを開いた。


 「何食べよっかなー。」


 「私はパエリアにしようかしら。」


 耳に掛かった髪の毛を払いながら有馬さんが答えた。

 流石、おしゃれ美人。食べるものまでおしゃれなのか。


 それぞれの食べたいものを注文した後、談笑が始まった。


 この談笑で分かったことは、有馬さんは


 過去にも身寄りの無い子供を引き取ったことがあること。


 それゆえに、子供の扱いは慣れていること。


 子供が好きなこと。


 お金持ちであるということだ。


 なるほど、それなら安心して莉里を預けることができる。

 難癖のつけようが無いと思った。


 食事も終盤に差し掛かったとき、莉里がふと、天井を見上げた。

 そこには、裸の天使が空を羽ばたいている様子が描かれている。


 「天使ってどうして裸なんだろうね〜。」


 莉里が何気なく口に出す。


 僕は、なんとなく有馬さんの顔を伺った。


 丸く大きな目が少し細くなる。


 この表情の名前を僕は知っている。

 人が、「嫌悪感」を抱いている時の顔だ。


 すみれも天井の絵を見上げる。

 口についたスパゲッティのソースを、ナプキンで拭きながらこう答えた。


 「そこに描かれている天使は、人間が創造したものに過ぎないんだよ。

 この世界の人達は、本当の天使を知らない。

 名前だけで、その姿を想像してしまうのよ。」

 

 有馬さんが軽く頷く。


 「美しい名前には、その姿を、そうではない名前には、その姿を人間は想像してきた。

 そのイメージが一度定着してしまえば、それを変えることは難しいのよ。

 もしかしたら、悪魔だってすごく優しいかもよ。」


 パエリアを頬張りながらそう答える。


 というか、その答え方って……


 「何言ってるか分かんなーい。」


 ほら、みろ。まだ、5歳児には難しい話だ。


 「要するに、人間が答えを出した物全てが正解になってしまっている。ってことよ。」


 いや、すみれよ…。

 もっと難しくなっているぞ……。


 やはり、子供の扱いは僕の方が上だな。


 「あの絵は、想像した物で本当の天使は、どんな姿なのか分からない。ってことだよ。

 もし、莉里が天使を見ることがあったら、どんな姿をしているか、知りたいな。」


 莉里は、少し驚いた顔をした後、再び天井を見上げた。

 事実を伝え、子供の冒険心を煽る。

 ふっ。やはり、僕の子供の扱い方は完璧だ。


 「よく分からないけど、分かった。」


 やはり、子供は苦手だ。


 お昼ご飯を食べ、お腹が一杯になったこともあり、莉里は眠そうにしていた。


 必要な物も全て手に入れたので、今日はここで解散ということになった。


 「じゃあ、後はカップルのお二人でごゆっくり。」


 莉里をおぶった有馬が、からかいながら微笑む。


 「はぇ⁈違うよ!俺達はそんなんじゃ……」


 「あれ?違うの?そういう『線』が見えたからてっきり……」


 線?一体なんのことだ?

 Tシャツの糸でもほぐれてたか?


 「ああ!有馬さん!電車行っちゃうよ!早く!」


 すみれが有馬さんを急かす。


 少し、おどおどした後、

 それじゃ。と軽く挨拶をして階段の下へと消えていった。


 


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